第一回「どうにかなるさ」





第2回:セントラル・アーツ黒澤満さんのこと

















広尾の駅で降りたのは初めてだった。この日はレストラン、シェ・モルチェで関係者だけのパーティー『宇野誠一郎音楽会』が行なわれた。入り口でコートを預け、席へと案内されるとそこにはすでにいつものメンバーがひとつのテーブルを囲って座っていた。鈴木啓之さん、星健一さん、それに足立守正さん。近くでは田村玲央奈さんがカメ
ラのセッティングをしている。席に座り、うしろを振り向くとそこはもうステージだった。ぼくはステージから一番近い席に座っていたのだ。 渡されたパンフレット、そこには誰もが知っている、見るだけでわくわくするような曲ばかりが並んでいた。ぼくはどれもリアルタイムでは見ていない。懐かしの、や再放送、あるいはコマー
シャルで、なんてものばかり。なんて考えているといよいよ。 濱田高志さんがステージに立ち、会の説明をする。司会は中山千夏さん。最初は江草啓太さんのバンドだった。アコーディオンに田ノ岡三郎さん。チェロの伊藤ハルトシさん、ヴァイオリンは向島ゆり子さん。江草さんがピアノのイスに座り、軽く曲の説明があった後、カウントをとり、ぽーん、とピアノを叩いた。その瞬間からもうその世界に入り込んでしまった。なんでこんなに知ってるんだろう、と自分でも不思議なくらい歌詞がポロポロと降りてくる。「緑の陽だまり」「長靴をはいた猫」「幸せをはこぶメルモ」「とんちんかんちん一休さん」。重住ひろこさんが歌で加わり4曲「ははうえさま」「幸せはどこに」「悪魔ソング」

「キャンティのうた」。重住さんの透き通った声も素晴らしかった。そして最後に2曲、それぞれのパートのアドリブを交えた「ネコジャラ市の11人」「W3」。 ゴスペルオーブに代わって「小さな公園」「もしも僕に翼があったらな」「夜を待とうよ」「わたしたちのこころはあなのあいたいれもの」「ねぇ!ムーミン」「アイアイ」を歌い、会場が暖かくなった。 つづいて出てきたのは、前川陽子さんだった。「ふ

しぎなメルモ」「よんでいる」。ゴスペルオーブが加わり3曲「悟空の大冒険マーチ」「悟空が好き好き」「ひとりじゃない」。会場には、増山江威子さん。あの増山さんがすぐ目の前で喋っている。前川さんの呼びかけで熊倉一雄さんと黒柳徹子さんがステージに出る。最後の曲は「ひょっこりひょうたん島」だった。中山千夏さんが「みんなでやろうよ」と言うと、里見京子さん、横山道乃さんも出てきて最後は合唱になっ
た。力強く、楽しくて、まるで昔のレコーディングを見ているような気分になった。ぼくまで同級生に入ってしまったような錯覚。あれは何だったんだ。 黒柳徹子さん、熊倉一雄さんの「モグッチョチビッチョこんにちは」、そこに横山道乃さん、里見京子さんが加わって「チロリン村とくるみの木」。ここではとても書ききれない。 宇野誠一郎さんの作る曲はどれも楽しくて、でも、ふとした瞬間に胸を締め付けられ思わず落涙しそうになる。まだお会いした事のない宇野さんに会ってきたような、暖かく、不思議な夜だった。 まだあの夜の余韻が続いている。「まだ海賊なんてやってるのかい?」とハカセ、「まあだやってるんだよ」、トラヒゲが言った。 (馬場正道=渉猟家)Photo:Leona Tamura

ミシェル・ルグラン「これからの人生」。これまで何度も聴いてきた曲であるが、今年の6月に、あるコンサートでお二人によるヴォーカルとピアノのデュオを聞く機会があり、そこで、この歌の素晴らしさを改めて知った。冒頭に日本語詞の朗読をした後に、英語詞の歌唱があった事で、メロディと歌詞と演奏が三位一体となり、その歌に込められたメッセージが私の中に強烈に響いたのである。も
