2015年7月3日(金)

 
ヒトコト劇場 #65
[桜井順×古川タク]







 
ミシェル・ルグランの最新映画音楽と自伝が発売!!


 傘寿を迎えてなお精力的な活動を続けるフランス映画音楽界の巨匠ミシェル・ルグラン。彼は83歳の現在も、世界各地で数多くのコンサートを行ない、その合間をぬっては、多種多様なアーティストとのアルバム制作や自伝の執筆、そしてバレエにオペラなど、様々な分野で新作を発表し続け

ている。しかし映画音楽の新作が絶えて久しく、それを心待ちにしていた映画ファンも多いことだろう。
 『チャップリンの贈りもの』は、そんな彼の最新作で、フランス本国では今年1月に公開された。前作となるダニエル・ノア監督による『マックス・ローズ』は、2013年度のカンヌ

国際映画祭で特別上映されたものの、その後、諸般の事情で音楽が差し替えられる憂き目に合い、遂には映画自体がお蔵入りとなったため、劇場公開作品としては、本作が『100歳の少年と12通の手紙』(2009年)以来、実に6年振りの作品となる。
 ピアニストのエリック・ベルショを迎えたオーケストラ演奏を中心に、ルグラン・トリオによるジャズ演奏や、ミシェルのピアノ・ソロも含まれた『チャップリンからの贈りもの』のサントラ盤は、7月8日にランブリングレコーズより発売。ミシェル・ルグラン健在なり、を実感出来るアルバムだ。
 そして、7月25日にはアルテスパブリッシングよりミシェルの自伝『ビトゥイーン・イエスタデイ・アンド・トゥモロウ』が刊行予

定。これは二年前に本国で刊行後されベストセラーになった単行本の日本語版で、筆者が監修を手掛けている。併せて手に取っていただきたい。ちなみに同書の刊行を記念して、7月(幡ヶ谷パールブックショプ&ギャラリー)、8月(下北沢B&B)、9月(御茶ノ水エスパス・ビブリオ)と3ヶ月連続でルグラン関連イベントを開催する予定。詳細は各店舗までお問い合わせ下さい。
(濱田高志=アンソロジスト)
『チャップリンからの贈りもの』公式サイト http://chaplin.gaga.ne.jp



カットからスタイル画まで 〜30年の軌跡をたどる展覧会


 一昨年、54歳の若さで逝去したファッション・イラストレーター、森本美由紀さんの回顧展が、東京・弥生美術館で今夏開催される。音楽、ファッション誌、グッズ、さらには海外の仕事と、幅広く活躍。とくに墨で描かれた、伸びやかでファッショナブルなスタイル画は多くの人を魅了した。「ピチカートファイブ JPN」のジャケットで森本さんのイラストレーションを知った人も多いだろう。
 昨年には森本さんと長く

仕事でタッグを組み、公私ともに親しかったライターの井出千昌さんを代表とする友人知人で構成された「森本美由紀作品保存会」が発足され、原宿のペーターズショップ&ギャラリーで回顧展を行なった。たった1週間の展示にもかかわらずギャラリーの動員数記録を塗り替えるほど多くの人々が来場し、その人気の高さを印象づけた。
 さて弥生美術館での回顧展「ファッション・イラストレーター森本美由紀展〜

カジュアルからモードまでースタイル画を描いた30年の軌跡」では、セツ・モードセミナー在学中の20代前半の頃の作品をはじめ、ロットリングやマーカー、色鉛筆などを使った50年代アメリカ風のファッショナブルな作品や、翻訳小説のカバーなどで描かれたエレガントな女性像、スタイル画など約500点の原画や印刷物が展示される(会期中展示替えあり)。「イラストレーションは、デザインされ、印刷されたものが最終形」と常々語っていた森本さんは、原画自体を展示することが少なかったこともあり、美術館での初めての展覧会となる本展で原画が見られるのは貴重な機会だ。ホワイトで大胆に修正された作品など、森本さんの制作時の臨場感を感じられるのではないだろうか。
 本展に合わせ『森本美由

紀・女の子の憧れを描いたファッションイラストレーター』(内田静枝・編)、『タマちゃん the Onion・もうひとりの森本美由紀』(森本美由紀作品保存会・編)がいずれも河出書房新書から発売される。前者は時代を追って作品を掲載した本展の図録的なもの。アトリエの写真やバービー人形などの森本さんのコレクションも紹介される。後者は森本さんの分身的キャラクターであるタマネギの妖精「タマちゃん」のマ

ンガやカットをまとめたもの。「タマちゃん」は締切に遅れることが多かった森本さんのお詫び要員として原稿袋の端にちょこんと登場したのが最初。それを面白がった編集者によって『mcシスター』の連載マンガとなり、その後、さまざまな媒体でも活躍した。
 展覧会とこれらの書籍で、あらためて森本さんの仕事はもちろんのこと、その人柄を感じて欲しい。
(吉田宏子=888ブックス
森本さんに関する情報を随時更新 公式ブログ http://info-morimoto.seesaa.net/




ファッション・イラストレーター森本美由紀展
—カジュアルからモードまでースタイル画を描いた30年の軌跡

会期:2015年7月3日(金)〜9月27日(日)月休(7月20日開、21日休/9月21日開)
時間:10:00〜17:00(入場は〜16:30)
会場:弥生美術館(東京都弥生2-4-3 ☎03-3812-0012)
会期中にイベントあり。詳細は美術館Webサイト参照。
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/




夏のタマちゃん祭り
—タマちゃんって、こんなコなの—

東京・代々木上原の小さなスペースに、タマちゃんが現れる。原画やパネルの展示のほか、新たに制作されたグッズを販売。
会期:2015年7月30日(木)~8月9日(日)月・火・水休
時間:13:00〜19:00(木・金)/11:00〜19:00(土・日)
場所:パールブックショップ&ギャラリー(東京都渋谷区西原2-26-5-102 ☎090-2670-5277)
http://pearlmansion.com/

(画像は「ピチカートファイブ JPN」のための原画。1997年)