ロックの名曲をオーケストラで演奏してみました、という企画はそれこそビートルズの時代から今に至るまであらゆる音源が残されています。それらの大半は(例えばLFO=ロンドン・フィルが演奏するもののように)クラシック・オケ・アレンジになることが常、ですが、オーケストラと言ってもそれだけじゃあありません。今回は「オーケストラPLAYSロックの名曲WITH風変わりなアレンジ」的なものを集めてみました。(2012年7月13日更新分/選・文=大久)
George Martin & His Orchestra / All My Loving (1964)
ジョージ・マーティン自らがオーケストラの指揮を取り、ビートルズの楽曲をオーケストラで演奏した、という64年のアルバム「OFF THE BEATLE TRACK」は、ビートルズのアルバムほどは売れませんでしたがそれでもとても有名な一枚ですよね。カヴァー企画なのに、名曲・名演揃い、という作品なわけですが、それはジョージ・マーティンはビートルズの楽曲を世界一客観視できる音楽家だったから、ということも言えるのかもしれません。
Andrew Oldham Orchestra - You Better Move On (1965)
ジョージ・マーティンと同じ(?)ことを、もう一方のイギリスのスター・バンド、ローリング・ストーンズもやっています。オーケストラは(ストーンズのプロデューサーだった)アンドリュー・ルーグ・オールダムですが、彼は音楽家というより純粋に企画屋/アイデアマンなので、直接演奏にタッチしていません。オーケストラの名がついていますが、オケに実態はなく、周辺のセッション・ミュージシャンによって録音されたこの楽曲でギターを弾いているのは、おそらくジミー・ペイジだと思われます。
Larry Page Orchestra / Light My Fire (1969)
ラリー・ペイジは英国を代表するイージーリスニング・コンダクターですが、60年代にキンクスの楽曲集を発売し、ヒットしたことで知られると思います。その後ジャズ・ファンク・アルバムをリリースしたり、70年代にはディスコ・アルバムを発表して大ヒットさせたり(ブラック・ミュージック・ファンにはそちらの方が有名だと思われます)、と文字通り多岐にわたって活躍した人ですが、こちらは69年、ドアーズ「ハートに火をつけて」をカヴァーしたトラック。ラリー・ペイジ自身が設立したPAGE ONE LABELから発売されました。
Orchestre National de Jazz / Rain Song (2006)
オーケストラといえばクラシックの管弦楽だけというわけでもありません。フランス国立ジャズ・オーケストラ(ONJ)は86年に結成、以降定期的に音楽監督を迎えて、ジャズ・オーケストラという分野を研究しているグループです。彼らが06年に発表したアルバムはなんと「ツェッペリン・カヴァー集」というアルバムで、こちらはその中から「RAIN SONG」のカヴァーです。ONJはこの後も「ロバート・ワイアット・カヴァー集」なんていう作品も発売。さすが「おフランス」は違うザマス。
OrKestr Percussion / Frame by Frame (2009)
2006年にフランスで結成、そのグループ名が示すように、スティール・ドラム、木琴、カウベル、ティンパニ、アフロ・パーカッション等で構成されるオーケストラ。現時点でアルバム・リリースはしていませんが、スタジオ録音音源はMY SPACEにて発表しています。そんな彼らは2009年に「キング・クリムゾンの名曲をカヴァーしまくる」というツアーを行なっています。こちらは再結成クリムゾン期の名曲「FRAME BY FRAME」のカヴァーです。やはり「おフランス」は違うザマス。
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