67年3月発表のこのシングルで、かまやつひろし本人もほんのすこ〜しだけ同ファズ、マエストロFUZZ TONEを使用しています。実はこのマエストロ製ファズはかまやつ〜三原の両人の手を経由して、大阪の楽器ブランド、エース電子工業の社長・梯郁太郎の手に渡ります。そしてその数週間後にはこのファズのコピー製品が同社製ACE TONE FM-1という名で商品化されました。現物が数週間後にかまやつ氏の手に戻ってきたときにも、そんな話(商品化)は一切しらなかった、とのこと。梯郁太郎はその後独立し、同じ大阪にてローランド社を興した人物。
今回の聴き比べでは(同曲カヴァーで最も有名な)ヴァン・ヘイレンは出てきません。そのかわり最狂のカヴァーをご紹介。モット・ザ・フープルのデビュー盤に同曲カヴァーが収録されているのですが、こちらの動画は70年に仏TV番組「BEAT CLUB」出演時のライヴ映像。インストで、こんだけスピーディーに荒れ狂う、最高のモットの映像です。10年早かったパンク・バンドとも呼ばれるモット・ザ・フープルですが、今はヒットを量産したグラムロック期よりもこちらのほうに注目が集まるのも頷けます。 Sly Stone / You Really Got Me (1966)
スライが60年代中期にスタジオ・ミュージシャンとして活動していたことは有名ですが、数年前にその60年代のスタジオ・ワークや自身のデモ音源をまとめたコンピにてお披露目された、スライのカヴァー。66年に当時スライが参加していたボビー・フリーマンのために用意したデモ演奏だそうです。ちなみにスライはその後、82年のバンド最終作『AIN'T BUT THE ONE WAY』でもこの曲をカヴァーしています。
Robert Palmer / You Really Got Me (1978)
ロバート・パーマーのカヴァーセンス、それはもういっつも最高ですよね。78年作『DOUBLE FUN』はドロドロにファンキーな南部ソウル・テイストのホワイト・ソウル名作として有名ですが、フリーのベーシスト、アンディー・フレイザーが参加していることに加えて、プロデューサーが(サルソウル関係でおなじみ)ディスコの帝王トム・モウルトンだということも特筆すべきでしょう。 Dalek I / You Really Got Me (1980)
文字で書くと「DELEK I」ですが「デレク・アイ・ラヴ・ユー」と読みます。クラフトワークのサウンドに衝撃を受けたという英リバプール出身のシンセ・ポップ・バンドでしたが、このバンドのボーカルのアラン・ジルは並行してジュリアン・コープ等とティアドロップ・エクスプローズを結成、そちらではギタリストを担当しています。うーん、シュールですねえ。 Oingo Boingo / You Really Got Me (1981)
オインゴ・ボインゴです。79年に再結成してからニューウェイブ色をギンギンに強めたバンドとして再出発を計ったアルバム『ONLY A LAD』収録曲。今聞いてもスゲエ新鮮ですよね。リーダーのダニー・エルフマンはバンド活動と並行しTVや映画音楽も手がけ、89年の「バットマン」や93年の「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」他ティム・バートン関連の映画でおなじみかと思われます。