てりとりぃ放送局アーカイヴ(2016年12月9日〜2016年12月23日分)

 今回は大ネタ。知らない人はいないと思われる沖縄出身の3人姉妹による超有名コーラス・グループ、アップルズを特集します。御承知のようにこのグループはデビューの2年後78年にEVEと改名しますが、改名しようがしまいが彼女達の業績も人気も(よくも悪くも)何らかわることはありませんでした。が、何故かデビューから14年も経って紅白に出場するという脚光を浴びる事になります。とはいえ、紅白に出場なんてのは彼女達にとっては「朝飯前」の出来事だったでしょうけど。(2016年12月9日更新分/選・文=大久)


アップルズ/ひげのおまわりさん(1976)

 76年発表のセカンド・シングル曲。時代や流行もあり、彼女達は多くのファンキー・トラックを歌っています。昨今流通してる復刻CDにも「ディスコ歌謡最高峰」なんて威勢のいいコピーが並びますが、当時の日本のディスコの咀嚼力というか理解力というか、とても本場ディスコとは比べ物にならないほどのフツーの歌謡曲ですね。でもまあコレはコレでいいんです。当時の日本でのディスコの理解力はこんなモンです。


野口五郎/明日に向かって撃て(1978)

 当時ギターを持ったアイドルとして新しいアピールに成功した野口五郎ですが、ウエストコースト・サウンド全開で新機軸を打ち出した彼のバックには常にアップルズ=EVEがいました。動画は78年、まだアップルズ名義の頃のものですが、この年に彼女達はEVEと改名しています。改名は野口五郎の命名によるものでした。

野口五郎/恋の魔法使い(1979)

 誰もが知る大ヒット、LA録音の「真夏の夜の夢」と同時に録音されたのがレオ・セイヤーのカヴァー「You Make Me Feel Dancing」。「真夏の〜」同様もちろんこちらにもEVEが参加しています。本家レオ・セイヤー版はラリー・カールトンがギター弾いてるんですが、やぱり彼の師匠はサンタナではなくカールトンな気がします。ところでなんでこの曲のタイトル(邦題)間違ってクレジットされてるんでしょうね。

EVE / SUGAR SUGAR(1987)

 80年代、EVEは「CATS EYE」他杏里の大ヒット曲、1986オメガトライヴ、河合奈保子、小泉今日子、松田聖子、中森明菜、郷ひろみ(オクセンマン、他多数)、たのきん等ジャニーズ系、他ありとあらゆるヒット曲にコーラス参加しています。んで、自身名義で約10年振りとなる87年、TVCMソングを気に突如デジタル・ユーロビート路線に走ったEVE。こちらの曲はあたかも洋楽カヴァーのように見えますが、御承知の通りMARK DAVISは馬飼野康二氏の変名です。丸井のTVCM使用曲でした。

浅田飴パッション TVCM(1987)

 で、順序が逆になりますが、最後のこちらの動画はそのEVEのデジタル・ユーロビート路線のきっかけとなった浅田飴「PASSION」のTVCM。CMそれ自体は(出演してる)仙道敦子のタレントパワーに持っていかれた感の強いものですが、フルバージョンはこちら、同曲の日本語バージョンはこちらで。




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 2016年はなかったことにして欲しい、と思うは多いようです。たいていの人にとってはそんなこともないでしょうが、音楽ファンにとっては率がググっと高まります。SNS等で多く語られる「2016年不要論」ですが、もちろんそんなことは非現実的な話でして、つまり世界中の多くの人が「今現実から目を背けたくなる」という世相を現した証だと言えます。(2016年12月16日更新分/選・文=大久)



Natalie Cole dead at 65

 2016年は彼女の訃報で始まりました。2015年12月31日に亡くなったナタリー・コール(享年65)。偉大なる父の呪縛から逃れられたかどうかは定かではありませんが、グラミーを総なめにしたポピュラー・アルバム『UNFORGETTABLE』を持ち出すまでもなく、彼女は圧倒的な実力派でした。経歴と美貌がそれを邪魔したかもしれませんが。

5th Beatle George Martin dead, age 90

 3月9日、ジョージ・マーティンが亡くなりました。享年90。現役で音楽制作に関わったのはやはり60〜70年代中心ですから、もう40年も前の話です。ビートルズに関わった人の数は多いですが、中でも「この人がいなければ」という意味で彼はやはり筆頭の「関係者」でしょう。ビートルズの時代は既に終わりましたが、「語り部」も消えつつあります。

