“シスター”ロゼッタ・サープ。戦前ゴスペル〜ジャズ〜ブルースの大スターの1人です。キャブ・キャロウェイとの共演で人気をはくし、その後「メジャー・レーベルと契約した最初のゴスペル歌手」という肩書きで更に知られた女性シンガーです。ゴスペルの女王マヘリア・ジャクソンは「ブルースは絶望の歌、ゴスペルは希望の歌」と言ってブルースを絶対に歌わなかった、という逸話もありますが、ロゼッタの場合はそんなの関係ありません。なんでもゴザレ、エンジョイしなさい、というスタンスの女性だったのです。(2016年9月30日更新/選・文=大久)
Sister Rosetta Tharpe / Lonesome Road (1941)
ラッキー・ミリンダーのオーケストラ(この楽団のピアニストが後に「RIDE YOUR PONY」で知られるビル・ドジェットだったことでも有名)のリード・シンガーとして披露しているのが、こちらの「LONESOME ROAD」。ロゼッタは1915年生まれなのでこのとき26歳。ダンサーのパートでもおわかりのように、完全に「コットンクラブ」仕様の曲ですね。
Sister Rosetta Tharpe / That's All
実は今回の「放送局」は、彼女の歴史をおさらいするのが目的ではありません。彼女はR&Bを歌いながらエレキギターをかきむしる、というギタリストでもあります。そのカッチョイい彼女のお姿をご紹介したく思いまして。エレキギターを使うようになったのは50年代末からですが、そのため彼女はシカゴのモダン・ブルースのヒロインのひとりでもあります。グレッチを弾きまくってますね!
Sister Rosetta Tharpe / Up Above My Head
こちらは60年代の収録。同曲はロッド・スチュワート、チェット・アトキンス。エルヴィス・プレスリー他ロック・ミュージシャンに数多く取り上げられたものとして知られますが、それらの誰よりもロックしまくっているお姿を拝見できます。バック・コーラスは実際の教会のゴスペル・クワイヤー。
Sister Rosetta Tharpe / Didn't It Rain (1964)
そして64年、イギリスで行なわれた「アメリカン・フォーク&ブルース」イベントに出演時の彼女。当時オーティス・スパンやマディー・ウォータースと共にヨーロッパドサ周り中だった彼女のワン・シーンです。真っ白のギブソンSGカスタムがイカス。50近くになってこのエネルギーとバイタリティーですから、恐れ入ります。
Sister Rosetta Tharpe with Chicago Blues Allstars
こちらは60年代末のドイツでのTVライヴ。やっと映像がカラーになりましたね(笑)。ギブソンのバーニー・ケッセル・モデルをかき鳴らす彼女はやはりここでも凄いことになってます。ご覧の体型ですから、実は彼女はこの頃糖尿病を患うようになります。で、1970年に彼女は足を切断することになり、以降ステージを行なっていません。ですから彼女のほぼ最終期のステージということになります。73年に復帰を目指しますが、その直前に肝梗塞で亡くなっています。
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