業界激震の人工頭脳。今も売り切れ続出で入手困難な製品です。なんとコードをジャカジャカと演奏するだけで、勝手にベースラインとドラムパターンを生成してしまうという「1人っきりのコンサートIN MY ROOM」機材。シコシコとMTRをあやつる時代はもう終わりました。今はこういうことがリアルタイムでできてしまいます。つまりこのペダルを持ってれば「なんの準備もいらなずにバンド演奏できちゃう」という恐ろしい機材です。
こちらも業界激震の最新機材です。プロファイリング・アンプといって、あらゆるアンプのサウンドを「コピー」してしまうという機材なんです。ご承知のようにギターアンプは今だに真空管を使ったり気温や環境で音がすぐ変わったりと気難しい機材ですが、これさえあれば世界中どこにいってもいつも完璧なアンプの音を出せてしまうという。デモ演奏してるのは元ジュディマリTAKUYA氏です。 Tony Levin demonstrates the Kemper Profiling Amplifier
現在のようにA=440Hzではなかった時代(註:世界基準として国際標準化機構“ISO”によりA=440Hzが設定されたのは1953年)の音楽は、そりゃあ今とは何もかも違います。で今回は戦前のデルタ・ブルース曲「I'M SO GLAD」というブルース・ナンバーの聴き比べをやります。一体何が嬉しいのか歌詞を読んでもその意味はさっぱり分かりませんが(笑)、とにもかくにもこの曲は現在にまで歌い継がれる「ブルース・クラシック」なわけです。(2015年10月16日更新分/選・文=大久)
Skip James / I'm So Glad (original version / 1931)
でメイズ「I'M SO GLAD」はその後ディープ・パープルによって受け継がれ、DPの初期レパートリーになりました。パープル期になってからは、歌が始まる前に「PRELUDE : HAPPINESS」というオルガンのインプロ部が導入されていますが、正直そこはどうでもいいですね(笑)。ちなみにディープパープルは68年10月のクリーム解散ツアーで前座をやっています。
新しめのカヴァーを最後にご紹介。03年に公開された「SOUL OF MAN」というブルースに関するドキュメンタリー映画の中で披露された、ベックによる同曲カヴァー。これ凄いですよね。今どきのアンチャンが、まるで戦前かよ(まあオリジナルは本当にそうなのですが)と思わせるほどの迫力です。日本人に絶対真似できないカヴァーです。ちなみに動画の後半にはスキップ・ジェイムスの映像が流れますがこちらは60年代に復帰後の彼の演奏映像。
サンディー・ショウ姉さんによるカヴァー。心が洗われますね。本曲を収録した『REVIEWING THE SITUATION』はディラン、ドノヴァン、ラヴィン・スプーンフル、ZEP、ビートルズ、ストーンズの曲などを歌ったカヴァー・アルバムですが、ルーファス・トーマス「WALKING THE DOG」なんていうド・ファンク曲にも挑んだりしてます。ここでドラム叩いてるのは後にクリムゾンに参加するイアン・ウォレス。
93年に発表されたZEPトリビュート・オムニバス盤でシェリル・クロウ姉さんが披露した「デジャ・メイク・ハー」のカヴァー。この曲のタイトル、なんでこうカタカナ読みするのか長年不思議に思ってたんですが(「D'yer maker」は「Did you make Her?」="お前、彼女とヤったか?"の略表記)、イギリス人の発音でこれを発すると「ジャマイカ」に聴こえるんだそうです。で、そこから「じゃあレゲエ曲っぽくしよう」というアイデアが生まれたとのこと。
Duran Duran / Thank You (1995)
95年のデュラン・デュランのカヴァー・アルバム『THANK YOU』から。元曲も最高ですけど、これ最高ですねえ。実はこの曲、ギターメーカーのギブソン社が行なった「感謝を伝えるベストソング」アンケートで1位を獲得した曲でもあります(ちょっと安易な選択の気もしますが)。また、デュランのカヴァーと同じ95年にペイジ&プラント名義でセルフ・カヴァー版も録音・発表されました。 Boys From County Nashville / The rain Song (2007)