てりとりぃ放送局アーカイヴ(2013年12月6日〜2013年12月20日)

 またこの季節がやってきました。今年も「てりとりぃ放送局」では3週にわたって、またしてもクリスマス・ソングを特集します。今回は「キャラクターによるクリスマスソング」です。どれもおおむね小さなお子さん向けのキャラですが、イギリスでは知らない人はいないだろ、ってくらい皆超有名キャラばかり。ただしアニメ先進国であるここ日本においては、特にキャラの造形に関してメチャ厳しい審美眼が光るので、なかなか浸透していないのも致し方ない、というところでしょうか。ここは是非、童心に戻ってピュアな目でんふんふっとお楽しみいただければ幸いです。(2013年12月6日更新分/選・文=大久)


The Smurfs / Wonderful Christmas Time (1996)

 ベルギーの漫画家ピエール・クリフォールによる架空のキャラ、スマーフは日本でもおなじみですよね。森の中にひっそりと生息している青い肌の小さな種族「スマーフ」は1965年にアニメ化、以降現在も世界中で関連グッズが発売され続けていますが、こちらは96年に発売されたクリスマスソング・オムニバス「SMURF'S CHRISTMAS PARTY」収録曲。もちろんポール・マッカートニーのカヴァーです。

The Wombles / I Wish It Could Be A Wombling Merry Christmas Every Day (2000)

 70年代からイギリスの児童小説として大人気の「ウォンブルズ」。当然のように英国では何度も映像化されていますが、この番組から派生した同名のノベルティー・ソング専門バンドが2000年に発表したこちらの曲。なんと御本家ロイ・ウッドを引っ張り出して、ウィザードの名曲を大胆に改作カヴァーしております。

Tweenies / Merry Christmas Everybody (2001)

 99年放送開始、あの有名な「テレタビーズ」に続けとばかりに英BBCが送り出した子供向け番組「TWEENIES」。03年に制作は終了しましたが、その後も延々とエピソードがリピート放送され、いまだに番組は存続しています。テレタビーズもそうでしたが、どこか貧乏くささを感じさせるキャラの造形にキュンキュンしちゃいますね(笑)。曲は01年に発売されたXマス・アルバム収録曲で、もちろんこちらはスレイドの名曲Xマス・ソング・カヴァー。


Crazy Frog / Last Christmas (2006)

 キャラ自体は、ドイツの着メロ配信会社のマスコット・キャラなのですが、05年にハロルド・フォルターメイヤー「AXEL F」のカヴァーを発表したらイギリスで大ヒット、あのコールドプレイを押しのけてチャート1位に居座り続けました。ちなみにこのカエル・キャラ、「チ○コが見えて不快」として、大人達の非難の的にもなっています。こちらはそのクレイジー・グロッグによる、ワム!「LAST CHRISTMAS」のカヴァー。

すももP feat. 初音ミク/クリスマスはバイトだ! (2008)

 おまけその1。同人ボカロP「すももP」氏によるオリジナル曲。打ち込みでジャズを作るのが凄く難しいことは、どなたにもご同意いただけるかと思います。こちらの曲も、そういう意味ではそれほど上手いワケではありませんが、今からもう5年も前のこちらの曲が、VOCALOIDの可能性を大きく広めたこと、その可能性をあらゆるユーザーに認知させたことは間違いありません。何よりもこの素晴らしい絵と歌詞の世界こそが重要なわけですから。

THE ポッシボー/んふっとメリークリスマス! (2013)

 おまけその2。45秒のダイジェスト動画で申し訳ありません。一部でどうやら大人気らしい「なめこ」。個人的にそちらのキャラには興味がありませんが、この曲にはまさに胸を打たれました。たった一カ所、圧倒的な表現力を持つボーカル・パートがあり、そのことを担当ディレクター氏に電話で一方的に熱く力説しちゃったりもしました。でも先日アーティストご本人にお会いした際には、アガってしまってそのことを伝えられませんでしたが。