う一度それを経験したく、12月中旬、青山スパイラル・ホールでのデュオ・コンサートにお邪魔した。 今回は「あれ?ジャズっぽくなっちゃった!?」というテーマで、スタンダードから民謡やJーPOP、アイドルまで、お二人による〝ジャズ〟を十二分に聴かせて頂いた。特に、アレンジで驚いたのが、今や国民的アイドルになったグループの大ヒット曲。英語詞で歌われたという事もあるが、
完全に〝4ビート・ジャズ〟になっており、サビになるまでこの楽曲とは気が付かなかった。また、被災地への祈りを込めて演奏された宮城県民謡「大漁唄い込み」。民謡とジャズはワークソング的ルーツから共通点は多いものの、その絶妙なアレンジとプリミティブな演奏に引き込まれた。 しかし、改めて考えて見ると、ポピュラーな曲はジャズになりえる要素を持っている。コルトレーンで有名になった「マイ・フェヴァリット・シングス」は元々、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」で唄われていたものであるし、ビリー・ジョエルの「ニューヨークの想い」やビートルズの「イエスタディ」を例に挙げるまでもなく、ロックやポップスの名曲がもはやスタンダードになっている曲も少なくない。

今回のお二人の選曲によるコンサートは、メジャー過ぎて見過ごしている楽曲の良さを再認識するいい機会となった。 また、今回のお二人のヴォーカルとピアノのデュオ形式は改めて述べるまでも無いが、音楽が原石として扱われる最もピュアな状態であると同時に、演者にとっては最も真価が問われる形式である。そして、最も
歌がダイレクトに伝わる形態のため、ある種真剣勝負と言ってもいいかもしれない。そういった緊張状況の中で、お二人の演奏は正に息の合ったおしどり夫婦のよう。「夫婦漫才」ともお二人は評していたが、そのクオリティの高い演奏に対して、曲間のトークはリラックス&ユーモラス。お二人のデュエット「眠そうな二人」の様に、その緩急合わせ持つステージ・パフォーマンスは正にエンターテイメントであった。 「これからの人生」。この楽曲はお二人にとってステージで必ず歌っていくライフワークとのこと。そして、デュエットも今後、ステージではお馴染みのコーナーになるという事(?)なので、これからの私の人生に楽しみが二つ増えたことになる。 (星健一=会社員)Photo:山崎智明 ・島健オフィシャルサイト www.shimaken.jp ・島田歌穂オフィシャルサイト www.shimadakaho.com

12月19日水曜日、ブルーノート東京でおこなわれたニューヨーク・ジャズ・シーンで活躍する音の魔術師、マリア・シュナイダー・オーケストラの初来日公演に行ってきました。グラミー賞受賞、批評家筋からは「現代最高のジャズ・オーケストラ」と賞賛されているとはいえ、メジャー・レーベルとの契約無し、日本では国内盤リリース無し、そのうえ12月という慌ただしい時期の来日ということ
で、会場に入るまで正直観客動員に関して一抹の不安があったのも事実。 しかし、そんな心配は全くの取り越し苦労で、早い時間のセットにもかかわらず立ち見が出るほどの満席状態。外の寒さとは対照的に、期待と興奮の熱気で一杯でした。そこへメンバーと共に黒のスラックスに長い金髪をなびかせてマリアが登場。大所帯を率いているとは思えないほど小柄な姿に少しビックリ。ほどな
く彼女の指先の合図で演奏がスタート、美しいアンサンブルが静かに会場を満たし、私たちを一気に音の魔術に引き込みます。 今回は初来日ということもあり、ファースト・アルバム『エヴァネッセンス』(92年録音)から最新作『スカイ・ブルー』(07年)まで、新旧の作品から楽曲をセレクト、短い時間で彼女の音楽キャリアを総括出来る内容になっていました。 ただやはり素晴らしかったのは近年の楽曲、フランク・キンブローのピアノが美しい「ダンサ・イルソリア」、そしてグラミー賞ベスト・インストゥルメンタル・コンポジションを受賞した大作「セルリアン・スカイ」。大空を雄大に飛び回るようなスケールの大きいドニー・マッカスリンのテナー・サックスから、小鳥のさえずりをイメージし

