てりとりぃ放送局アーカイヴ(2017年2月10日〜2017年3月3日分)


 とっても個人的な契機を理由とするものではありますが、ヘアスタイルの特集をやってみます。以前当欄にて「マレットヘア」を特集した回があり、長い歴史をほこる「てりとりぃ放送局」でも随一のバカバカしい特集だと自負しておりますが(笑)、今回はそれに続く馬鹿馬鹿しい特集です。ええ、なんと今回は「シーガルズ・ヘア」の特集です。(2017年2月10日更新分/選・文=大久)


A Flock Of Seagulls / I Ran (So Far Away) (1982)

 シーガル=鴎(カモメ)。ですが、ヘアスタイルを指すシーガル・ヘアは、動物から付けられたものではなく、このイギリスのニュー・ウェイヴ・バンドから付けられたものです。フロック・オブ・シーガルズは1980年にリーダー&ヴォーカルのマイク・スコアを中心にリバプールにて結成されたバンドで、大ヒット曲「I RAN」でお馴染みですね。ですが、この時点でマイク・スコアは「シーガル・ヘア」ではありませんでしたが。



A Flock Of Seagulls / Space Age Love Song (1980)

 そして、きました。シーガル・ヘアです。マイク・スコアが見せた、鮮烈なサイド・アップ&前髪垂らしをみせたこのスタイルこそがシーガル・ヘアです。とはいえこの時点では「奇をてらった」感は否めなく、これをオサレと呼ぶ人は誰もいませんでしたけど。


A Flock Of Seagulls / Wishing (If I Had a Photograph of You) (1983)

 実は本家フロック・オブ・シーガルズも、このシーガル・ヘアを一年ほどしか続けていません。ん、まあその理由はわかりますけどね(笑)。ですが1982〜83年頃は、まさにニュー・ウェイヴを代表する「一番イケてた髪型」だったことは間違いありません。漫画「STOP!ひばりクン」の読者ならご存知かもしれませんが。


Japan / Methods Of Dance (1982)

 その証拠とも言える動画をひとつ。名作ライヴ盤『OIL ON CANVAS』にも収録された、JAPANの最終ライヴ・ツアーでギターを弾く土屋昌巳氏のヘア・スタイル。これはもう当時間違いなく世界でイチバンカッコいいヘアスタイルでした。この6分の動画だけで、ミック・カーンのカニ歩きとか、土屋氏の不可思議な挙動とか、語り出せば切りがないのですが(笑)。後に研ナオコや近藤真彦がこのアレンジ版ヘアを披露したことをご記憶の方もいるはず。

Behind The Vinyl - "I Ran (So Far Away)" with Mike Score from A Flock Of Seagulls

 さて、最後にフロック・オブ・シーガルズのマイク・スコアの最新動画を。実は彼はバンドマンになる前はヘアドレッサーでした。なのでバンドを始めると同時にヘアスタイルで目立とうとしたのでしょうね。そんな彼の現在の姿はこんなカンジです。彼はこのヘアスタイルで今も「I RAN」をステージで歌っています。そんな彼を誰が責められるというのでしょうか。




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 更新が少し遅れて申し訳ありません。ネタが切れてまして。といいますか、殆ど当欄はギリギリのタイミングで書いてるので、こんなこともあるワケです。で、今回はグラムロック特集。なんだよまたかよ、と思われるかと思いますが、今回は「グラムロック、その後」の特集です。時代と共に、音楽は変わります。グラムロックとて例外ではありません。(2017年2月17日更新分/選、文=大久)

Spiders From Mars / Rainbow (1976)

 デヴィッド・ボウイのジギー時代のバック・バンド、スパイダース・フロム・マースは1976年に再結成しています。とはいえボーカルは勿論違うし、ギタリストも違います。んで76年に一発やってみたのがこちら。ポップ・プログレ・バンド、ケストレルのフロントマン2人を引っ張って来ての再結成なので、こういうフュージョン臭いことになりました。これはこれでまあ悪くないんですけどね。

Sweet / Funk It Up (1977)

