オリンピック真盛り。興味ある人もそうでない人も、なにかしらの五輪情報に埋もれながら残暑をお過ごしのことと存じます。で、リオ五輪のTV中継に目をやると、開会式とか表彰式とかでなんかやけに何度も何度も耳にするストリングス・アンサンブルの曲を思い出される方もいると思います。この曲がこんなに持て囃されたのは前回のロンドン五輪以降と記憶していますが、今回はその曲をちょっと掘り下げてご紹介。(2016年8月19日更新分/選・文=大久)
The Verve / Bitter Sweet Symphony (1997)
イギリスのロック・バンド、ザ・ヴァーブが1997年に発表したシングル曲「Bitter Sweet Symphony」。洋楽ロック・ファンなら誰でも知ってる有名曲です。現在すでにバンドは解散し、リーダーのリチャード・アシュクロフトはソロ活動に転じていますが(今度来日しますね)、バンド時代だけでなく、彼のキャリアを通じて最も愛される1曲となりました。
Andrew Loog Oldham Orchestra / The Last Time (1966)
で、その「Bitter Sweet Symphony」には元ネタがあります。1966年、ローリング・ストーンズのプロデューサーだったアンドリュー・オールダムという人がストーンズ楽曲をオーケストラでやってみた、という企画盤を発売しており、その中に収録された「The Last Time」のストリングス部分を引用したものだった、というわけです。
The Story of The Verve's "Bitter Sweet Symphony"
実はザ・ヴァーブは元ネタを無断で引用したため、後にモメ事になっています。動画はどの部分をどう使ったか、の検証動画なのであまり面白いモンではありませんが(笑)、裁判になって以降「Bitter〜」の作家クレジットは「ジャガー=リチャーズ」に変更されました。それだけではなく、オリジナル音源の所有権を巡ってプロデューサーとストーンズのABKOレーベルの間でもゴタゴタが起こり(笑)、文字通りグッチャグチャな状態となりました。
Stringspace String Quartet / Bitter Sweet Symphony (2012)
さてその「Bitter Sweet〜」のカヴァーを2つほどご紹介。まずはストリング・カルテット編成での、まさに正調とも言うべきクラシカル・カヴァー。オーストラリアのストリングスペースは、メンバー固定のユニットというわけではなく、豪州各地に拠点があるストリングス・ネットワークともいえそうなチーム名。いいですね。スッキリしますね。ただ全員の譜面に「JSバッハ」と書かれているあたりが少しイヤラシイかんじですが(笑)。
Rockin'1000 / Bitter Sweet Symphony (2016)
イタリアに「ROCKIN' 1000」というとんでもない音楽ユニットがありまして、実際に1000人以上のミュージシャンで演奏することに命をかけるというオバカこの上ない連中です。彼らが今年行なったライヴで披露した同曲のカヴァー。ちゃんとお客さんも数千人単位で入っているようで、ちょっと安心しました。何が驚きかといえば、1000人以上のミュージシャン全員がイヤモニをして演奏していることです!(笑)
*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。
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