2012年4月27日(金)

映画秘宝EX「鮮烈!アナーキー日本映画史 1959~1979」発売!

 昔の日本映画を特集上映する名画座がどこも盛況の模様。昔は観られなかった映画もDVD化されたりCSで放送されたりと、目に留まる機会は増えました。そうなってくると、ただランダムに面白そうなものを拾って観ているだけでは限界があります。そこで、昔の日本映画に興味を持ち始めた人がより映画を楽しめるように、とこんなガイドを作ってみました。1959年から1979年までの

日本映画のうち、岡本喜八監督『独立愚連隊』から長谷川和彦監督『太陽を盗んだ男』まで101作をわが「映画秘宝」本誌の執筆陣が、作品への思いを込めて紹介しています。
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 セレクトの基準は「今観ても面白い映画」「何かが過剰で、どこかが振り切れている映画」「ゆえに日本映画の正史では取り上げられないことが多い」が「でも、僕たちが大好きな映画

!」ばかりです。黒澤や小津や成瀬や寅さんなど正統派の作品は別の書物にあたっていただくとして、アクション、ホラー、SF、エログロ、ポルノ、スケバン、実録映画と、いわゆるプログラム・ピクチャーと呼ばれる作品群がずらり。
 『地平線がぎらぎらっ』『危いことなら銭になる』『マタンゴ』『赤い天使』『ある殺し屋』『みな殺しの霊歌』『江戸川乱歩全集恐怖奇形人間』『白昼の襲撃』『呪いの館血を吸う眼』『0課の女赤い手錠』『仁義の墓場』『修羅雪姫』『子連れ狼三途の川の乳母車』『バージンブルース』『高校大パニック』……。みうらじゅん氏、とり・みき氏、深町秋生氏、中原昌也氏、桂千穂氏、スタイリストの伊賀大介氏、俳優の斎藤工氏などゲスト執筆陣も多彩。「てりとりぃ」執

筆陣の河崎実監督も『ニッポン無責任時代』について熱く書かれております。合間に日本映画史のエポックな事象の解説を挟み込んでいますが、それも「温泉芸者映画」「異常性愛路線」「東宝ニューアクション」「70年代の漫画映画」なんて他の映画史本では読めないハズ。これに重要な監督15人の解説、さらにB級映画鑑賞の先達でもある川本三郎さんのインタビューも濃厚。読むだけで日本映画のアウトサイダー史がわかります。
 映画秘宝EX「鮮烈!アナーキー日本映画史1959~1979」は4月28日(土)発売、表紙は『月曜日のユカ』の加賀まりこ。8月には後編(80年代以降)も発売予定です。書店でチェックしてみてください。
(馬飼野元宏=「映画秘宝」編集部)
公式HPは http://www.yosensha.co.jp/book/b100649.html



出張買取で出会った一枚のレコード

 「オオシイズ」という名のアイスホッケー・チームを知ったのは、去年の夏のこと。出張買取に伺ったお宅で「あなたの店はレコードも買うの?」と訊かれたのがきっかけでした。「ここにあるのは、もう全部要らないから」と言われた応接間のレコード棚。ぞんざいに積み上げられたドーナツ盤の山から、そのチーム

の応援歌を発見したのです。
 恐ろしげなお面をかぶったゴールキーパーと、ひときわ目立つ「OOSIIZ」の文字。魅入られたように手に取ると、裏面には「作曲=和田誠」と書かれていて、いや驚いたのなんの。「まさか、このジャケットも和田誠?」と一瞬色めき立ちましたが、後日調べてみると、なんとこのチーム

は山下勇三が設立したとのこと!ジャケットもおそらく彼によるものでしょうね。73年頃品川を本拠地に活動していたというこの楽しげなチームの全貌はいずれきちんと調べるとして、まずはデューク・エイセスと横内章次クアルテットの演奏に針を落としてみましょう。
 A面の「氷原疾風の歌」は、スポーツチームの応援歌らしい威風堂々たる行進曲。ギターが前面に出たアレンジは谷道夫によるもので、後半部分のピアノのオブリガートもしゃれてます。B面の「氷原酔歌」は音頭風の短い曲で、伴奏は手拍子だけ。和田誠作曲というと、寺山修司との『老人探偵団とガリガリ博士の犯罪』を真っ先に思い出しますが、ディキシースタイルのあの一枚とはまた違った作風で、ファンなら一度は聴いておきたいところです。

 そして作詞は滝来敏行。古本屋としては、この人との出会いがこのレコード最大の収穫でした。34年東京生まれ。コピーライターとして早川良雄デザイン事務所に勤務後、独立。山下勇三と組んだ絵本『はしれワンダー』や、灘本唯人との「一寸法師」が収録された『日本民話グラフィック』など、素敵な本が何冊もあります。とくに64年に刊行された『日本民話グラフィック』は、デザインを志す人には必読の書。3万円以下で買うのは至難の業ですが、読むだけなら図書館という手も(東京だと世田谷区立中央図書館で借りられます)。絶好調の宇野亜喜良や横尾忠則はもちろん、田中一光と坂上弘による「花咲爺」に、ぜひ度肝を抜かれてください。
︵宮地健太郎=古書ほうろう店主︶
旧安田邸の蓄音機で聴く、広瀬正の世界とその時代 ー『マイナス・ゼロ』のサウンドトラックー

