てりとりぃ放送局アーカイヴ(2016年7月15日〜2016年7月29日分)

 以前一度やった「君の瞳に恋してる」の聴き比べ、第2弾です。前回はズージャなカヴァーものを取り上げましたが、同曲の最も有名なバージョン=ボーイズ・タウン・ギャングの例を出すまでもなく、やはりダンス・カヴァーの成功例が圧倒的に多い曲です。80年代初期以降この曲はディスコの朝方にかかる定番客出し曲となったこともあり、ディスコ文化を語る際外せない曲でもあるからです。椎名林檎もローリン・ヒルもトミー・フェブラリー6も、夢中になったのは間違いなくBTG版であろうことは容易に推測できますもんね。(2016年7月15日更新分/選・文=大久)

少女隊/君の瞳に恋してる(1986)

 いきなり飛び道具を出します。「一心同体少女隊」でもおなじみ、3人組アイドル少女隊によるカヴァー。シングル発売された音源はもっとストレートなLAロック寄りのアレンジでしたが、同曲のイメージビデオには強烈なダンス・ミックスが施されたデジタル・ファンク・バージョンで収録されてます。当時だからこそ許された、という点も沢山拝見できますし、当時であってもよくこんなの許したな!と驚かざるを得ない点も多数。いい悪いはおいといて(笑)、とにかく凄いです。

Pet Shop Boys / Where The Streets Have No Name (I Can't Take My Eyes Off You) (1991)

 ペット・ショップ・ボーイズがこの曲を取り上げた際、U2「WHERE THE STREETS HAVE NO NAME」とのメドレー形式でカヴァーしましたが、一説ではU2のボノは(許可を出したものの)このメドレー形式に激怒し、PSBとの仲が長らく険悪になった、という噂があります。当時実際にどうだったかは今はわかりませんが、U2自ら後年(2000年代)に同じ形式で「君の瞳に〜」をメドレーでカヴァーしたこともあることから、今では「そんなこともあったよね」程度の話だとは思うのですが。

Sheena Easton / Can't Take My Eyes Off You (2000)

 ミレニアムに発表された、シーナ・イーストンのカヴァー。彼女にとって今のところ最後のシングルであり、同曲を収録したアルバム『FABULOUS』も最後のアルバムとなっています。同バージョンは2001年TBS系列「愛の劇場」枠で放送されたTVドラマ『たのしい幼稚園』(主演・高岡早紀)の主題歌だったそうですが、未見のためそちらの詳細不明。すいません。

Jimmy Somerville / Can't take My Eyes Off You (2001)

 ブロンスキ・ビート〜コミュナーズ〜ソロとなっても、一貫した活動を続けたジミー・ソマーヴィルですが、彼がこの曲を取り上げるのは必然ですね。キャリア中彼がカヴァーした曲はシルヴェスターの「YOU MAKE ME (MIGHTY REAL」、グロリア・ゲイナー「さよならは言わないで」、ドナ・サマー「I FEEL LOVE」とかそんなのばっかりですから。

Boys Town Gang / Can't Take My Eyes Off You (1982)

 同曲のカヴァーに関してはウィキ英語版に膨大なリストが(10年単位で整理されて)記載されてますのでそちらを参照願いたく。で、最後は最も有名なボーイズ・タウン・ギャングのバージョンを。動画は(PVではなく)TV出演時の口パクものですが、ボーイズ・タウン・ギャングとはこの両脇の男性2人を指し、中央の女性はゲスト・ボーカリストです。この映像は同グループの最も有名なものですが、日本の音楽ファンで、これ見てビックリした人多いと思うんですよね。まあある意味仕方ありませんね。





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 ギターアンプの特集です。今回は究極(註:個人により解釈に差があります)のギターアンプ、マーシャルの200Wアンプ「MAJOR」初期型の特集です。世界で最も有名なアンプ・メーカーの英マーシャル社が、1966年〜67年に総生産数30以下しか作らなかったという「幻の」アンプ、しかも文字通り化け物のような人間の理解を越えるほどの爆音を出すアンプです。おそらく現在現存数は2ケタにとどかないと言われるものですが、その化け物がどんな化け物か、をご紹介してみます。(2016年7月22日更新分/選・文=大久)

The Who live at Marquee Club (1967)

  英マーシャル社がザ・フーのピート・タウンゼンドからの依頼で「200Wのアンプ」の製造に着手したのが1966年。そのアンプは早速ザ・フーに提供されています。ピート・タウンゼンドがそのアンプを使用したのは間違いないのですが、映像が残っていません(画像はあるのに)。んで、こちらは67年のザ・フーのライヴで、ベースのジョン・エントウィッスルがその200Wアンプを使ってます。音でかすぎますよね。ギターの音が聴こえない(笑)のに加え、音大き過ぎるので画面に横縞のノイズが入っちゃってます。

Width of a circle (Mick Ronson's Guitar solo 1973)

