ギターアンプの特集です。今回は究極(註:個人により解釈に差があります)のギターアンプ、マーシャルの200Wアンプ「MAJOR」初期型の特集です。世界で最も有名なアンプ・メーカーの英マーシャル社が、1966年〜67年に総生産数30以下しか作らなかったという「幻の」アンプ、しかも文字通り化け物のような人間の理解を越えるほどの爆音を出すアンプです。おそらく現在現存数は2ケタにとどかないと言われるものですが、その化け物がどんな化け物か、をご紹介してみます。(2016年7月22日更新分/選・文=大久)
The Who live at Marquee Club (1967)
英マーシャル社がザ・フーのピート・タウンゼンドからの依頼で「200Wのアンプ」の製造に着手したのが1966年。そのアンプは早速ザ・フーに提供されています。ピート・タウンゼンドがそのアンプを使用したのは間違いないのですが、映像が残っていません(画像はあるのに)。んで、こちらは67年のザ・フーのライヴで、ベースのジョン・エントウィッスルがその200Wアンプを使ってます。音でかすぎますよね。ギターの音が聴こえない(笑)のに加え、音大き過ぎるので画面に横縞のノイズが入っちゃってます。
Width of a circle (Mick Ronson's Guitar solo 1973)
で、その200Wアンプを使用した最も有名なギタリストはミック・ロンソンなわけです。一説ではロンソンの使ったその200Wアンプは「ピート・タウンゼンドから譲り受けた」説もあるにはあるのですが、その説に確証はありません。動画はロンソンのギター・プレイで最も有名なものですが、過去誰が何をどうやってもこんな音を再現することは不可能でした。なぜならアンプが「幻の」アンプだったからです。
The last time playing Mick Ronson's Guitar
ミック・ロンソンが使ったアンプは、遺族の手を経て、現在アメリカの某ギターショップの所有となっています。こちらの動画は、所有者がその実際のアンプと、ロンソンが実際に使ってたレスポールを使って演奏したという動画。実は彼は最近(アンプではなく)このギターを売却したのですが、最後の思い出に、と撮影したもの。彼と少しだけ面識があるのですが「ギターはしょうがない、でもアンプは絶対手放すな」とだけ伝えてあります。
The most brutal guitar amp ever
さて、こちらはその「幻の」アンプをまったく同じ回路&見た目で新たにオーダーして作ってみた、という無鉄砲なドイツ在住のギター機材ヲタクによるデモ動画。アンプを制作したのは(たしか)フランスの人だったと思います。一般的に「マーシャル」と言えばあーはいはい、というくらいに有名な認知度がありますが、実はこのアンプの音は他のマーシャルのモデルでも絶対に出ません。
ドレスコーズ「SWEET HAPPENING the dresscodes 2015 “Don’t Trust Ryohei Shima”JAPAN TOUR」TRAILER 1
ところが日本には「度を過ぎたミック・ロンソン・キチガイ」がおりまして、1人は筆者ですけど、もう1人は越川和磨(元・毛皮のマリーズ)というギタリスト。で、2人でいろいろと企てまして、越川氏は当方が持っているマーシャル200Wアンプ「MAJOR初期型」を、昨年末のドレスコーズJAPANツアーで実際に使用しました。はたして彼は200Wの野獣を飼いならすことができたのか、その模様は千秋楽公演を収めたドレスコーズのライヴDVDにてご確認下さい。
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