*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。



 人にはそれぞれ役目というものがあるようで、クリスマス・ソングを紹介するという場合に所謂エレガントでムーディーなナンバーを紹介するのは、当方ではなく他の方のお役目だろう、と存じます。ではお前は何を?となると、やはりここはおマヌケで最高にハッピーなロケンローをご紹介するのが筋かと把握しております。昨年の今頃もロイ・ウッドやキャプテン・センシブル等によるヘンテコなクリスマス・ソングばかり(笑)を紹介しましたが、今回もそんな「アナザーR&Rクリスマス」曲のご紹介。たまたまですが、丁度グラム・ロックに関するお仕事の真っ最中でして、そんな当方の脳内を反映してちょっとギラギラ感あふれるナンバーが多めなのはご容赦ください。(2013年12月13日更新分/選・文=大久)


Slade / Merry Christmas Everybody (1973)

 ギンギラに光るロックンロール=グラムロックと、クリスマスというイベントの相性は、それはもう最高に決まっています。過去にもTレックス、ロイ・ウッド率いるウィザード等のキラー・ナンバーを紹介したことがありますが、こちらもそれに並ぶグラム・クリスマス曲の最高峰。こんな曲なのにちょっとオセンチなメロディーが登場するあたりが、イギリスのR&Rらしいですねえ。

Elton John / Step Into Christmas (1973)

 40年も前なのに、なぜか今よりも髪の毛が少なくて(笑)、グラムな衣装がトレードマークだった時代のエルトン・ジョンによるホンキーなクリスマス・ソング。いろんな場所で「70年代のグラム・ロック」が特集される場合、エルトン・ジョンを入れるかどうかでいつも論議を呼んでしまうわけですが、こういう映像を見ると「入れてもいいじゃん?」とか思ったりするわけです。

Gary Glitter / Another Rock'n'Roll Christmas (1984)

 70年代オバカ・ロックの金字塔的存在、ゲイリー・グリッターが84年に発表した大復活オバカ・クリスマス・ソング。90年代以降の彼に関しては、耳を覆わんばかりの醜聞(笑)が続き、以来イギリスではほぼ放送禁止扱いを受けた曲ですが、近年アイアン・メイデンという大バカな(笑)ベテランHMバンドがこの曲のカヴァーを発表して以来、若いファンにも認知が広まってきた模様です。


U2 / Christmas (Baby Please Come Home) (1987)

 前にU2によるグレッグ・レイク「I BELIEVE IN FATHER CHRISTMAS」のカヴァー動画を紹介しましたが、U2のクリスマスといえばこちらの曲が決定版。世界的な大ヒット作となったチャリティー盤『A VERY SPECIAL CHRISTMAS』収録曲の中でも圧倒的な存在感を放ったU2のこの曲、もちろんオリジナルは63年にダーレン・ラヴが歌い、あの有名なフィル・スペクターのクリスマス・アルバムに収録された曲。同曲は他にもマライア・キャリー、シェール、R.E.M.、ジョン・ボン・ジョヴィ等によるメジャー・カヴァーがありますが、U2程のインパクトはどれも持ち合わせていません。

Bryan Adams / Merry Christmas (2011)

 ブライアン・アダムスには85年に発表した「CHRISTMAS TIME」や、87年のオムニバス『VERY SPECIAL CHRISTMAS』に収録された「RUN RUDOLPF RUN」のカヴァーが有名ですが、こちらは2011年新たに発表されたクリスマス・ソング。正直曲はまあそんなモンだろう、というカンジですが、動画が素晴らしいワケです。1961年本人が2歳の時、それから69年本人が10歳の時の映像記録を披露する、というモノ。映っている赤ちゃんは当時生まれたばかりの彼の弟、とのこと。