たゲイリー・ヴェルサーチのアコーディオンへと演奏がバトンタッチされる場面は、彼女の魔法が頂点に達した瞬間でした。 ライヴを観ていて特に感じたのは、イングリッド・ジェンセン(tp)、ラーシュ・ルンド(g)、クラレンス・ペン(ds)など、
自らリーダー作をリリースする超一流のオーケストラのメンバー全員が、彼女のイメージや意図を完璧に理解しており、その楽曲の素晴らしさに心から敬意を表しながら演奏していたことです。 芸術家は純粋。良い音楽を演奏しているとき、ミュージシャンはホントに良い顔になる。それを聴いている私たちも良い顔になります。アンコールとして演奏した彼女の学生時代の楽曲「バード・カウント」終了後、スタッフからもう一曲演奏できることを知らされ、「新曲を!」と言って、思わぬクリスマス・プレゼントも受け取れて大満足。ニューヨークからやってきた「音の魔術師」は、ブルーノート東京をそんな温かい魔法で包み込みました。 (土屋光弘=ラジオ番組制作者)Photo:Takuo Sato 写真提供:ブルーノート東京

ファースト・エディションが出てから15年、セカンド・エディションの「2001」から11年、この間は激変の11年で、ブライアンは封印していた『スマイル』を完成させ、ビーチ・ボーイズ版もボックスセットで登場、遂には結成50周年記念にブライアンがビーチ・ボーイズに25年ぶりに復帰、フルメンバーで出したアルバムが大ヒット、来日公演まで果たしたのは記憶に新しい。でもこんなことだけを書いていたら、そこらの
ビーチ・ボーイズ本と同じ。本書は「コンプリート」という名前をあえて付けているのだ。 ビーチ・ボーイズ、ブライアンを全てのメンバーのソロ活動について、コンピレーション盤参加、ライブ盤参加、絵本の付属品、ダウンロード販売に至るまで、また、バック・コーラス参加作品までその全てを網羅。コンプリート・ディスコグラフィー、そしてレア・トラックは内容まで紹介している。ビーチ・ボーイズ・
ナンバーは全ての曲のリード・ヴォーカルから曲の内容まで完全紹介。カラーページには世界で数枚しか確認されていない貴重盤など、ほぼ入手不可能なレコードを網羅した。全アルバム紹介、ステレオ盤とモノラル盤との比較、関係人物名鑑、使用楽器はさらに充実し、ライブ・イン・ジャパンに関してはビーチ・ボーイズ、ブライアンにとどまらずマイクのソロ、マイク&ブルース、アルのソロまでその全ての内容に加え、歌った楽曲まで紹介している。「ペット・サウンズとスマイル」は最新情報に基づいて大幅加筆、プロモ盤、面白盤も充実させている。加えてビーチ・ボーイズ・ファンで知られる江口寿史のインタビューを掲載、山下達郎、江口寿史、とり・みきなどによる好きなアルバム&楽曲アンケートも掲載
| した。 「コンプリート」なものにしないと話にならないと、来日時期などの「旬」な時期を無視して約5ヶ月遅れてしまいまったが、「世界で一番詳しいビーチ・ボーイズ本」と自信を持ってお届けできると言える。 遅れた原因は前版の文字 データが消えていたという要因もあるが、私、佐野が病気で9月中旬から入院、今でも転院して入院中だが、最終入校日までの入院中の2ヶ月半の間、手術でメールのやり取りができない期間を入れても、担当編集者である荒野さんと私の間で送信268通、受信232 通とメールは500通に達した。それだけこの本をいいものにしようとまさに死力を尽くした1冊だった。全ビーチ・ボーイズ・ファンのご期待に絶対にお答えできると自負しているので、是非、お求めいただきたい。 (佐野邦彦=VANDA編集人) |

嘉門達夫が再ブレイクしてます。一昨年の夏からテレビ東京系の『ピラメキーノ』という番組で、コロムビア在籍時代の86年に発表された「アホが見るブタのケツ2」(歌詞等が異なる最初のヴァージョンは85年に発表)がコーナーとして取り上げられてから、年少の子供たちのツボにはまったのか、ジワジワと人気が
