ローリング・ストーン誌が選んだ「永遠の名曲500曲」にも選ばれた名曲「WE'VE ONLY JUST BEGUN(愛のプレリュード)」。ポール・ウィリアムス作詞、ロジャー・ニコルス作曲、そしてカーペンターズが歌ったヴァージョン(70年)が世界的にヒットしたことで知られていると思います。アメリカでは今も「結婚式の定番ソング」として長らく愛されているようですが、今回は同曲の「ジャズ・アレンジ」ものです。色んな楽器の音色で、この超有名なメロディーを聴き比べしてみようと思います。時代的に、ファンキーなモノが多いというのも面白いですよね。(2012年11月16日更新分/選・文=大久)
Ramsey Lewis / We've Only Just Begun (1971)
ピアノ版。アルバム「BACK TO THE ROOTS」はレア・グルーヴ/クラブ・ジャズ系のリスナーにも非常に人気の高いカデットの名盤ですが、その中に収録されたヴァージョン。クリーヴランド・イートン(B)、モーリス・ジェニングス(DR)という、屈強のファンク・マスターをリズム隊に据えながら、同曲ではしっとりとしたピアノ・ジャズのアレンジで披露。控えめながらも完璧なグルーヴィー・パーカッションを担当しているのは、カーティス・メイフィールド作品でお馴染みのマスター・ヘンリー・ギブソン(!)。
Grant Green / We've Only Just Begun (1971)
ギター版。ブルーノートから出た「VISIONS」はモーツァルトの「シンフォニー40番」を収録していることで有名な71年作の名盤ですが、同盤には「WE'VE ONLY〜」のカヴァーも収録。ややアップテンポで軽快なノリながらも、シンコペーションしまくるギターの音色の存在感がハンパないですね。ビリー・ウッテン(VIBE)、チャック・レイニー(B)、アイドリス・ムハンマド(DR)が参加。同盤にはジャクソン5「NEVER CAN SAY GOODBYE」の素晴らしいカヴァーも収録。
The Wooden Glass feat. Billy Wooten / We've Only Just Begun (1972)
ヴィブラフォン版。レア・グルーヴの名盤として有名な、ウッデン・グラスの72年のライヴ盤。「DAY DREAMING」のカヴァーも収録した同作は、ニュー・ソウルの空気感がパッツパツに詰まった一枚ですが、グラント・グリーン版でもヴァイブを披露しているビリー・ウッテンがリーダーとして再度この曲を演奏しています。歪んだオルガンもたまりませんねえ。
Sonny Stitt / We've Only Just Begun (1974)
サックス版。ソニー・スティットが74年にジャズ・マスター・レーベルから発表した本作はジャズ・ファンクの名盤としても名高い一枚で、エディー・ラスがエレピで参加しています。ファンキーですね。リズム・アレンジも最高ですが、どこか神々しささえ感じるコーラスがとても素晴らしくて、エディー・ラスのエレピのソロになかなか耳が向かない、ていうのは当方だけかもしれませんが。
El Chicano / We've Only Just Begun (1973)
最後はまたギターものです。ジャズとは言えない人達かもしれませんが、演奏を聞けばなんら違和感はないと思います。エル・チカーノ73年の同名アルバムから。ゴージャスなストリングス・アレンジが素敵ですが、それにあわせてゆったりとしたアレンジになっています。エル・チカーノのメンバーは入れ替わりが激しく、同年エル・チカーノの主要メンバーがティエラという新グループを結成し、サルソウルからアフロ・キューバン・プログレ・アルバム(!)を発表したりもしています。
*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。 |
|