てりとりぃ放送局アーカイヴ(2017年3月10日〜2017年3月24日分)

 さてオランダのTV音楽番組、TOPPOP特集その2です。前回ご覧頂いておわかりのように、ほぼ口パク出演なわけですが、それでも動いてる/ライヴしてる姿を拝めるのはこの番組の出演ものだけかも、なんていう結構マニアックな面子が揃うところがさすがオランダ。それから、最近はもうこういう80年以前の音楽ってどこでも紹介されなくなっちゃったんですよね。少し寂しい思いもあるので、70年代の「若きスター」をいくつか。(2017年3月10日更新分/選・文=大久)


Daryll Hall & John Oates / Sara Smile

 誰もが知るホール&オーツの名曲ですが、76年当時この曲を映像で見た方は何人いたのでしょうか?シングル曲として彼らにとって初めての大ヒット曲がこれなので(その前は「She's Gone」の全米60位が最高位)、ここから彼らの歴史が大きく変わったといっても過言ではないと思われます。


The Guess Who / Clap For The Wolfman

 オッ、ゲス・フーですね。個人的な事情もあり取り上げないわけにはいきません(笑)。60〜70年代のカナダを代表するバンド、とはいえ74年のこの曲発表時既にメイン・ライターのランディー・バックマンはバンドを抜けてしまった時期で、バートン・カミングスがメインでバンドを引っ張っていきました。まあ今はもうバートンもランディーも仲直りして、一緒にツアー廻って大儲けしてるそうですが(笑)。

The Rubettes / Sugar Baby Love

 はいコチラも皆誰でもしってる名曲スね。近年ならAKB48「ラブラドール・レトリバー」のアレンジの引用元にもなった曲です。実は他のTOPPOP動画は公式にアップされたものなのですが、この動画はまだアップされてなかったので、他の方が上げたものを紹介しています。ちなみにルーベッツは、80年の解散の直前東ドイツの音楽番組にも出演したことがあるのだそうです。

John Cougar Mellenkamp / I Need a Lover

 初期ジョン・クーガー・メレンキャンプです。70年代中頃ボウイのマネージャーだったトニー・デフリーズに見いだされデビュー、こちらは彼のセカンド・アルバム収録のシングル曲で英国録音曲なのですが、やはり売れませんでした。しかし何故かオーストラリアで「のみ」この曲は一位を獲得。翌年名前をジョン・クーガーに改名し、同曲を再録したアルバムがアメリカで注目を集めて、やっと人気シンガーになりました。ここでの彼、ガムシャラ感、ありますもんね。


Manfred Mann / Mighty Quinn

 最後はこれです。69年の楽曲&映像なので、TOPPOPのために作られたものではありません。ていうかTOPPOP自体が1970年に始まった番組ですし。こちらはその前身とも言えるAVROTOROSという放送局のために制作されたプロモ映像で、70年以降は昔(60年代)の映像を買い取って、TOPPOPのアーカイヴとして保管・公開されたものです。マンフレッド・マンの、しかも(「ドゥワディディ」とかじゃなく)「Mighty Quinn」の映像、そりゃあ貴重ですよね。
さて、実は今まであえて80年代ものを避けて紹介していました。80年代は音も映像もエゲツナイ時代ですから。次回もお楽しみに。




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 TOPPOPライヴ映像、最終回です。で、今回は80年代特集です。TVが音楽と切っても切れない関係になったのはそれはもう80年代からの話でして、それ以前とはその関係性は全く違います。日本でも、アメリカでも、そしてヨーロッパでも同じですよね。TOPPOPはソウル音楽やヨーロッパのシンガーの映像が豊富に残っているのでその点でも貴重な存在ですが、最新のものも最新で紹介するという姿勢は昔から変わっていません。(2017年3月17日更新分/選・文=大久)


Taco / Puttin' On The Ritz

 82年のシンセポップの大ヒット曲「PUTTIN' ON THE RITZ」。1929年に同名ミュージカルのために書かれた古典曲ですが、80年代らしいデジタル・サウンドでよみがえらせたのがオランダ人シンガーのTACO。彼はインドネシア生まれ、ドイツで活動したシンガーでした。この曲で全米4位を記録しています。

The Blow Monkeys / Digging Your Scene

 TOPPOPはプレファブ・スプラウトとかキュリオシティ・キルド・ザ・キャットとかウェット・ウェット・ウェットとかスパンダー・バレエとかリヴィング・イン・ア・ボックスとかそういう映像も沢山あって、嬉しい限りなんですが(そんなのにヨダレを垂らす人種はもうあまりいないでしょうけど)やはりDRロバートのイケメンっぷりは最強です。

