2012年10月26日(金)

歌はいかがですか【二〇一二年 神無月】
[山上路夫 × 村井邦彦 × 日向大介 × 宇野亜喜良]








やまがたすみこが歌ったCMソングの集大成が発売!

 世間一般にCMソングの女王と言って思い浮かぶのは、天地総子、のこいのこ、藤本房子らの名前であろう。彼女達独特のアクの強い声、例えるなら「原色感の強い声」は、15秒のCM尺の中で強烈なインパクトを残し続けて来た。だがその一方で、原色の鮮やかさとは真逆の「透明感」で、知らな

いうちにその歌声を世間に浸透させていたCMソングの女王がいる。何を隠そう、アーティストとしてもお馴染みのやまがたすみこである。
 彼女の名前は知っていても、彼女がCMソングを数多く歌ってきたという事はほとんど知られていないだろう。今回、TVエイジ・

シリーズで、本誌編集長・濱田高志監修のもと、初めてやまがたすみこのCM作品集が編まれる事になった。タイトルは「やまがたすみこCM WORKS~うれしいね、すみちゃん」で、10月24日にウルトラヴァイヴから発売される。選曲を担当したのは濱田氏とやまがたすみこ本人。一足先に試聴させてもらったが、あれもこれもやまがたすみこだったのか! という単純な驚きに圧倒される。
 まず驚かされるのが、彼女が担当したサウンドロゴである。「NTT」「味の素」「ベネッセ」「久光」「積水ハウス」など、誰もが思い出す事が出来る一連の有名サウンドロゴはすべてやまがたすみこによるものだった! これらはCDの中盤で一気に登場するが、思わず笑ってしまうほど圧巻である。そして「イソジ

ン」(♪ただいまーのあとはー、のあれです)、「スライスチーズは雪印」など、これもそうだったの?という曲が続く。やまがたすみこの歌はそれなりに聴いてきたつもりであったが、彼女が歌っていたとは全く気付かなかった曲のオンパレードである。そしてこれらのCM曲に一貫しているのは、声の透明感である。「商品が上品になる声」とでも言えばいいのだろうか。とにかく声だけでCM画面をクリアーに見せる効果が

ある。そして彼女に声を依頼するクライアント側も、その効果を狙っているであろう事が伝わってくるのである。特に多重録音コーラスを多用している曲については「クリアー感」は絶大である。
 また今回のCDでもうひとつ聴きものなのは、いわゆる15秒、30秒尺ではないフルサイズのCMソングも収められている点である。これがどれも素晴らしい出来なのだ。テレビ信州「みつめあえばそこに」、日本

生命「ありがとうあなた」、小林製薬「蝶」、「磐田市の歌」、「倉敷チボリ公園」、ハウスシチュー「お帰りなさい」(作詞・松本隆! 作曲・筒美京平!)など、CMを抜きにしても「いち楽曲」として楽しめる歌が随所に挟み込まれている。どれも今回の企画が無かったら永遠に失われていたかも知れないと思うと恐ろしい。やまがたファンは必携の一枚と言っていい。そして、一枚聴き終えると、この歌声が新作を出さないのは惜しい、という気持ちにかられるのである。罪な一枚だ。
(川口法博=音楽ディレクター)
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●「やまがたすみこ CMWORKS~うれしいね、すみちゃん」発売・ウルトラヴァイヴ/価格¥2625(税込)/発売中



低山歩きのすすめ(秋田県・駒ケ岳)

 今年の夏は特に暑かったので、涼しい場所を求めて、8月末から9月にかけて東北地方に出かけた。しかしそう甘くはない。今年の東北は例年になく暑く、どこのホテルのフロントでも「今年は暑いですね」の挨拶で始まったし、地元の新聞には、ダムが干上がって水不足だと大きく書いてあ

った。
 向かったのは田沢湖の少し北にある乳頭温泉。周りにはブナの森があり、暑いとは言っても、朝晩は冷気が漂う高原地帯で気分のよい場所だ。目指す山は、秋田県の最高峰・秋田駒ケ岳。岩手県との県境に位置し、山頂近くになるとすぐそばの岩手山が望める。