出てきたものだそうです。90年代序盤に紅白歌合戦に白組として出演したほどの大ヒット「替え唄メドレー」が代名詞のようになっていますが、それは嘉門達夫の歌の全ての中では氷山の一角でしかなく、この度のブレイクのキッカケが「アホが見るブタのケツ2」だったことはデビューまもない時期から聴いていた自分と
しては大変嬉しいことです。「替え唄メドレー」は、CD以前からライヴのMCなどでやっていたネタを商品化するのに当事者に承認を求めたり並々ならぬ御苦労があってのものなので軽視は出来ません。しかし(繰り返しになりますが)壮大な嘉門達夫ワールドの中では一部に過ぎないのです。 「アホが見るブタのケツ」は、小学校時代にクラスでこんなことがあった、こんなヤツがおった、という「あるあるネタ」で構成された歌詞なのですが、見覚え、身に覚えがあるほどに笑えます。日常のあるある、日常の疑問、日常の〇〇… その細かい部分をデフォルメして歌にしていく、音楽と笑いの融合を息長くやっているミュージシャン、シンガーソングライターとしては希有な存在です。 「僕の中ではホント、笑
いと音楽の垣根はないんですよ。(略)僕は最初から(笑いと音楽とを)合わしていこうと思っていたので… うん、〝どっちもやねん〟っていう概念の中で。それは僕にとっては自然な表現であり、これからもそれをやっていこうという…」(『嘉門達夫BOX』封入ブックレット掲載のインタビューより/以下同) 嘉門達夫のこだわりのひとつに「形に残していくこと」というのがあって、「お笑いの人たちとかが、すごいヒット・フレーズを持っているのに、形にせずにそのまま一発屋みたいに忘れられていくのを見てると〝なんで形にしとかへんねん〟って」。自身の作品はもちろん、リスペクトする人の声も形に残すという作業を嘉門達夫は歌の中でやってきています。オリジナル・アルバム『天賦の才
| 能』の1曲目「アカペラな夜」には、笑福亭仁鶴、桂三枝、コメディNo・1、月亭可朝などのライブラリー音源をミックスして織り込んだり… 伝え聞いた話では、作品のみならず、子供の頃から収集してきた物も集めた嘉門達夫博物館を作るという夢もあるそうです。そういった話と、僕がコロムビア在籍時代からの嘉門達夫ライヴも何度か見てきたリスペクトを込めて 『嘉門達夫BOX~怒涛のビクター・シングルス』を企画、ディレクションしてみたら、シングル完全収録、さらに発表順収録の中にアルバムの1曲目を基本に挟み込み収録して、CDとDVD、そしてブックレットの三位一体で楽しめる「ビクター時代の嘉門達夫博物館」を建てるつもりの内容にふくらんじゃいました。 (高島幹雄=パッケージ・クリエイター) |

その完成度の高さに誰もが驚嘆したロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ(以下SCOF)、40年ぶりのセカンド・アルバム『フル・サークル』の発表から5年、待望のサード・アルバム『マイ・ハート・イズ・ホーム』が、この11月28日、日本で先行発売される。書
き下ろしの新作を中心に選び抜かれた全12曲。過去の作風にとらわれない意欲的なアレンジに挑みながらも、これぞロジャー・ニコルスといった美しいメロディーと清澄なコーラスが横溢する愛らしい一枚となった。 まずもって、アルバム冒頭を飾る「ショウ・ユア・ラヴ」に心を掴まれてしま
う。ロジャ-・ニコルスとマレイ&メリンダ・マクレオドの魅力的なユニゾン、そのブレンドの妙にあらためて感服。リフレインに配されたカウンターコーラスの厚さも圧巻だ。その高揚を引き継ぐ形で現れる「愛のプレリュード」で心は一気にノスタルジーの世界へ。カーペンターズが70年に残したヴァージョンで馴染み深い楽曲だが、SCOF名義での録音は初。ハイレゾな録音、音色ながら曰く言い難いレトロな聴感をもって耳に届くのは、やはり全編を覆う彼らの声の特質から来るものなのだろう。続く「ガール・ウィズ・ア・コンプリケイテッド・ハート」はメリンダがメインを務める陽溜まり感いっぱいのソフト・ボッサ。洒落た転調が特段に心地良い。以後も、ネスカフェのCMソングとして馴染み深い「ワ