 で、その200Wアンプを使用した最も有名なギタリストはミック・ロンソンなわけです。一説ではロンソンの使ったその200Wアンプは「ピート・タウンゼンドから譲り受けた」説もあるにはあるのですが、その説に確証はありません。動画はロンソンのギター・プレイで最も有名なものですが、過去誰が何をどうやってもこんな音を再現することは不可能でした。なぜならアンプが「幻の」アンプだったからです。

The last time playing Mick Ronson's Guitar

 ミック・ロンソンが使ったアンプは、遺族の手を経て、現在アメリカの某ギターショップの所有となっています。こちらの動画は、所有者がその実際のアンプと、ロンソンが実際に使ってたレスポールを使って演奏したという動画。実は彼は最近(アンプではなく)このギターを売却したのですが、最後の思い出に、と撮影したもの。彼と少しだけ面識があるのですが「ギターはしょうがない、でもアンプは絶対手放すな」とだけ伝えてあります。

The most brutal guitar amp ever

 さて、こちらはその「幻の」アンプをまったく同じ回路&見た目で新たにオーダーして作ってみた、という無鉄砲なドイツ在住のギター機材ヲタクによるデモ動画。アンプを制作したのは(たしか)フランスの人だったと思います。一般的に「マーシャル」と言えばあーはいはい、というくらいに有名な認知度がありますが、実はこのアンプの音は他のマーシャルのモデルでも絶対に出ません。

ドレスコーズ「SWEET HAPPENING the dresscodes 2015 “Don’t Trust Ryohei Shima”JAPAN TOUR」TRAILER 1

 ところが日本には「度を過ぎたミック・ロンソン・キチガイ」がおりまして、1人は筆者ですけど、もう1人は越川和磨(元・毛皮のマリーズ)というギタリスト。で、2人でいろいろと企てまして、越川氏は当方が持っているマーシャル200Wアンプ「MAJOR初期型」を、昨年末のドレスコーズJAPANツアーで実際に使用しました。はたして彼は200Wの野獣を飼いならすことができたのか、その模様は千秋楽公演を収めたドレスコーズのライヴDVDにてご確認下さい。

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 ちょっと仕事上の理由があり、70年代後半のソウル〜ファンクを集中的にお勉強してたのですが、例に寄ってYoutubeにカジリついていれば、その斬新なビジュアルに圧倒されます。以前もタバレスの衣装とダンスがスゲエ(笑)的なことを書いたことがありますが、今回の放送局は「ソウル・パフォーマーの衣装」に関しての特集。(2016年7月29日更新分/選・文=大久)


Rufus feat. Chaka Khan / Once You Get Started (1975)

 75年のTVライヴです。ルーファスは御承知のように白黒混合ファンク・バンドですが、やはりフロントのチャカ・カーンの存在感は絶大。彼女の衣装はインディアン・モチーフのもので、このスタイルは60年代のティナ・ターナー〜70年代のシェール直系です。いくら昨今70年代ファンクが脚光を浴びても、このスタイルの衣装(特に女性ではなく男性メンバーのほう)をマネする若いミュージシャンは居ませんね(笑)。

A Taste of Honey / Boogie Oogie Oogie (1978)

 テイスト・オブ・ハニーの大ヒット曲。映像はTV番組「MIDNIGHT SPECIAL」での生演奏シーンです。そう、彼女達は「バンド」なんですよね。オミアシをヒラヒラさせて楽器を演奏しながら歌う彼女達からは「ソウルシンガー」とは別のドキドキを感じてしまいます。それにしてもギターの音が・・・時代です。まさに時代の音。実は昨今活動を復活させ、今も世界各地でブリブリとファンキーベースをかまし、チャカチャカとギターかき鳴らしています。

Stephanie Mills / Never Knew Love Like This Before (1979)

 ディスコの時代になると一気にソウル・シンガーの衣装もグリッターでアーティフィシャルなものへと変容します。ステファニー・ミルズはディスコだけじゃなくもっと普通のソウル・シンガーとして知られますし、この曲のオリジナルMVも森の中で歌うオーガニックな映像でしたが、ディスコでヒットしたので、こんな路線に踏み込んでみた、と思われます。

Viola Wills / If You Could Read My Mind (1980)

 元は71年ゴードン・ライトフットのフォーク・ポップの名曲ですが、80年にヴィオラ・ウィルズがディスコ・カヴァーを発表し、ヒットさせています。NYのディスコのメッカ「STUDIO 54」定番曲でもありますが、なんといってもインパクト絶大な彼女の衣装には無言にならざるを得ません。当時をご記憶の方なら同意いただけると思うんですが、当時はこれで「普通」だったんですよね。

Grace Jones. Live in concert 1978 Highlights

 んで、最後はグレイス・ジョーンズ。ある意味本稿の主旨から言えば飛び道具的存在ではありますが、「魅せる」ソウル・パフォーマーとしては最先端の位置に君臨した女王であることは間違いありません。本業はモデルでもあるので、別に舞台で胸を晒すことも(ほぼ全裸なんてのもザラ)、坊主頭になることもまったく躊躇なくやってのける彼女。エッジがきいた、とはこういうことを指すんでしょうね。



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