 じつは「てりとりぃ」関係者には、喫煙者がほとんどいません。というか、今の東京では喫煙者なんてほとんどいませんよね。指の間に何やら挟んでいるだけで、もう指名手配犯のように周囲からキツい眼差しを頂戴することになります。海の向こうでは「吸ったら死ぬ!」なんてデカデカと印刷された煙草が売っているわけですけど、それでも当方は愛煙家です。やめるつもりも全くありません。さて、今回は「昔、名曲のそばには煙があった」という特集です。見てるだけなら死にませんので、ご安心ください。(2012年10月26日更新分/選・文=大久)
Miles Davis / So What (1959)
おそらくマイルスの「SO WHAT」の演奏動画では一番有名なもの、と思われる、59年4月2日録音のTVライヴ。コルトレーン、キャノンボール、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブ、そしてギル・エヴァンスのオーケストラを率いる帝王マイルスのお姿です。冒頭の司会者が既にモクモクと煙をたなびかせて喋ってますが、冒頭のパートを吹き終わった帝王が、コルトレーンに後を託して自分は2分半の煙草休憩に入る、という素敵なシーンが拝めます。
Wes Montgomery / Nica's Dream (1965)
65年4月、オランダでのウェス・モンゴメリーのライヴ映像。ラジオ放送用にオランダのミュージシャンを交えて録音されたとのことですが、何故か映像が残ってるんですね。感謝です。ここでは名曲「NICA'S DREAM」のみを掲載しましたが、全セッションを収めた30分の動画もあります。くわえ煙草でギターを演奏するウェスの写真も多数残されていますが、それはやはり、彼が「ピックを使わない」ギタリストだからなのかもしれませんね。
Monica Zetterlund with Bill Evans Trio / Waltz for Debby (1966)
YOUTUBE版が埋め込みできないので、デイリーモーション動画でのご紹介となります。YOUTUBEの方で誰かが「だれか彼女にもう一本煙草やって!」というコメントを残してましたが、さあこれから歌うって時に煙草を用意するというモニカ・ゼタールンド嬢のクールなお姿を拝見できます。彼女が66年にビル・エヴァンス・トリオと残した「WALTZ FOR DEBBY」は有名ですが、その名曲のライヴ映像。66年10月、コペンハーゲンで残された映像ですが、ノリノリのモニカ嬢&エヴァンスの姿は何度見ても感動します。
Baden Powell / Manha de Carnaval (1970)
個人的に一番驚いてしまったタバコ動画。いやまさか、クラシック・ギターを演奏しながら、しかも右手にタバコ持つかね? うわー灰落ちちゃうよ、とドキドキしながら、この超名曲のソロ演奏を堪能しましょう、というスリリングな動画です。バーデンのギターはボロボロですが、これは彼が子どもの頃に家にあったモノをおばあさんから譲り受けた、と言われているギターで、彼は長らくこのギターのみでステージをこなしたとも言われています(さすがに80年代以降は別のものを使用していますが)。
Jimmy Page / Chopin, Prelude in E minor: Op28, n.4 (1983)
最後もギタリストになっちゃいました。スイマセン。83年チャリティー・コンサートに出演して、ショパンの「プレリュード」をギター・ソロで演奏するジミー・ペイジ先生の動画です。曲中ずーっとモクモクとフカしています。キース・リチャーズでもクラプトンでもヴァン・ヘイレンでも、ここまで一曲丸ごと喫煙演奏をしたことはないでしょうねえ。余談ですがペイジ先生のこのギターは「Bベンダー・テレ」といって「肩でチョーキングする」という特殊な改造を施されたギター。
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