ン・ワールド・オブ・ユー・アンド・ミー」、SCOFの変わらぬ友情を刻印したアルバム表題曲「マイ・ハート・イズ・ホーム」、60年代映画音楽のようなマイナーパートのメロディーに心惹かれる「ディス・イズ・ラヴ」等、メロディアスな楽曲が次々と繰り出される。分けても注目したいのがアルバム中盤に配された哀愁漂うボサノヴァ「サムシング・フロム・パラダイス」。68年のファースト・アルバムに収録されていても何ら違和感がないほどの完成度だ。そして、もう二曲。アルバム後半に用意された新機軸のスウィング・ジャズ・ナンバーが更なる高揚を連れて来る。緊迫したイントロから軽快に滑り出す「ムーン・イズ・レッド」のウキウキ感、カウント・ベイシーやフランク・シナトラの名前が飛び出
すイナセな「フィールズ・グッド・トゥ・ビー・バッド・アゲイン」の爽快感と言ったらない。過去と現在を繋ぎ、そしてSCOFのこれから先の展開をも予見させる重要な二曲と言っていいのだろう。 今年の冬はロジャー・ニコルスの音楽と共に過ごそう。90年代のあの日々のように。07年の冬のある日のように。忘れかけていたトキメキを、そこに見出せるはずだから。 (関根敏也=リヴル・アンシャンテ) ーーーーーーーーーーーー ●ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ「マイ・ハート・イズ・ホーム」発売・ビクターエンターテインメント/11月28日発売 ●次週「週刊てりとりぃ」にて、独占インタビュー動画を大公開。お楽しみに。
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「CDTV」での曲紹介風にメロディーを思い浮かべて読んでみて下さい。♪迫る~ショッカー 地獄のぐんだ~ん(『仮面ライダー』レッツゴー!! ライダーキック)、♪マ~ッハロッドで ブロロロロ~ブロロロロ~(『超人バロム・1』ぼくらのバロム1)、♪赤いシグナル 非常のサ~イン~(『電人ザボーガー』戦え! 電人ザボーガー)、♪す~なの嵐にかくさ~れた~(バビル2世)、
♪ガン ガン ガン ガン 若い命が 真~赤に燃えて~(『ゲッターロボ』ゲッターロボ!)、♪ぼくらは七つの星なのさ(『てんとう虫の歌』ぼくらきょうだいてんとう虫)、♪と~れないボールが あるものか~(『ドカベン』がんばれドカベン)、♪こんなこといいなっできたらいいなっ(『ドラえもん』ドラえもんのうた)、♪きったぞ~きたぞ ア~ラレッちゃん~(『Drスランプ アラ
レちゃん』ワイワイワールド)、♪や~まを飛~び~ 谷を越え~(忍者ハットリくん)……これらは全部、作曲家・菊池俊輔による作品です。 菊池俊輔はドラマでは『キイハンター』、『Gメン75』、『暴れん坊将軍』など星の数ほどのテレビ、映画の主題歌、テーマ曲、挿入歌、BGMを作ってきています。 幅広いジャンルのテレビや映画から生まれ、世代を超えて知られたメロディーを作り出した作曲家・菊池俊輔。この先生の名前を、アニソン、特撮ソング、サントラファンといった層だけでなく、もっと多くの人に知って頂きたいです。歌は知ってても、作曲した人の名前までは知らない方のほうが圧倒的に多いでしょう。 今回は作曲家・菊池俊輔
