2012年2月17日(金)

ヒトコト劇場 #3
[桜井順×古川タク]






宙明サウンド40周年

 「宙明サウンド」とは、作曲家・渡辺宙明が産み出したヒーロー番組やロボットアニメーションの音楽に代表されるカッコよくて哀愁感、ブラスサウンドを基調にした音楽のこと。
 記憶に新しい昨年夏、テレビ朝日系の『題名のない音楽会』におけるヒーロー音楽の特集にて、渡辺宙明

がステージに登場して、スーパー戦隊シリーズの元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』のほか、『バトルフィーバーJ』などの音楽がフルオーケストラによって演奏された。その時にふと、ツイッターのタイムラインをテレビ朝日のハッシュタグに切り替えてみると、「懐かしい!」「このヒトが作っ

たの?」「CDは出てないの?」「配信は?」といったコアなサントラユーザーではない人々のつぶやきも多く見受けられた。それと「宙明サウンド」の起点となる作品、特撮は『人造人間キカイダー』、アニメでは『マジンガーZ』が共に一九七二年、ちょうど二〇一二年は宙明サウンド誕生四十周年!ならば記念のCDボックスでも出来れば良いなと、コロムビアのディレクターに企画提案した後、内容が紆余曲折、劇場版『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバンTHE MOVIE』も追い風となって実現したのがこの2枚組CD『スーパー戦隊+宇宙刑事渡辺宙明ベストミュージックファイル』。
 メーカーの制作担当の方との打合せで、BGMは初収録曲は探さず、あくまでも過去にコロムビアから発

売されたトラックからのセレクト。過去のレコードや数曲を1つのトラックにまとめた形を崩せないとのお達しにより、他の専門ライターさんたちが作り上げた構成内容からの選曲なので、非常に心苦しい感じはあったが、アルバムタイトルは解り易く、僕がバップ勤務時代から辞職後も一部他社で出している、サントラを中心にした(サントラ以外も出したから…)ミュージックファイルシリーズの名をちゃっかり使ってしまった。主な内容は別掲スペックの通り。このCDに付随して、二月一日に発売になった雑誌『東映ヒーローMAX』通巻四十号では、渡辺宙明先生と僕との対談記事も掲載された。宙明先生は本当にお元気なので、これからも長生きして欲しい。
︵高島幹雄=パッケージクリエイター︶
宇宙刑事シリーズ30周年+スーパー戦隊シリーズ35作+宙明サウンド40周年
トリプルアニバーサリー

スーパー戦隊+宇宙刑事 渡辺宙明 ベスト ミュージックファイル


2012年2月22日発売 COCX-37248〜9/CD2枚組/税込3,150円
発売元:日本コロムビア

ブラスロックなどのアクション音楽、流麗なストリングス、哀愁のトランペット…。「宙明サウンド」のエッセンスを凝縮したセレクション・アルバム。TVサイズ主題歌と、数々のシーンから聞こえたおなじみのBGMを全65曲を収録。封入の28Pブックレットには、渡辺宙明近影+コメントに印刷サイン付き、収録曲の出典アルバムデータも含む紹介文、一部の曲に当時のアルバムからの渡辺宙明寄稿文の採録などを満載。最新デジタル・リマスタリングで、過去のCDよりも音量レベルとサウンドの解像度の大幅アップ。【企画+リマスターも含むトータル・ディレクション:高島幹雄】

このCDに収録の全9作品が各16曲の配信アルバム化! CD発売と同時にiTunesにてオールエリア配信。1曲だけの購入も出来ますが、アルバム購入をすると、簡単な紹介文と出典アルバムデータを記載したデジタルブックレットが付きます。
宇宙刑事シリーズ3タイトル 宇宙刑事ギャバン ベスト ミュージックファイル/宇宙刑事シャリバン ベスト ミュージックファイル/宇宙刑事シャイダー ベスト ミュージックファイル
スーパー戦隊シリーズ6タイトル 秘密戦隊ゴレンジャー ベスト ミュージックファイル/ジャッカー電撃隊 ベスト ミュージックファイル/バトルフィーバーJ ベスト ミュージックファイル/電子戦隊デンジマン ベスト ミュージックファイル/太陽戦隊サンバルカン ベスト ミュージックファイル/大戦隊ゴーグルV ベスト ミュージックファイル