Rah Band / Clouds Across The Moon

 リチャード・アンソニー・ヒューソン。ビートルズ「ABBEY ROAD」の録音にも参加したということですが、そんな英音楽家が自分の奥さんと一緒にアーティスト活動を始めたのがこちらのRAHバンド。動画はPVなのでTOPPOPのライヴではないのですが、実はこのPV自体がとっても貴重で、おそらくここ1〜2年で初めて見たと言う人が多いのではないでしょうか。今から30年くらい前、同曲は日テレの深夜オビ情報番組で毎晩オンエアされてましたね。

The Primitives / Crash

 さて、プリミティヴズです。数年前オリジナル・メンバーの急逝を気に再結成したりもしましたが、なんといっても偉大なる一発屋。いまだにこの「CRASH」は衝撃的な新鮮さを保ってます。インディー時代のガレージ路線も、このあとのサイケ路線もまあ面白いんですけどね。同曲はYOUTUBEで公式PVがなぜかアップされず(されてもすぐ消される)、こちらの動画で楽しむしかないんです。

Akiko Kobayashi / Koi ni Ochite (Fall In Love)

 最後はこちら。「恋に落ちて」の小林明子さんが無類のプログレ好きであること、ジェフ・ダウンズとかスティーヴ・ハウ等と共演作を発表したりしてることも有名かと思います。80年代にオランダのTV番組でなぜこの曲を披露することになったか、そしてこの曲を聞いた人がどう思ったかは今は知る由もありませんが、考えてみれば同曲は今も昔もアジアン・ポップスとして最も王道のものかもしれませんね。



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 昨日、イギリスで最も大きな音楽賞「BRIT AWARDS」が行なわれ、2017年度最優秀作品賞(プレゼンターはノエル・ギャラガー)がデヴィッド・ボウイ『★』に授与されました。亡くなった当人にかわって授賞式に出席し、賞を受け取ったのはボウイの息子ダンカン・ジョーンズ。以下は彼による受賞のコメント——「昨年、父を失いました。しかし同時に、私は父になりました。昨年のショッキングな出来事が起きて以降、私は自分の息子に“君のお爺さんがどんな人間だったか”を知って欲しいと思い、そのために多くの時間を費やしました。過去50年、父のファンの人々もおそらく同様だったと思うのです。父はいつも“ちょっと風変わり”“ちょっと奇妙”“ちょっと他人と違う”そんな人達の為に存在していました。この賞は、全ての子供達(Kooks)のため、これから子供を授かろうとしている人々のための賞です」。で、今回はその「Kooks」特集。(2017年3月24日更新分/選・文=大久)


British Album of the Year - The BRITs 2017

 上記の授賞式の模様と受賞コメントの動画がこちら。知らない人にはナンノコッチャでしょうけど、「Kooks」がボウイの曲名で、息子の生誕を祝った曲だ、と知ってる人にとっては涙もののコメントでした(ボウイの未亡人イマンもこのコメントに感動したと言っています)。

David Bowie / Kooks (1971)

 「Kook」=変わり者、変人、の意味ですが、71年5月にボウイは第一子ダンカン(幼少期は彼を“ゾウイ”と呼んでいましたが後に正式改名)を授かった際に「Kooks」という曲を書き上げています。ようはデレデレなバカ親っぷりを書いたお祝いソングなのですが、その息子を「変わったヤツ」と表現するあたりがボウイらしいですね。


Danny Wilson / Kooks (1987)

 でそのカヴァーをいくつかご紹介。80年代後半のアコースティック・ポップの人気ユニット、ダニー・ウィルソンがこの曲を87年に取り上げています。正直申して、この曲って原曲から変えようがないんですよね。原曲がどこもかしこもあまりにも完璧に出来上がっているからだと思われますが。

Robbie Williams / Kooks (1997)

 何年たとうがその真理は変わりません。ダニー・ウィルソンのカヴァーから10年後、あのロビー・ウィリアムスが同曲のカヴァーを披露していますが、やはりやはり、今回もよりシンプル&ソリッドに、原曲の根本の部分だけを剥き出しにしたカヴァーとなりました。

Kim Wilde / Kooks (2011)

 最も新しいカヴァーがおそらくコレかと思われますが、キム・ワイルド姉さんのカヴァー・アルバムに収録されたこちらも、やはり原曲を忠実に踏襲したアコースティック・フォークとなっています。現在もお元気なお姉さん、実はドイツで今でも大人気です。


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