の50周年を記念して(厳密には昨年ですが、ここ数年、1年くらい時期がズレての記念アイテム発売は普通なのでお許し下さい)、膨大な楽曲群から特撮ヒーロー、ヒーローものではない子供向ドラマ、アニメーション、テレビドラマ、映画のジャンルごとにオープニング、エンディング各テーマを中心にまとめたCD10枚組の企画とディレクションをつとめさせて頂きました。 筆者は小学校入学の年に『仮面ライダー』誕生という絶好のタイミングな人生。学年を追うごとに、テレビを通して新しいヒーロー、新しい音楽と出会ってきました。毎日の生活でフツーにテレビを見るだけで、アツい歌やサウンドが聞こえてくるのです。その大多数が菊池俊輔による音楽だったと言っても過言ではありません。おかげでロックだ
| ろうがアイドルだろうが、メジャー(長調)で明るい曲調よりも、マイナー(短調)でハードな楽曲に心魅かれる音楽志向になってしまいました。これを確信したのが、80年代に後追いで出た『ゲッターロボ』のBGM集に封入されていた解説書に掲載の菊池俊輔コメントでした。一部、引用します。「津軽という民謡の土壌の中で生まれ育ったせ いか、私の描くメロディーは、マイナー(短調)なものが殆どです。それは私たちの持っている日本的な感情に根ざしているのだと思います。私の持っているマイナーのメロディーが、アニメの主人公たちの生きざまとどこか響きあうところがあるのではないでしょうか」 (高島幹雄=パッケージ・クリエイター) |

時代は今から160年前の歴史的事件、黒船来航に遡る。ペリー艦隊が運んできた「ミンストレル・ショー」は幕末の侍たちに、アメリカンポップスという文化を初めて体験させた。以来薩英戦争から明治維新を経て大正~昭和に至るまで、レコード産業に携わった人間たちの攻防が描かれた本書は、いわば日本における大衆音楽の歴史書である。 著者は98年に『カナリア戦史』を上梓した飯塚恆雄氏。音楽評論家の北中正和氏が「外資系レコード会社
の進出とレコード資本の国際化によって、歌謡曲が迫られた変化をたどった本」と絶賛した同書に続き、その後の研究成果が新たに著された大書は実に600ページを超えるボリューム。貴重な史料に基づく興味深いエピソードや的確な検証を展開しつつ、事実関係と人物対象が平易かつ簡潔な文章で綴られている。巷に溢れる独りよがりで難解な評論集などとは比べ物にならない、資料的価値も抜群の好著である。 欧米文化を貪欲に吸収す
る能力に長けた我々日本人が、最もその恩恵に浴しているもののひとつに音楽があるのは確か。外資系レコード会社の進出は、日本の流行歌の進化に大きな変革をもたらす。黒船到来と薩英戦争における英国軍楽隊が綴られた前史を踏まえた上で、第二部の「ディスク・レコード開化期」に突入すると、その筆致は俄然活気を増す。 和製ポップス黎明期の重要人物・島村抱月、そして中山晋平、野口雨情、西條八十ら詩人の台頭。さらに作曲家・古賀政男と服部良一が登場するに及んで、いよいよ流行歌の歴史に実感が湧き、文章に釘付けになる。戦後へと移行する第三部では、コロムビア、ビクターの老舗メーカー2トップを中心に、クラウン騒動の真実、URCレコード発足やCBS・ソニー誕生の
経緯にも話は及ぶ。終章ではやはり、昭和の終焉と共に世を去った美空ひばりの功績が綴られてフィナーレとなる。 音楽愛好を窮めてゆくと、アーティストから作家へと興味の対象は拡がり、その目はさらに作り手である製作者たちへも向いてゆくものである。そんなコアな音楽ファンにとって堪らなく面白い読み物であることはもちろんだが、本書に登場する人物たちの個性と熱気はいわゆるマニアックな視点からでなくとも魅力に溢れていることだろう。さらに言えば、今音楽産業に従事している次世代を担う人たちにこそ、本書を熟読して欲しいと願うばかりだ。〝温故知新〟はいつの時代にも普遍的な言葉であるはずだから。 (鈴木啓之=アーカイヴァー)『レコード・マンの世紀 〈黒船来航から、ひばり絶唱まで…〉』飯塚恆雄・著/愛育社・刊/定価3200円+税/発売中
