1924年生まれのスウェーデンのシンガー、アリス・バブスは子役として芸能界デビューをしてから長いキャリアを誇る女性ですが、38年から歌手として活躍、40年、16歳の時に出演した映画『SWING IT, TEACHER』で女優としてもブレイクした方です。これまで800曲以上を録音したという彼女ですが、日本でも北欧ジャズの再評価ブーム以降、もしくはフリー・ソウルでの再評価以降、若いリスナーにも人気を集めるアリス・バブスの曲を、いろんなジャンルから集めてみました。(2012年3月9日更新分/選・文=大久)
Alice Babs / Invitation To A Jumpy Session Party (1944)
SP盤音源なので音ワルイです。ご了承下さい。44年、ハタチになった彼女のスウィング曲。トーレ・エールリングというスウェーデンのトランペッター/作曲家/編曲家によるオーケストラ演奏をバックに、文字通りスウィングするアリス嬢。既にこの頃から英語で歌ってたんですね。掲載ジャケはこの頃の音源をまとめたCD。出世作となった映画のタイトルをモジってますね。
Alice Babs / Lollipop (1958)
ロリポップ、ボボンボンボン。1957年にロナルド&ルビーという混声グループが録音、その後58年にコーデッツという4人組のお姉さん方がカヴァーし大ヒットしたことで有名なこの曲を、58年にアリス・バブスは録音しています。完全にコーデッツ・マナーでのカヴァーですね。この曲は同年日本でも伊東ゆかりのカヴァーが残されています。掲載ジャケは50年代の彼女の録音をまとめたドイツの編集盤。
Alice Babs & Duke Ellington / Stoona (1966)
1963年以降、何度も(10年以上にわたって)デューク・エリントンとのコラボレイトを続けたアリス・バブスですが、こちらは63年パリ録音、66年に発売された共演盤『SERENADE TO SWEDEN』収録曲。アリスは朗々としたソプラノのスキャットを披露しています。このアルバムは他にも「Cジャム・ブルース」とか「サテン・ドール」のようなスタンダードも収録。
Alice Babs / Soldrom (1967)
幼少の頃から変わらぬ延びのあるソプラノ・ヴォイスが武器だったアリス・バブスですが、67年に発表されたアルバム『'67』ではブラジリアン・ミュージックに挑んでいます。北欧ジャズはこういうサラリとお洒落なことをするあたりが素敵ですよね。スウェーデンといえばモニカ・ゼタールンドという圧倒的な美女シンガーが有名ですが、彼女よりもひと世代上にあたるアリス・バブスもやっぱり素敵です。
Alice Babs / Been To Canaan (1973)
ニルス・リンドバーグのオーケストラとの共演で制作された『MUSIC WITH A JAZZ FLAVOUR』(73年)。そんなタイトルなのにも関わらず収録されたキャロル・キングのカヴァー曲。イギリスのレア・グルーヴDJ達が90年代の早い時期からこの曲に目をつけ再評価、クラブやラジオでヘヴィー・プレイされていたことが思い出されます。オリジナルの朴訥としたヴァージョンもシンミリしますが、スピーディーなアレンジに変容したこのヴァージョンも今や日本でも有名になりましたね。最高です。
Alice Babs / En Blues (2006)
冒頭で年齢のことを書きましたが、2006年、82歳当時のアリス・バブスの歌声です。完璧なソプラノ・ヴォイスを披露していますね。スゲエ。この動画は「スウェーデンのジャズ」を取り扱ったTV番組にて出演した彼女が、ライヴでパフォーマンスした模様。今のところ、2001年以来新しい録音を残していないアリス・バブスですが、この分だとまだまだバリバリやれそうですよね。
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