 スウィートはハードロック・バンドとしてアメリカに活路を見いだしてますが、まあまあの成功を得たので、グラムロックが死んだ後もしばらく長生きしています(笑)。こちらは77年発表のアルバム『OFF THE RECORD』からの曲で、ご覧の通りド・ファンクをやってみた、という曲。こういうマッチョ・ファンク路線、スウィートには似合わないと思うんですけどね。

Sweet / Love Is Like Oxygen (1978)

 スウィートをもう1曲。こちらは翌78年、ヒットを記録(アメリカで8位、イギリスで9位)した曲ですが、もはやグラムでもなんでもなく、プログレ・ポップなさわやかさ(笑)。先日掲載したUKのポップ路線もそうですが、パンク〜ニュー・ウェイヴ以外のベテラン勢は、まあこの時代はこうなっちゃいますよね。

801 / Live (1976)

 ブライアン・イーノはロキシー脱退後あらゆる活動に手を出してますが、中でも一番ポップなものがおそらくこの801というユニットへの参加でしょう。サイモン・フィリップスというバカ上手なドラムがウリでもありますが、よりジャズ・フュージョン色を増したサウンドはまさに時代の成せる技でしょう。

Gloria Jones / Get it on (1976)

 最後は変わり種。御承知のとおり、マーク・ボランの奥さん(でも籍は入れてない)だったグロリア・ジョーンズがカヴァーした、T-REXの「GET OT ON」。彼女は74年から77年までT-REXで歌い続けましたが、そんな最中に残されたソロ作『VIXEN』は、大半の曲をマーク・ボランが提供しています(プロデュースもボラン)。なのに曲はやっぱりファンキー・ソウル。




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 いやあ、先週は歴史ある「てりとりぃ放送局」史上初めておやすみさせていただきました。申し訳ありません。ひとえに多忙故の出来事でして、「貧乏ヒマ無し」はもういい加減に自分でもなんとかしたいと思ってるのですが。さて今週は普通に更新しますよ。今回はオランダで長い歴史を持つ名物音楽番組「TOPPOP」の特集です。70年〜88年まで、20年近く続く番組なんてのはヨーロッパにおいて極めて珍しい例です。その番組の名演集その1、まずは70年代B級ポップもの特集です。(2017年3月3日更新分/選・文=大久)

Pilot / Magic

 実はですね、TOPPOPは近年その膨大かつ貴重な名演の数々をいきなりドドンとYOUTUBEに片っ端からアップしてまして、そのアーカイブたるや恐ろしいものです。まずはこちら。毛皮のマリーズの元ネタとしてもしられる(笑)、パイロット「MAGIC」のTVライヴ。パイロットはB級ポップマニア御用達のバンドですが、動いてるシーンを知ってる人はあまりいないんじゃないでしょうか。

Andy Gibb / Shadow Dancing

 ビージーズの兄弟なのに、ビージーズではなくソロ活動を(しかもアイドル歌手でした)選んだアンディー・ギブ78年の大ヒット曲。全米No.1を記録した曲ですが、この曲の前も、それからこの曲の後も、No.1の座に座ってたのはビージーズの曲でした。そういう時代、だったんですね。

Slade / Everyday

 ガラガラ声でマッチョなグラム・ロックを歌う肉体派、スレイドですが、こんなメロウなバラードも歌ってるんです。それにしてもスレイドのベースの人の髪型はいったいどうなってるんでしょうか。三戸なつめさんどころではない自体になっていますが。

Smokie / Needles And Pins

 マイク・チャップマンが売り出したポップ・バンド、スモーキーの77年のシングル曲。もちろんサーチャーズやジャッキー・デシャノンで有名なあの60年代ポップのカヴァーです。面白いのは、彼らのこのカヴァーはUKでは10位でしたが、ドイツやオランダ等ヨーロッパの各国では軒並み1位を記録した、ということでしょうか。


10CC / I'm Not In Love

 全然B級じゃないスけど、今週の最後はこれ。以前日本のトップ音楽誌の編集長が誌面上で「どこがいいんだこんな曲」と言ってたことがありましたけど(笑)、どこってエレピの音とコーラスの重ね方がいいんです。他はまあどうでもいいカンジですけど。さて「TOPPOP」のTVライヴ(でも全部口パク)特集は次回も続きます。お楽しみに。



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