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まだまだ残暑厳しき折ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?流石にこの暑さだと、私のフィールドワークである古書&中古レコード散策も鈍りがちです。とはいえ、家でじっとしているのは元来好まない性質ですから、結局は外出してしまいます。ですが、この暑さでは、休憩も増えるというもの。ついつい喫茶店
に入る回数が増えてしまいます。 冷房の効いた部屋で飲む熱い珈琲やお茶が私にとっての一服の清涼剤。そこに甘味でもあればなお良く、夏バテも和らぐというもの。 そんな散策のお伴に絶好のお店が先月、東京都文京区千駄木に開店しました。「和菓子 薫風」。場所は団子坂交差点から一本路地
に入った所で、根津神社や谷根千散歩の折に立ち寄るには非常に便利な場所にあります。同店は、フード・コーディネイター出身の店主が素材から厳選して作った和菓子とそれに合うこだわりの日本茶、中国茶、日本酒を提供するというカフェ。今回、ご紹介したいのが、「和菓子薫風特製どら焼き」。レモン、タロッコオレンジ、弓削瓢柑(ゆげひょうかん)、ブルーベリー、さくらんぼの五種類(なお、季節によって、フルーツの種類は変更になる場合があります)。ハチミツが入ったしっとりふわふわの生地に北海道産大納言小豆たっぷりの餡。そこに、それぞれのフルーツ・コンフィをミックスしたもの。これまで、いちご大福やフルーツどら焼きといった生果実を餡やクリームで包んだ洋菓子テイストの物はあ
ったものの、こちらは、きっちりと手仕事を加えたコンフィと餡が組み合わさった和菓子。コンフィと餡のバランスが絶妙で思わず、何種類も食べたくなります。そして、日本茶は勿論ですが、特に中国茶が非常によく合うようです。 実は、古書店を中心にたまに散歩するのが、この千駄木界隈。現在、住んでいる駒込からも自転車で10分足らずの距離ですので、ぶらりと一回りします。古書店以外にも、古道具屋、喫茶店、蕎麦屋、饂飩屋、甘味処、煎餅屋…など、まだまだ情緒溢れるお店がたくさんあります。実は、ここ千駄木は個人的にも4年ほど居を構えた所で、その結果、都内でも大人が落ち着ける場所の一つとして、再認識した場所でもあります。 千駄木に新しい和菓子の店。かつ、大人が寛げる店。
| 「和菓子 薫風」。同店が今後どういった展開をしていくのか楽しみです。カフェ終了後は、コミュニティスペースとして、各種イベントも行なっていくようです よ。そういえば、店主お勧めの水羊羹。まだ食しておりません。また近々にお伺いしますのでよろしくお願いします。 (星健一=会社員) |

1975年、パニック映画の時代に真打ちとして登場したのが、今回ブルーレイ化された『ジョーズ』。この時期のハリウッド映画は人間の手に負えなくなった巨大な建造物や乗物を事故にあわせ、近代文明に警鐘を鳴らしていた。というより身近な世界の崩壊を、映画ならではの大スペクタクルに仕立て観客の興奮を煽っていた。 『ジョーズ』は、平和な
アメリカ東海岸のビーチに突如現れた巨大人食いザメの恐怖と、それに立ち向かう人々を描いた動物パニック映画の代表作にして、スティーヴン・スピルバーグ監督の出世作でもある。本作以前にも動物パニック映画は存在していて、代表的なものがアルフレッド・ヒッチコック監督の『鳥』。『鳥』では、鳥による襲撃の多発をよそに軽食堂で呑気に喋っている人たちが、
隣接のガソリンスタンドが鳥に襲撃され大爆発しパニックに陥る描写があるが、「ジョーズ」では、サメの危険を説く主人公の警察署長(ロイ・シャイダー)の心配をよそに、海水浴の利益を優先する市長や街の有力者に鼻であしらわれるシーンが出てくる。また水中で海水浴客の泳ぐ脚を狙うサメの主観映像で動物パニックものの恐怖感を煽るが、ご本尊である人食いザメをなかなか登場させない。この正体のわからない恐怖演出は、スピルバーグのデビュー作『激突!』のトラック襲撃の恐怖に通じ、それ以前に我々日本人も『ゴジラ』で良く知るところの恐怖描写だ。『ジョーズ』はパニック映画でもあり、スリラーでもあり、ホラーでも、社会への警告映画でもあるのだ。そして、もっとも重要なことは、巨大ザメ