『沙漠に日が落ちて 二村定一伝』(講談社)の刊行を記念して、著者の毛利眞人さんを再び旧安田邸にお迎えします。今回スポットを当てるのは広瀬正。『マイナス・ゼロ』や『エロス』の舞台となる1930年代のモダンな音楽をご堪能ください。

・出演/毛利眞人(音楽ライター) ・場所/旧安田楠雄邸 文京区千駄木5-20-18 
・日時/月6日(日)15:30開場/16時開演 .料金/1500円
・主催/不忍ブックストリート ・ご予約は 古書ほうろう まで(03-3824-3388)
・同時開催「二村定一フェア」

第14回「不忍ブックストリートの一箱古本市」
8年目を迎えた不忍ブックストリートの一箱古本市。地域のさまざまなお店や施設の軒先で、今年も100人の店主さんが段ボール一箱分の古本を販売します。思いがけない本や人との出会いを、ぜひお楽しみください。
・4月28日(土)& 5月3日(木・祝) 午前11時~午後4時 【雨天決行】 http://sbs.yanesen.org/





低山歩きのすすめ(長野県・飯盛山)

 5月のゴールデンウイークからは待ちに待った山歩きのシーズンだ。私は花粉症ということもあり、毎年この時期から始めている。秩父や丹沢などにも手軽な低山のポイントがあるが、ゆとりのある連休のときは遠出をしてみよう。
 長野県南部、山梨県との県境にあるのが飯盛山。この山の最寄駅は、JR小海線の清里駅と野辺山駅で、野辺山駅は標高1345・67Mもあり、JR最高の標高にある駅で観光ポイントとなっている。また野辺山・清里間には1375MのJR最高地点があり、表示の碑が立っている。野辺山駅から登山口に向かって舗装道路を歩いて行くと、左側に大きな施設が見えてくる。いくつものパラボラアンテナが並んでいて、不思議な景色を醸し出している。ここは国立天文台の観

測基地で、パラボラは電波望遠鏡だ。この中には案内所があり休憩や食事もできるし、またきれいなトイレもあるので是非立ち寄ってみよう
 この宇宙基地を過ぎるとすぐ登山口がある。緩やかな道をしばらく歩くと獅子岩というところに出る。その地形が獅子の横たわる姿に似ているといわれている。武田信玄が進軍中に付けたという説もあるらしい。ここには駐車場があるので、車で行く方は獅子岩を目指そう。
 獅子岩からは道標のある登山道が続いている。20分ほど登った頃、左側を望むと先ほど見てきたパラボラアンテナ群が上から見通せるところがある。その後、右側は林があり遠くは見えないが、左側の景色を楽しみながら、ほぼまっすぐ登って行く。スキー場のリフ

トが見え始めてしばらく行くと、右に曲がる道と出会う。そこを、右の道に入ったあたりが休憩のポイント。振り返ると八ヶ岳の連山が大きく広がっているのが望める。5月の連休だと、ま

だ山頂には雪があり、白い山頂が美しく光っている景色が楽しめるだろう。
 登山口に入ってから1時間半ほど歩いたころには飯盛山の山頂に着く。名前のとおりご飯を逆さに盛った

形の山で、周りには何もなく山頂からは360度見渡せる。天気がよければ素晴らしいパノラマ状の景観に出会える。もちろん富士山も見ることが出来る。この景色を眺めながら昼食タイムだ。ただ、5月だと山頂付近はまだ緑が少ないことが残念だ。でも下のほうは、新緑の緑が目に優しく輝いて、季節の始まったことを強く感じる。
 標高は1643Mだが、登山口の標高も高いので気軽に登れる山だ。帰りは少し標高の高い平沢山(1653M)を経由すると、登る時に左右に分かれた所にでる。また、山頂から清里方面に下りることも出来る。
 下山して、余裕があれば近くの海ノ口温泉で汗を流し、ビールと蕎麦などで疲れを癒すことも出来る。
(川村寛=小学館クリエイティブ・編集者)
写真:山頂近くで八ヶ岳をバックに。2010年5月。夏はこのあたりにキスゲの花が咲いている。



手塚治虫の冒険ファンタジーが完全復刻!
少年サンデー版 勇者ダン 限定版BOX


著者:手塚治虫 発行:小学館クリエイティブ 発売:小学館
定価7,875円(税込) 2012年4月30日発売
ISBN 978-4-7780-3214-2 判型:B5変・400ページ 
解説:吉村和真/別冊解題:黒沢哲哉

▶手塚治虫が『週刊少年サンデー』に連載した動物マンガの大傑作を扉絵やカラーページを含め連載時のままのスタイルで完全復刻。両親をなくしたアイヌの少年コタンは、サーカスを逃げ出した虎のダンに助けられた。アイヌの神殿を守る不思議な老人と出会ったコタンは、老人からアイヌの救い主となるための修行を受け、アイヌの秘宝の謎を解きあかすかす3つの鍵のうち、ひとつを預かった。しかし、秘宝を狙う悪人たちの魔手がコタンに迫る! 秘宝を巡るコタンとダンの冒険を描き、ラストシーンは涙なしに読むことができない。
▶豪華BOXに、複製原画3枚と、別冊付録として、同時期に『少年サンデー』に発表した短編集『人間牧場』を同梱。
▶問合せ:小学館クリエイティブ(担当:山田 03-3288-1354)http://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b100023.html