 当欄でも以前「BLUSETTE」の特集をしたことがありますが、1922年ベルギー生まれ、今年すでに92歳になったハーモニカの巨匠トゥーツ・シールマンス。2014年3月、今年予定されていたライヴ・スケジュールをすべてキャンセルし、音楽活動から完全に引退することを表明しました。この年齢まで現役バリバリだったことも驚異的ですが、何よりも世界中から圧倒的な信頼を得るハーモニカ・プレイヤーとしてその業績の数々は枚挙に暇がありません。今回はそんなトゥーツ氏の特集です。(2014年5月23日更新分/選・文=大久)
George Shearing Combo (1957)
ちょうど第2次大戦中に音楽活動をスタートしたトゥーツはジャンゴに影響を受けてジャズの道へ。ギタリストとして活動をしていましたが、首からぶら下げたハーモニカも同時に演奏する、というスタイルで注目を集めました。そのギター&ハーモニカ、という演奏スタイルに感銘を受けたのが、ジョン・レノンだった事は有名ですね。動画は57年、ジョージ・シアリング楽団に在籍していた時の珍しい映像。
Mina & Toots Thielemans / Non gioco più (1974)
ちょっと時代が飛びますが、例の「真夜中のカウボーイ」での名演で既に一躍トップ・ミュージシャンとなった(ハーモニカ・プレイヤーとしての)トゥーツが、イタリアの歌姫ミーナと残した共演映像。個人的には60年代のブリブリに可愛らしいミーナ・ファンなのですが、こちらで見られるちょっとデカダンで毒気をはらんだミーナ様も、相変わらずお美しい。
Toots Thielemans with Boston Pops / Midnight Cowboy (1980)
で、その「真夜中のカウボーイ」のライヴ映像。80年にボストン交響楽団との共演で残された映像。以前にも書きましたが、この映画音楽が制作(ジョン・バリー/1969年)発表された時には、ハーモニカ・プレイヤーのクレジットは入っていませんでした。今では世界中の誰しもが知っている事実ですが。
Billy Joel / Leave A Tender Moment Alone (1983)
客演の数は数知れず、名演への貢献も数知れず、というトゥーツですが、こちらは83年、ビリー・ジョエルが「AN INNOCENT MAN」収録曲の中でトゥーツをゲストに迎えて録音された曲のライヴ映像。もちろんライヴでもご本人に登場いただいていますね。トゥーツは日本の作品への客演も多く、89年にレベッカの曲なんかにも参加しています。
Mark King with Toots Thielemans / Hello It's Me (1998)
たまたま今回のトゥーツ特集は共演演奏集、となってしまいましたが、個人的に一番驚いた共演がこちら。レベル42のマーク・キングがテレビ出演した際にトゥーツをゲストに迎えて生演奏を披露していますが、その曲がなんとトッド・ラングレン「HELLO IT'S ME」のカヴァー。マーク・キングはトッド・ラングレンの大ファンで、いつか彼に作品をプロデュースしてもらいたかった、とのことです。
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