Legendary Keyboardist Keith Emerson Dead at 71

 今年の3月10日に亡くなったキース・エマーソンは日本ととっても馴染みの深いミュージシャンです。世界的にもそうですが、日本で彼の訃報に胸を痛めた人は多いハズです。当方もほんの少し関わりがありましたが、当方の知人には彼と結構深く関わった人が多く、驚くべき情報を知らされたりしたこともあります。

Prince Dead At Age 57

 「速報です。アメリカの音楽の象徴、プリンスが亡くなっている状態で発見されました」。4月21日以来彼に関するコントロールは遺族(そんなものがいたのか!と驚かれる方がいても不思議じゃないですが)の手に渡りました。そう、今後は今まで人前から逃れるように生きてきた遺族という人達の意思で、プリンスの音楽は売りに出されます。

Greg Lake, Legendary Pioneering Prog Rocker, Dead at 69

 12月7日、グレッグ・レイクが69歳で亡くなりました。キング・クリムゾンのファースト/アルバムこそが彼に名声を与えた決定打であり、ELPはその名声の遺産で過ごした、なんて考える当方は明らかにつまはじきに合うことでしょう(笑)。92年、ELP再結成ライヴを見ましたが、体型以外はバリバリ現役だったことに驚きました。まあ体型は元からアレな人でしたけど。



この訃報特集、次回に続きます。


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 2016年は多くの偉人が逝去しました。年をとれば人は死ぬ、ただそれだけのことで、とりわけ大したことではありません。ましてや「音楽無料化論」がはびこる昨今ですから、益々音楽家の生き様なんてのは価値が暴落して当然です。もうじき「教科書のない世界」がやってきます。それは今を生きる多くの人々にとって「勉強しなくて済む」という意味で、とっても気楽な世界が実現することになります。これが現実です。(2016年12月23日更新分/選・文=大久)


Otis Clay / Wild Horses (1997)

 ディープ・ソウルの雄、オーティス・クレイが1月8日に亡くなりました。享年73。ゴスペルからソウルへ、インディー(ハイ)からメジャー(ワーナー)へ、そして自社レーベル設立、という活動で知られる人です。一時期ディスコに走ったり、ストーンズのカヴァーやったり、そんな所も「大物ソウル・シンガー」らしいキャリアですよね。

Legendary Guitar Hero Glenn Frey Dies At 67

 グレン・フライが1月18日に亡くなりました。イーグルス時代と彼のソロの大成功(『ビバリーヒルズ・コップ』〜『マイアミ・バイス』)の時期は10年以上の開きがありますが、いずれのファンにとってもやはり大きなショックでした。ただし我々日本人にはピンとこないことですが、米国人にとっては彼は「ギター・ヒーロー」でもありました。


Scotty Moore & Eric Clapton live in concert

 個人的にロック・ギターというやつはスコッティー・ムーアが始めたものだと考えています。そのスコッティーが今年6月28日に84歳で亡くなりました。亡くなった時も彼の居場所はテネシー州ナッシュビルでした。勿論お会いした事は一度もありませんが、彼の個人HPには何故か当方の名が小さくクレジットされています。ささやかな自慢です。

Hey Joe (Live, Night Music 1990)

 当欄で何度も取り上げたことのあるハーモニカの巨匠トゥーツ・シールマンスが8月22日、94歳で亡くなりました。彼の場合は大往生と言ってもいいのかもしれませんが、後進が育ってないという点ではやはり寂しさを感じます。動画はニック・ケイヴによるジミヘンのカバーですが、チャーリー・ヘイデン(B)、デヴィッド・サンボーン(Sax)、オマー・ハキム(Dr)、ハイラム・ブロック(G)、そしてトゥーツ、という凄まじいメンツで録音されたもの。

Celebrities Who Died in 2016

 最後の動画は単なるまとめ動画。今年はデヴィッド・ボウイ、モーリス・ホワイト、ビリー・ポール、ガトー・バルビエリ、パパ・ウェンバ、バーニー・ウォーレル、ボビー・ハッチャーソン、ロッド・テンパートン、ピート・バーンズ、レナード・コーエン、ヴィクター・ベイリー、レオン・ラッセル、モーズ・アリソン、他多くの音楽家/音楽関係者が亡くなっています。合掌。


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