例えば『ルパン』には大野雄二がいたように、『スヌーピー』にはヴィンス・ガラルディーという天才音楽家が作品に寄り添って、コミックを盛り上げたわけですが、今回は21言語に翻訳され、世界で4億人の読者がいるという泣く子も黙るアメリカン・コミックの金字塔『ピーナッツ』音楽集です。作者チャールズ・シュルツが大のジャズ・ファンだということは昔から知られていますが、こうしてみるとかなりお洒落なジャズのファンであることも伺えますよね。ピアノ・ワルツが多め、というのも聴き所です。(2012年12月28日更新分/選・文=大久)
Vince Guaraldi Trio / The Great Pumpkin Waltz (1965)
ヴィンス・ガラルディーが「ピーナッツ」の音楽を担当し始めたのは64年。TV特番のためのBGMを制作したのが最初だそうです。特番は結局放送されませんでしたが、音源は65年にアルバムとしてまとめられ『A CHARLIE BROWN CHRISTMAS』というタイトルで発売されました。今もスヌーピー関連の傑作として知られ、日本でも若い世代のジャズ・ファンにも親しまれている超名盤ですね。
Dave Brubeck / Cast Your Fate To The Wind (1988)
ガラルディーは76年に急逝しましたが、彼が作った「スヌーピーのための音楽」の数々は、多くのミュージシャンに影響を与えています。こちらは88年、8話のシリーズとして放映された『スヌーピーは宇宙飛行士/THIS IS AMERICA, CHARLIE BROWN」のBGMとして制作されたもので、デイブ・ブルーベックがガラルディー作品をカヴァーしています。ブルーベックお得意の「5拍子」にもご注目。
Wynton & Ellis Marsalis / Little Red-Haired Girl - Pebble Beach (1995)
マルサリス兄弟の弟として知られるトップ・ジャズメン、ウィントン・マルサリス。彼がピアニストであり、音楽の師であり、そして父でもあるエリス・マルサリスと制作した『JOE COOL'S BLUES』(95年)は、ジャケにも表れているように、大半をガラルディー作品で占めた「ピーナッツ・トリビュート作品」でした。こちらは前半がウィントンのペットを、後半はエリスのピアノをリードに据えたメドレー。
George Winston / Linus & Lucy (1997)
「スヌーピーのテーマ」という別題で呼ばれることもあり、最も有名なスヌーピー関連楽曲であるこの曲は、ジョージ・ウィンストンのステージでの定番曲でもあるので、スヌーピーに無縁の方でもなじみ深い曲かもしれません。ヴィンス・ガラルディーを敬愛してやまないというジョージ・ウィンストンが(余談ですが彼は熱狂的なドアーズ信者としても有名)、97年に発表したガラルディー作品集より。
David Benoit / You're In Love, Charlie Brown (2008)
デヴィッド・ベノワもヴィンス・ガラルディーを敬愛して止まない、と公言してるひとりです。彼は85年GRPから発表した『THIS SIDE UP』で既にガラルディー作品を取り上げていますが(そこに収録された「LINUS & LUCY」がラジオで大ヒットしたことにより、スムース・ジャズというジャンルが生まれています)、こちらは08年、ベノワが新たにピーナッツ関連曲を録音・制作した『JAZZ FOR PEAUTS』収録曲。
Charles Schulz Draws Charlie Brown (1964)
最後はオマケ。冒頭で書いた「未放映だったピーナッツ特番』のワンシーン。チャールズ・シュルツが実際にチャーリー・ブラウンの絵を書いてみたよ、という貴重なシーンなわけですが、これスゲエっすよね。なんの迷いもナシに、あの顔を一気に描けるモンなんでしょうか。この特番は現在DVD発売されており、この動画も公式にアップされたものです。
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