てりとりぃ放送局アーカイヴ(2013年8月2日〜2013年8月16日)

 1974年。シャルル・ド・ゴール空港が開港し、ルバング島で小野田少尉が発見され、ドリフに志村けんが加入し、ウォーターゲート事件が起こった年。そんなことと全然関係はありませんが、たまたま74年にはとんでもなく素晴らしいTVライヴ映像がたくさん残されており、なぜか不思議なことに、今の時代を生きる我々はそういう動画を見る事ができるという幸運な星の下に暮らしています。折角の幸運なので、一挙に掲載してみました。長尺モノもありますが、お時間のある方はじっくりとお楽しみいただければ幸いです。(2013年8月2日更新分/選・文=大久)


King Crimson Live at French TV (1974)

 この動画を見ずして死ぬわけにはいかない、と見てから思いました(笑)。クリムゾンの74年フランスTVライヴ、30分のフル・ヴァージョンです。曲は「LARKS' TONGUES IN ASPIC PART 2」「THE NIGHT WATCH」「LAMENT」「STARLESS」。フリップ、ウェットン、ブラッフォード、そしてデヴィッド・クロスという最強/最狂のクリムゾンですが、何よりもカメラ目線のフリップ先生に一番恐怖を感じます。この映像はバンドの40周年記念『RED』特別仕様盤で、オマケDVDとしてソフト化されました。

Barry White & Love Unlimited Orchestra / Love's Theme (1974)

 74年、アメリカの有名TV番組「MIDNIGHT SPECIAL」に出演したバリー・ホワイト(彼のあだ名が「BABY MAKER」だというのも、なんかエロかっこイイですよね)指揮によるラヴ・アンリミテッド・オーケストラが、デビュー曲「愛のテーマ」を生演奏しています。有名なヒット曲なのでこの曲のライヴ動画はいくつかありますが、レコード・アレンジに近いこのTVライヴがいちばんカッコよく思えます。

Stevie Wonder Live at Musicladen (German TV / 1974)

 アレサ、カーティス、ダニー・ハサウェイには「ライヴの名盤」があるのに、なぜスティーヴィーにはないんでしょうか?今も世界の7不思議のひとつですね。そんな彼がドイツのTV番組MUSICLADENに出演時のライヴ、30分のフル・ヴァージョンです。曲は「JAM」「CONSTUSION」「HIGHER GROUND」「DON'T YOU WORRY 'BOUT A THING」「I CAN SEE THE SUN IN LATE DEC.」「HE'S MISSTRA KNOW IT ALL」「LIVING FOR THE CITY」「SUPERSTITION」。デニース・ウィリアムスがコーラスで、マイケル・センベロがギターで参加。


UPP feat. Jeff Beck / Down In The Dirt (1974)

 74年イギリスBBC TVの「スーパーギタリスト」シリーズに出演した時のジェフ・ベック。ですが、この時はバック・バンドにUPPというジャズ・ファンク・バンドを従えて出演し、曲もUPPの持ち曲「DOWN IN THE DIRT」を演奏しています。70年代中期の最高にファンキーなジェフ・ベックを捉えた最高の動画、と個人的には思っていますが、実はバック・バンドの演奏がとても素晴らしくて、ジェフ・ベックのアラのほうが目立ってしまう、という、ちょっとだけ寂しい(笑)動画でもあります。

Headhunters Live at Musicladen (German TV / 1974)

 さて最後はこちらもドイツMUSICLADEN出演時の、ハービー・ハンコック率いるヘッドハンターズのライヴ、フルで1時間あります。曲は「PALM GREAE」「SLY」「BUTTERFLY」「SPANK A LEE」「CHAMELEON」。もし宇宙人がやってきて「おい地球人、ファンクてのは一体なんなのだ?」と聞かれたら、この動画を見せておけば問題ないハズです。実は74年は、日本では松鶴家千とせが例のギャグでブレイクした年でもありますが、この動画のハービーを見てそのことを思い出すのは、さすがに失礼な気もしますね(笑)。


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 スイングしなけりゃ意味なんて無いのです。そして、スイングしてしまうだけでなく、それが女性ばかり、となればそりゃあもう特別な意味を持つに決まっております。「パフェ食べて、恋バナ、それだけがレイディの仕事ではないのよ」という名言が生まれたのはかなり最近のことではありますが、今回はスイングしまくる歴代の美女達をご紹介。(2013年8月9日更新分/選・文=大久)


Phil Spitalny and his All Girl Orchestra / Tiger Rig

 正確な年代がわからなかったのですが、30年代後半から40年代にかけて、アメリカで大人気を誇った女性ばかりのビッグバンド。指揮者フィル・スピタルニーは1890年ウクライナ出身の音楽家ですが、多くの楽団を率いた彼のバンドのひとつに、全員女性、というその名もズバリ「オール・ガール・オーケストラ」がありました。ラグタイムを演奏する楽団でしたが、リード楽器はバイオリンでした。しかしまあ、ドレスで着飾った多くの麗人がこんだけヤカマしい音楽を奏でるってのも素敵ですよね。

Ada Leonard's All-American Girls (1943)

 1915年生まれの超美人、エイダ・レナードさんは、指揮者というよりはいわゆるマルチタレントさんで(彼女の父も、知られた芸能人だった、とのこと)、ご覧頂けるように誰よりも目立って指揮棒を振っていますね。ええ、いいのです。これが正解というものです。ただし「大人達の勝手な企画」というワケではなくて、彼女自身の意思でこのバンドを編成し、マジで演奏できるミュージシャンを集めた、という話です。ほえー。

