自分では自分のことを「無宗教」というタイプにカテゴライズしているのですが、同時に平然と「あ、この人が僕の神様です」と臆面もなく言います。そんなわけで今回はデヴィッド・ボウイの話です。えーと、「神様」なので、本来はアレコレと研究したり解析したりすることもおこがましいという存在ですが、日々彼の研究に余念がない、という人々は世界中に沢山いることも判っています。そんな神様の「幻」のお話を一席。(2012年1月6日更新分/選・文=大久)
The Jean Genie - BBC News explains the discovery
昨年(2011年)の年末にある事件がおこりました。そのニュースは、12月21日夕方6時からのBBCニュースの中で報道されました。どんなニュースかと言いますと、「1973年にデヴィッド・ボウイがBBCで演奏した映像が、38年振りに発掘された」というニュースでした。動画はそのニュース映像で、発掘した元カメラマンのインタビューも放送されました。このニュースは夜10時からのBBCニュースでも繰り返し報道されました。そして「24日のTOP OF THE POPSで遂に解禁されます」という宣伝もバッチリ行われたわけですが。このニュースはBBC TVだけでなく、BBCのRADIO 1/2でも流れました。
David Bowie's lost 1973 TOTP Performance
12月24日のクリスマス特番の終盤で、その発掘映像がついに放送されました。イブの日に、神様が(38年振りに)降臨したわけですね。世界中のボウイ研究家が初めてこの映像を目にしたことと思います。元々は1973年1月4日にBBC TOP OF THE POPSで放送されたソースでしたが、その後一切人目に触れることなく、眠っていた映像でした。あまりにも奇麗な映像なので、その点にもビックリですが、動いているミック・ロンソンを見るチャンスはそうそうないので、そういう意味でも驚愕の映像です。このマスターテープを発見した元カメラマンは「21日だけで4本のインタビュー取材を受けた」と語っています。
TOP OF THE POPSは基本的に音が前録りで放送素材はアテフリなのですが、ここで見る事の出来る演奏は生演奏のようです。後半でベースが2小節分尺を間違えた部分がそのまま演奏されていることが確認できますし、「完全なライヴ」とナレーションでも言ってますし。当方のようなオタクは、ミック・ロンソンのアンプのツマミの位置がどうなってるか、とか、どのタイミングでファズを踏んでるか、とか、ボウイ様のジャケットの素材は一体なんなのか、なんてことまで知りたくて、この映像をそれこそ何十回も凝視するわけですが、そんなオタク心とは一切関係なく、やっぱりカッコイイというのはこういうことだな、とか一目で確信を深めたりもしました。
Jeff Beck with David Bowie- The Jean Genie
上のTOTP出演から半年後、1973年7月3日にこの「神様」は突然の引退宣言をするわけですが、その日のライヴはドキュメント映画として公開される予定になっており、ビデオ・シューティングが行われました。またこの日のライヴはスペシャル・ゲストとしてジェフ・ベックが参加し、2曲を共演しています。しかし何らかの事情により映画は公開されず(アメリカで1時間の特番として一部がTV放映されましたが)、10年以上を経た1984年に突然映画として公開されました。しかしその1984年公開版ではジェフ・ベックの姿をどこにも見る事ができません。権利関係なのかクオリティの問題なのか、その辺は知る由もありませんが、そのボウイ+ベックの共演部分は公式にお蔵入りが決定しています。とはいえ、その素材は現在YOUTUBEでみることができますが(笑)。
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