[桜井順×古川タク]
宙明サウンド40周年
「宙明サウンド」とは、作曲家・渡辺宙明が産み出したヒーロー番組やロボットアニメーションの音楽に代表されるカッコよくて哀愁感、ブラスサウンドを基調にした音楽のこと。 記憶に新しい昨年夏、テレビ朝日系の『題名のない音楽会』におけるヒーロー音楽の特集にて、渡辺宙明
がステージに登場して、スーパー戦隊シリーズの元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』のほか、『バトルフィーバーJ』などの音楽がフルオーケストラによって演奏された。その時にふと、ツイッターのタイムラインをテレビ朝日のハッシュタグに切り替えてみると、「懐かしい!」「このヒトが作っ
たの?」「CDは出てないの?」「配信は?」といったコアなサントラユーザーではない人々のつぶやきも多く見受けられた。それと「宙明サウンド」の起点となる作品、特撮は『人造人間キカイダー』、アニメでは『マジンガーZ』が共に一九七二年、ちょうど二〇一二年は宙明サウンド誕生四十周年!ならば記念のCDボックスでも出来れば良いなと、コロムビアのディレクターに企画提案した後、内容が紆余曲折、劇場版『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE』も追い風となって実現したのがこの2枚組CD『スーパー戦隊+宇宙刑事渡辺宙明ベストミュージックファイル』。 メーカーの制作担当の方との打合せで、BGMは初収録曲は探さず、あくまでも過去にコロムビアから発
売されたトラックからのセレクト。過去のレコードや数曲を1つのトラックにまとめた形を崩せないとのお達しにより、他の専門ライターさんたちが作り上げた構成内容からの選曲なので、非常に心苦しい感じはあったが、アルバムタイトルは解り易く、僕がバップ勤務時代から辞職後も一部他社で出している、サントラを中心にした(サントラ以外も出したから…)ミュージックファイルシリーズの名をちゃっかり使ってしまった。主な内容は別掲スペックの通り。このCDに付随して、二月一日に発売になった雑誌『東映ヒーローMAX』通巻四十号では、渡辺宙明先生と僕との対談記事も掲載された。宙明先生は本当にお元気なので、これからも長生きして欲しい。 ︵高島幹雄=パッケージクリエイター︶
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屋久島古謡「まつばんだ」との出会い
旅行は行き当たりばったりなほうが面白い。僕の場合、仕事での旅は基本的にスケジュールがしっかり立てられているものですが、プライベートでは流れに身を任せた方が楽しい。強く感じたのは2009年の初夏。僕のパートナー・えぐさゆうこは以前から奄美シマ唄を習っていました。彼女は父方のルーツが屋久島で、ある時、そこにも古謡があるのでは?と思い立ち
ました。ネットで検索してみると、わずか一曲の情報のみ。「現地に言ってみたら何か手掛かりがあるかも」という話になり、ダメ元で二人で訪ねて見ることにしました。 鹿児島経由で飛行機を乗り継ぎ、屋久島へ。到着早々唄探し、というわけでもなく、何となく宿からバスに乗り、少々賑やかな町を少し過ぎた停留所で降りて歩いてみました。すると、民家の駐車場で、座りながらサツマイモを食べている夫人の姿が。「もしや唄の手掛かり知ってるかも」と彼女。突然声掛けるなんて、と遠慮している僕を振り切り、彼女が話しかけてみると、「一人、昔の話を集めている人がいるから、その方に聞いてみる」との答え。しばらく待っていると、お土産屋さんで働いている木
下さんを紹介してくださいました。「ウチに売ってるCDにあるよ」との答え。お店に行ってみると、ありました!その名も「屋久島のわらべ唄・民謡」という二枚組。地元の高校に在職していた先生が、当時収集した古い音源のカセットテープを何かの記念にまとめたCDだとか。早くも旅の目的は果たせた!喜ぶ僕達。更に調子に乗り、勢いで近所の安房中学校に飛び込みで訪ねて行きました。すると教頭先生がブラスバンドの子供達を紹介して下さり、練習中にも関わらず、その場で地元に伝わる門付けの唄を唄ってくださいました。先生は更に一湊という集落の「綱引き唄」の唄い手の方を紹介してくださったり、と旅の初日にして急展開。サツマイモから始まった、という訳ではありませんが、それこそ芋づる式にご縁が
| できていくのでした。 この旅のお陰で、民謡音階に琉球旋法が混ざっている、とても珍しい「まつばんだ」と言う唄を知ることができました。難しい曲でタイトルも謎が多いです。 なんとかモノにするべく、この曲を中心に二人でライブ活動を重ねていく中で、CDはないの?と言う声も頂きました。まだまだ掘り下げなければならないところもありますが、現時点で の記録、ということで一つ形にしようと思いました。手弁当で作った五曲入りのミニアルバム。是非聞いて頂ければ幸いです。 ︵江草啓太=ピアニスト︶ |
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