International Sweethearts of Rhythm (1946)

 1913年生まれのバンドリーダー、アンナ・メイ・ウィンバーン嬢率いるインターナショナル・スウィートハーツ・オブ・リズム。まずバンド名が完璧。グウの音も出ないほどに完璧です。上記2バンドよりもエレガントなアダルトムードを持ったバンドです。YOUTUBEの動画コメント欄に「俺のバアちゃんが、このバンドのトロンボーンだったんだよ。初めて見たけどビックリした」なんてコメントを寄せていて、ホッコリさせられます。

Mary Osborne / I Love Paris - These Foolish Things (1959)

 ずいぶん以前にも動画を1本ご紹介したことがあるのですが、美人すぎるジャズ・ギタリスト、メアリー・オズボーンの名演をご紹介。グレッチ・ホワイトファルコンは彼女のためにあるギター、と言っても過言ではないでしょう。彼女は70歳過ぎまでギタリストとして活躍しましたが、92年に惜しくも他界しています。

たをやめオルケスタ / Scarlet (2012)

 さて、冒頭に書いた「パフェ食べて〜」の文言は日本が誇るスイング・ガールズ・バンドのキャッチコピーなわけですが、今夏ついにアルバム・デビューを果たした「たをやめオルケスタ」。好戦的な女将・岡村トモ子さんのキャラはやはり最高ですが、背筋をピンと張った美しい立ち姿でパーカッションを奏でる中里ゆきのさんにキュンキュンしちゃいますね、個人的には。たをやめもTHEポッシボーも、2013年「勝負の夏」を迎えました。



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 ニュー・オーダーの新作ライヴ盤を買いたいけど「忙しくてCD屋にいけない」というエクスキューズをする人がいます。んー、困ったものですね。本来ニュー・オーダーの作品は全作発売日に正座して拝聴するのが音楽ファンの義務なのですが。ちなみに当方の場合は「CD屋に行きたいけど、着ていく服が無い」タイプです。さてさて、今回はニュー・オーダーの面々による「課外活動」を集めてみました。とはいえ「いつ、どこに行っても結局同じ」という彼らの素敵な音楽性を確認するだけなのですが。(2013年8月16日更新分/選・文=大久)


Electronic / Getting Away With It (1989)

 アルバム『テクニーク』を大ヒットさせ、イケイケだった89年のニュー・オーダーでしたが、直後に活動休止に入ります。そして流れた報道は「バーナード・サムナーは、ペット・ショップ・ボーイズ、ジョニー・マー(元スミス)と新しいバンドを作る」とかなんとか。結果的には単発プロジェクトとしてこのサムナー&マーの2人によるプロジェクトとなりましたが、果たしてこのユニットでのジョニー・マー先生の貢献度がいかほどのものだったか、いまだに合点がいってません。

Revenge / Big Bang (1989)

 89年のニュー・オーダーの活動休止は、もっぱらバーナード・サムナー(G)とピーター・フック(B)のフロントマン2人の仲違いが原因、と報じられました。確かに、床を凝視して暗い表情でギターを弾くサムナーと、ブルース・スプリングスティーンかよ、というほどにステージで大暴れするフッキーでは意見の違いもあるのでしょうが。こちらはピーター・フックによる初のソロ・プロジェクト「リヴェンジ」による89年発表曲。

The Other Two / Selfish (1993)

 スティーヴン・モーリス(DR)とギリアン・ギルバート(KEY)によるユニットは「残りの2人」という名が付けられました。ニュー・オーダーのニュー・オーダーたる所以は、すべてこのグループ名に凝縮されています。ニヤリとするどころか、その自己認識力には畏怖の念さえ抱いてしまいます。とはいえ、ジョイ・ディヴィジョン時代に「イアン・カーティスと他のメンバー」的扱いをされていたことを、根に持っていたのかもしれませんが。

Monaco / Shine (1997)

 93年、ニュー・オーダーは名作『リパブリック』で大復活を果たしますが、同作発表後またしても大げんかの末活動を休止(笑)。次にメンバーが顔を合わせるのはさらに5年後の98年の話。その間、ピーター・フックが結成したのが新プロジェクト「モナコ」でした。とはいえ毎度毎度のことながら、いつどこで何をやっても安定のフッキー節。素敵です。モナコのもう一人のメンバー、デヴィッド・ポッツは「リヴェンジ」のメンバーでもあるので、実態としてはフッキーのソロ・プロジェクトに限りなく近いものです。

Freebass / You Don't Know This About Me (Arthur Baker Remix / 2010)

 ピーター・フックによる「ニュー・オーダーはもう解散した」発言が出たのは2007年。現実には、結局彼のみが脱退する形で今もニュー・オーダーは健在、ということになるのですが。そんな彼が2005年以降シコシコと制作に力を入れているのが、ベーシスト3人という破天荒なユニット「フリーベース」。ピーター・フック、アンディー・ルーク(元スミス)、マニ(元ストーン・ローゼズ)という名前だけはやけに豪華なユニットなんですが。旧友アーサー・ベイカーを再び引っ張りだしてきたあたりは、フッキーの意地、でしょうか。

New Order / Krafty (Japanese Version) (2005)

 オマケ。まだギリギリでメンバーの仲が良かった頃の、微笑ましい1曲。たしか同曲は15以上のリミックス・ヴァージョンも制作されたのですが、もはやいくつ作ったかを当方も覚えていません(笑)。しかし、この驚愕の日本語ヴァージョンはショッキングでしたねえ。



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