| に立ち向かう人々の勇気。戦う男たちは前述の警察署長と漁師(ロバート・ショウ)、若き海洋学者(リチャード・ドレイファス)。公務員と荒くれ者とインテリの組み合わせも面白いが、人間が勇敢に戦いボロボロになりながら勝利する、これが、本作が公開から37年経った今でも娯楽映画の名作と呼ばれる最大の理由だ。 今回のブルーレイ化にあたり、ユニバーサルでは現存するフィルムからオリジナルのカメラネガを選び、スキャニングによる修復作 業を行っている。経年劣化による傷の除去、オリジナルに忠実に色調整を行った結果、冒頭の曇天下の悲劇や、真夏の鮮やかな波光など実にクリアな画質で蘇った。さらにオリジナルのモノラル音声は2000年に5・1チャンネルにミックスアップされたが、今回さらに7・1チャンネルにアップ。自宅でも大サラウンドで衝撃の瞬間が楽しめるほどグレードアップしている。 (馬飼野元宏=「映画秘宝」編集部) |
「ミュージックファイルシリーズ」とは、筆者がバップに勤務していた頃の1992年に、テレビドラマのサントラ音源(劇中に流れていた音楽、BGM、映像音楽)の中から、一部の作品を除いて、過去にレコード、CDで発売されることの無かったものを「発掘」してCDにしていくことから始めたシリーズです。 そのスタートは、「伝説のアクションドラマ音楽全集」というシリーズ名で、「ミュージックファイルシリーズ」という名前は、リリースを重ねてカタログが増えていった後に、社内外から呼ばれるようになったネーミングだったのです。 後に続くとは思わずに最初に発売したのは、92年9月21日発売分でCD5枚、『太陽にほえろ!ミュージックファイルー東宝レコード音源復刻盤ー』『探偵物
語ミュージックファイル』『あぶない刑事ミュージックファイル』『もっとあぶない刑事ミュージックファイル』『ジャングル+NEWジャングルミュージックファイル』、一ヶ月おいて11月1日に『傷だらけの天使ミュージックファイル』『俺たちの勲章ミュージックファイル』『大追跡ミュージックファイル』『俺たちは天使だ!ミュージックファイル』『プロハンターミュージックファイル』というラインナップで、1回あたり5タイトルずつ発売した合計10枚でした。 その後も、本当に、歴代上司や、同僚の理解も得つつ、中には同僚の発信で生まれたCDもあり、筆者が2002年に、玉突き人事異動を機にバップを辞めるまでの間に250弱のタイトル数をリリースしました。バップを辞めた後も、コロ
ムビア、ポニーキャニオン、テイチク、ウルトラ・ヴァイヴなどで「ミュージックファイル」の名を付けたCDを断続的に継続してきて、今年で20周年です。 20周年だから何かをということで、このサイト立上げではなく、これも偶然で、5月くらいにバップの方から、ミュージックファイルシリーズのカタログの見直しと配信アルバムのリリースについての相談を頂きました。過去何度か、ミュージックファイルシリーズをバップで再び…という話を頂いていたのですが、頂く度に頓挫して、正直信用してなかったのですが(苦笑)、今回頂いた話はより具体的でしたので、こちらからも気づいてないかもしれないけど20周年ということを伝えつつ、その後の打合せを重ねて、9月に『あぶない刑事』から配信アルバム
| をリリースする運びになり、ようやく新たなスタートラインに立ちました。 偶然が重なり、この10月にもバップ以外の会社でも、ミュージックファイル関連 のCDのリリースもあります。詳細は四角の枠をご覧下さい。これから何が出来るのか…。 (高島幹雄=パッケージクリエイター) |
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