屋久島古謡「まつばんだ」との出会い

 旅行は行き当たりばったりなほうが面白い。僕の場合、仕事での旅は基本的にスケジュールがしっかり立てられているものですが、プライベートでは流れに身を任せた方が楽しい。強く感じたのは2009年の初夏。僕のパートナー・えぐさゆうこは以前から奄美シマ唄を習っていました。彼女は父方のルーツが屋久島で、ある時、そこにも古謡があるのでは?と思い立ち

ました。ネットで検索してみると、わずか一曲の情報のみ。「現地に言ってみたら何か手掛かりがあるかも」という話になり、ダメ元で二人で訪ねて見ることにしました。

 鹿児島経由で飛行機を乗り継ぎ、屋久島へ。到着早々唄探し、というわけでもなく、何となく宿からバスに乗り、少々賑やかな町を少し過ぎた停留所で降りて歩いてみました。すると、民家の駐車場で、座りながらサツマイモを食べている夫人の姿が。「もしや唄の手掛かり知ってるかも」と彼女。突然声掛けるなんて、と遠慮している僕を振り切り、彼女が話しかけてみると、「一人、昔の話を集めている人がいるから、その方に聞いてみる」との答え。しばらく待っていると、お土産屋さんで働いている木

下さんを紹介してくださいました。「ウチに売ってるCDにあるよ」との答え。お店に行ってみると、ありました!その名も「屋久島のわらべ唄・民謡」という二枚組。地元の高校に在職していた先生が、当時収集した古い音源のカセットテープを何かの記念にまとめたCDだとか。早くも旅の目的は果たせた!喜ぶ僕達。更に調子に乗り、勢いで近所の安房中学校に飛び込みで訪ねて行きました。すると教頭先生がブラスバンドの子供達を紹介して下さり、練習中にも関わらず、その場で地元に伝わる門付けの唄を唄ってくださいました。先生は更に一湊という集落の「綱引き唄」の唄い手の方を紹介してくださったり、と旅の初日にして急展開。サツマイモから始まった、という訳ではありませんが、それこそ芋づる式にご縁が

CD『まつばんだ』えぐさゆうこ江草啓太

屋久島で幻の名曲と言われる「まつばんだ」は、優美で生き生きとした南方のメロディの面影を残していた。どこか懐かしい旋律が現代に蘇る!

屋久島に残っていた古い音源や現地採取などをもとに構成した古謡を収録。全5曲 1000円(税込)
【収録曲】永田の子守唄/湯泊の傘踊り唄/まつばんだ/一湊の十五夜綱引き唄/小瀬田の四つ竹踊り唄

CDのご購入は通信販売、またはライブ会場で。お問い合わせは egusaduo@gmail.com まで

2月26日(日) CD「まつばんだ」発売記念ライブin東京
出演:えぐさゆうこ(唄、三味線、朗読)江草啓太(ピアノ) ゲスト:立岩潤三(パーカッション) 
会場:下北沢SEED SHIP http://www.seed-ship.com/index.html
open:18:00 start:18:30 前売り:2500円 当日:3000円

2月28日(火)「民謡SONIC」
出演:阿伽羅(アカラ)、えぐさゆうこ江草啓太、関西民謡保安協会、喜楽(きらく)、こまち、親和ブラザーズ、晴夢(ハーレム)、響喜(ひびき)、メテオール、梁川グループ、日本民謡協会 青年グループ“和 音”(wa-oh!)
16:30開場 17:15開演 20:15終演(予定)
会場:江戸東京博物館 http://www.nichimin.or.jp/info/info-eve.html
入場料:全自由席券(1枚)2,100円

3月2日(金)、3日(土) CD「まつばんだ」発売記念ライブin屋久島
出演:えぐさゆうこ(唄、三味線、朗読)江草啓太(ピアノ) ゲスト:日向野研二(ギター)
会場:ハレキパ(屋久島・安房)   
開場18時 開演19時 入場料:1,000円

できていくのでした。
 この旅のお陰で、民謡音階に琉球旋法が混ざっている、とても珍しい「まつばんだ」と言う唄を知ることができました。難しい曲でタイトルも謎が多いです。

なんとかモノにするべく、この曲を中心に二人でライブ活動を重ねていく中で、CDはないの?と言う声も頂きました。まだまだ掘り下げなければならないところもありますが、現時点で

の記録、ということで一つ形にしようと思いました。手弁当で作った五曲入りのミニアルバム。是非聞いて頂ければ幸いです。
︵江草啓太=ピアニスト︶




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