ROSSOのシャロンを歌う4歳

 最後はおまけ。名前も何も存じ上げませんが、日本が誇る最強のロックンロール・スターによる、ROSSO「シャロン」の素晴らしいカヴァー・ヴァージョン。Tシャツのセンスがまた素晴らしいのですが、「GET UP LUCY」や「スモーキン・ビリー」といったハードなナンバーをお得意とするシンガーです。ギターの弦なんて4本で十分だ、といわんばかりのキース・リチャーズ・マインドも垣間みることができ、アチコチにそんな彼の才能があふれた動画です。

*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。




 クリスマス特集・第3弾。今週はイギリスではもはや超定番クリスマス・ソングとして知られる「I BELIEVE IN FATHER CHRISTMAS」という曲のカヴァー聴き比べです。作詞ピート・シンフィールド、作曲グレッグ・レイクによる、オリジナルの75年版はこちらで聴けます。では行ってみましょう。(2013年12月20日更新分/選・文=大久)


Greg Lake & Ian Anderson / I Believe In Father Christmas (2005)

 ご本人のバージョン、ですがちょっと特別な録音物となります。2005年、自身のソロツアーの模様をおさめたDVDに収録されていますが、こちらはツアーとは別に、ロンドンにあるセント・ブライド教会という所で、ゲストにジェスロ・タルのイアン・アンダーソン(フルート)を迎えて録音された「教会音楽バージョン」とでも言えそうなもの。グレッグ・レイクの容姿や演奏はともかく、荘厳なコーラスは素晴らしいの一言ですね。

Toyah / I Believe in Father Christmas (1982)

 女優としての人気が主ですが、シンガーとしてもエキセントリックなパフォーマンスと表現力で人気だったトーヤ嬢。もちろん日本ではキング・クリムゾンのロバート・フリップ夫人としても知られますが(そういえば、最近こんな英国版「オモロイ夫婦」に出演したことでもプチ話題となりましたね)、旦那さんの復活話は機会を改めるとして、こちらは82年にTVのXマス特番「POP GOES CHRISTMAS」に出演した際のトーヤ嬢。

Sarah Brightman / I Believe In Father Christmas (2008)

 サラ・ブライトマン。既に皆さんご承知のように元アンドリュー・ロイド・ウェバー夫人ですが、実はその前、まだミュージカル・シンガーになる前は音楽番組「TOP OF THE POPS」所属のヒラヒラ・セクシー・ダンス・グループ「パンズ・ピープル」の一員だったこともあります。そんなプチネタはともかく、こちらは08年に彼女が発表したクリスマス・アルバムからの1曲。


Randi T Egeland / I Believe in Father Christmas (2010)

 同曲のカヴァーの中で、最も知られてない部類であろう(笑)カヴァー・バージョンです。ノルウェー出身のシンガー、ランジ・イーゲランドさんによるカヴァー。クラシック(ソプラノ)の声楽を学んだ女性シンガーで、2010年に自身名義でのクリスマス・アルバムをダウンロード・オンリーで発売していますが、その中の1曲。とはいえ、当方もついさっきご本人のFACEBOOKで知ったばかりですが。

U2 / I Believe in Father Christmas (2008)

 で、こちらはおそらく最も有名なカヴァー・ヴァージョン。ボノが主導するアフリカ難民のエイド企画として発売されたものです。余談ですが、この元曲を作詞したピート・シンフィールドによれば「あまりにも加熱する[クリスマス・シーズンのビジネス化]にウンザリしてるが、クリスマスそのものを否定する歌ではない。子供の頃の無垢な心を失ってしまうことへの警鐘」とのこと。THE EDGEはここでも付点8分ディレイを使うあたりが、さすがです。同曲はメイキング・ビデオも公開されています。



Susan Boyle / I Believe in Father Christmas (2013)

 最後は、昨日発売されたばかりのスーザン・ボイルのクリスマス・セレブレーション・アルバムより。そしてつい最近も彼女が「アスペルガー症候群」であることを公にし、世界中に大きくそのニュースが伝えられましたが、やはり彼女の場合は「歌が彼女を救った」という事実に間違いないと思われます。もちろん病気という意味でもそうですけど、それよりもデビューの経緯を含めて、の意味で。


*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。