今年実はフリーソウル20周年なんです。当方も個人的にとっても感慨深いものがありますが、まあそんなことはともかく、今回は特に英国でも人気の高いジョニー・ブリストル作「HANG ON IN THERE BABY」の聴き比べをしてみます。70年代ソウルの超名曲ですが、発表当時は「隠れた名曲」だったんですよね。でも名曲すぎていまや隠れる場所もない程に有名になってしまいました。ちなみにジョニー・ブリストルは2004年3月、65歳の若さで亡くなっています。(2014年9月5日更新分/選・文=大久)
Johnny Bristol / Hang On In There Baby (1974)
もう完璧なフリー・ソウル・クラシック、ですね。この天にも昇らんばかりの輝かしいアレンジはH.B.バーナム、というベテラン・アレンジャーの手によるもので、彼は50年代にカウント・ベイシーやフランク・シナトラを、60年代にはアレサ・フランクリンやシュープリームスを、そして70年代にはルー・ロウルズを手がけた人物。 Bette Midler / Hang On In There Baby (1979)
ベット・ミドラーが79年に発表した5作目となるアルバム『THIGHTS AND WHISPERS』は、それまでの路線から一変、いきなりディスコ・オリエンテッドなダンス・アルバムとなりました。その中で取り上げられたのが「HANG ON IN〜」だったわけですが、例によってアリフ・マーディン制作、ブレッカー兄弟やアンソニー・ジャクソン、フィル・リー、リチャード・ティー。ルーサー・ヴァンドロス等が大挙参加した豪勢なアルバムとなっております。
Alton Mcclain and Johnny Bristol / Hang On In There Baby (1981)
ジョニー・ブリストル本人によってこの曲はセルフ・カヴァーが81年に残されていますが、再録に当たってはなぜかアルトン・マクレイン&デスティニーという女性3人組グループとのジョイント・カヴァーとなりました。アレンジはオリジナルとほぼ変わりないようにも思えますが、それでもやはり名曲は名曲。アルトン・マクレイン〜のほうも、フリー・ソウル・ファンにはなじみ深い名前ですよね。 Curiosity / Hang On In There Baby (1992)
キュリオシティー・キルド・ザ・キャット、というイギリス出身のアイドル・ポップ・グループをご記憶の方もいるかと思います。デビュー・アルバム(87年)がいきなり全英1位を獲得した彼らはソウル・オリエンテッドな曲でも人気ですが、92年、この頃にはグループ名を「キュリオシティー」と短くした頃に発表したのがこの「HANG ON IN〜」のカヴァー。こちらも見事全英3位を記録していますが、翌年グループはあっけなく解散しています。 Gary Barlow / Hang On In There Baby ft. Rosie Gaines (1998)
Twiggy and Bryan Ferry / What A Wonderful World (1974)
70年代初頭、自身の冠番組を持ったツイギーでしたが、そこでのデュエット映像。ブライアン・フェリーと「WHAT A WONDERFUL WORLD」を歌うお姿です。相変わらずキュートで可憐なツイギーさんはともかく、あのフェリー先生が学校の生徒役で演技する、なんていう信じられない演技を見る事ができます。それにしてもツインテールのツイギーの破壊力は絶大です。明らかにフェリー先生の趣味とは真逆の女性ですが(笑)。
こんな選曲をされてしまうと、もう自虐的というか、どこか藤圭子的なテイストを感じてしまいます(笑)。77年、子供向けTV番組「MUPPET SHOW」に出演し、ビートルズ「IN MY LIFE」をカヴァーした模様です。ちょうどこの頃彼女はマーキュリー・レコードと契約していて、カントリー・アルバムを数枚発表してもいます。
Twiggy & Bing Crosby / Have Yourself A Merry Little Christmas (1977)
超名曲、ですね。でこれを取りあげているのは魅惑のキラーヴォイス、ルー・ロウルズ。74年の録音なので、まだ「You'll Never Find Another Love Like Mine」のヒットを出す前ということになります。H&Oのオリジナルのほうがよりディープなソウル臭がしますが、さすがルー・ロウルズはもう少し爽やか&タイトなアレンジで聞かせてくれます。