 高い山といっても、8合目までバスで上ることが出来るので、山頂までは楽に行ける。登山口から1時間ほども歩くと山頂のカルデラ湖・阿弥陀池に出る。ここには板が渡した道があり、その両側に花の終わったチングルマの群落が一面に広がっていた。そこから最高峰の女目岳に登り、すぐ降りてきて、急坂を20分ほどあがると男岳に出る。馬ノ背と呼ばれる稜線を歩いて横岳や焼森山へと向かい、途中で登山口の方を望むと田沢湖が広がりとてもいい眺め。また、道の右側には阿弥陀池を見下ろすことが出来る(写真1)。焼森山へ着くとそこは一面ガレ地で、高山植物の女王といわれるコマクサが咲くような場所に思われるが、訪れた9月初旬には何もなかった。
 ここから山を下りそして緩やかに登って(写真2)、

1時間ほどで湯森山に出る。山頂にベンチがあったので、ここで昼食を取った。宿で作ってくれたおにぎりと、コンビニで買ったカップラーメン(カレー味!)を食べた。だれもいない広々とした高原地帯を眺望しながら、ゆったりとした気分でいい昼食だった。ここは6月終わりから8月中頃まで、多くの高山植物が見られる場所として有名で、多くの人が訪れるという。が、シーズンを過ぎた今、平日の

昼下がりには人もなく、とても贅沢な時間であった。
 その後、となりの笊森山に足を伸ばした。これらの山々は広々とした緑の海の真っ只中にあり、まるで草原の海の中を泳いでいるような気分で歩くことが出来る。道の先には、ホテルの近くの乳頭山が見えるが(写真3)、そちらに行かず、また来た道を戻りスタート地点の8合目のバス停に戻ってきた。
 途中何度か休憩をとって、

7時間くらいの山行だった。快い疲労感で下山し、温泉に入ってから飲んだ地ビールと地酒はまた格別(写真4)。これがあるからまた山歩きに出かけてしまうのだ。
 この後、宮城県の栗駒山といくつかの温泉をめぐって、夏休みは終わった。その思い出をエネルギーにして、新たな仕事に取り組んでいる。 
(川村寛=小学館クリエイティブ・編集者)



11月末発売決定!ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの新作情報

“奇跡のリリース”と評され大ヒットを記録した『フル・サークル』から5年。ファンが待望する最新作がいよいよ完成、日本先行発売が決定! 今作でももちろん、ロジャー・ニコルス、マレイ&メリンダ・マクレオド兄妹のオリジナル・メンバー3人が集結。ロジャーが作曲しカーペンターズの代表曲となった「愛のプレリュード(WE'VE ONLY JUST BEGUN)」のSCOF版リメイクや、ネスカフェCMソングとしてお馴染のロジャー作「ワン・ワールド・オブ・ネスカフェ」のリメイク、盟友ポール・ウィリアムスとの共作曲、新機軸となるジャズ・アレンジの曲など、ファン垂涎の内容。高音質K2HD+HQCD盤、ライナー・ノーツ・歌詞・対訳付。 ビクターエンタテインメント CD:VICP-75089 2,800円(税込)

●「週刊てりとりぃ」11月は、間もなく待望の新作をリリースするSCOF大特集月間となります。第1週(11月2日更新)は、新作『MY HEART IS HOME』のアルバム・プレビュー動画を独占先行配信します! お楽しみに。




手塚治虫『カラー版 鉄腕アトム 限定BOX 5』10月26日発売!

発行:小学館クリエイティブ 発売:小学館
定価:14,600円+税 B5変形・702ページ

▼手塚治虫の代表作「鉄腕アトム」の連載開始から今年は60年。来年はアニメ放送50周年になります。ロボットの少年・アトムを主人公に科学文明と人間の相克を描きだしたこの作品は多くの読者を魅了しました。
▼1963年1月1日から全国フジテレビ系で放映されたアニメ版は最高視聴率は40%を超え、アメリカでもNBCを通じて放送。その後、世界各国で放映されました。その名作「鉄腕アトム」を人気のカッパコミクス版で復刻します
▼問合せ:小学館クリエイティブ(担当:山田)03-3288-1354 http://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b101607.html
▼全巻購入特典として、著者サイン入りアトム万年筆と、カッパコミクス別冊に収録された2作品と解説をまとめた小冊子をプレゼント