あまり理由はありませんが、ボウイ特集やります。今回はボウイの「未発表曲集」です。とはいえ、天下のデヴィッド・ボウイさんですから、彼の未発表曲という謳い文句の曲も公式CD化されているものが結構な数を数えます。しかししかし、昨今のこのご時世「えっウソこんなのあったの」というブツがたまに登場します。音楽業界人という人々の倫理観を疑ってしまうものもありますが、一度晒されてしまった事実、それをない事にはできませんよね。(2016年2月12日更新分/選・文=大久)
David Bowie / Tired Of My Life (1970)
71年の『世界を売った男』セッションで残されたボツ曲。元々はボウイが16歳の時(1963年)に書かれた曲でした。16で「人生に疲れた」って歌うのもどうかとは思うのですが、この曲は時を経て1980年、ボウイ33歳の時にアルバム『SCARY MONSTERS』収録曲「IT'S NO GAME」として生まれ変わったことは言うまでもありませんね。
David Bowie / The Shadow Man (1971)
72年発表の『ZIGGY STARDUST』収録予定曲だったにも関わらず(アセテート盤にはこの曲が収録されたこともありました)、アルバム制作作業途中で急遽ボツになった曲。そりゃあこんなフォーク曲が『ZIGGY〜』に入る余地は、もはやどこにも見当たりませんよね。今だから判ることではありますが。この曲は2001年に再レコーディング版が残されており、それを含む『TOY』というアルバムが企画されていましたが、そちらはアルバムの企画を含めすべてボツになってます。
David Bowie / A Lad In Vain (1972)
73年発売のアルバム『ALADDIN SANE』は、元々そのタイトル『A LAD IN VAIN』が二転三転して付けられたタイトルでした。で、こちらの曲はその大元となる曲。まだ歌詞もなにも決まってないものです。この曲は結局楽曲としては完全にボツになりましたが、一部のアレンジが翌74年発売のアルバム『ダイアモンドの犬』収録曲「SWEET THING」にて転用されています。
Ava Cherry / I Am A Laser (1974)
こちらは95年に(ちょっとインチキ臭いCDで)発掘されたアヴァ・チェリーのアルバム『PEOPLE FROM BAD HOME』収録曲ですが、74年当時は完全未発表でした。作詞作曲編曲プロデュース全部をボウイが担当し、彼女に提供された曲ですが、ええ、この曲も『SCARY MONSTERS』に入ってるボウイの「SCREAM LIKE A BABY」と同じ曲ですよね(歌詞はもちろん違いますが)。
Queen & David Bowie / Cool Cat (1981)
同年このコンビで「UNDER PRESSURE」という名曲が生まれていますが、そのセッションでもうひとつこの曲が録音されています。元々両者は同じスタジオを使う仲でしたが、クイーンがこの曲のアレンジに四苦八苦してるところをおせっかいなボウイが「どれどれ」と口出ししたことがきっかけで共演することに。「UNDER〜」はまあいいとして、結果アレンジをめぐって両者は口論となってしまい(笑)、こちらの「Cool Cat」はボウイの歌&アレンジは全部破棄されてクイーンのアルバム『HOT SPACE』に別バージョンで収録されています。
David Bowie / Absolute Beginners (1985)
オフザケで残されたアウトテイクです。なんとボウイが自身の曲を他人の物まねで録音するというとんでもないオフザケです。順にブルース・スプリングスティーン。ボブ・ディラン、トム・ウェイツ、ルー・リード、アンソニー・ニューリー、イギー・ポップ、ニール・ヤングの声色をボウイが出してます。んー、この曲好きだったんですけどねえ。何してくれてんだボウイ。
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