2012年12月7日(金)

ヒトコト劇場 #15
[桜井順×古川タク]





音の魔術師~マリア・シュナイダー・オーケストラ初来日

 日本で「音の魔術師」といえば作曲家の冨田勲氏。でも昔からジャズの世界ではギル・エヴァンスを形容する言葉として使われます。ギル・エヴァンスは、50年代後半から60年代前半、ジャズの帝王マイルス・デイヴィスとのコラボレーションで知られる作編曲家、バンド・リーダー。ギルは残念ながらもうこの世にはいませんが、彼の最後の弟子と言われ、その音楽的遺伝

子と精神を受け継ぐNYで活動する女性作編曲家がいます。
 彼女の名前はマリア・シュナイダー。大学卒業後の80年代前半、ギル・エヴァンスのアシスタントを務め、92年、自費を投じてギルから学んだ音楽的成果を作品にした「エヴァネッセンス」を録音、その後自らのオーケストラを結成、2007までに6枚のアルバムをリリース、現在全ての作品は

ウェブサイト通販専門の音楽レーベル「ArtistShare」から購入することが出来ます。ただ彼女の音楽は、決してインディペンデントなものではありません。04年の『コンサート・イン・ザ・ガーデン』が自主制作作品として初めてグラミー賞ベスト・ラージ・ジャズ・アンサンブル・レコーディング・アルバムを受賞、続く07年の最新作『スカイ・ブルー』(写真右)の中の楽曲「セルリアン・スカイ」が、同ベスト・インストゥルメンタル・コンポジションを受賞、世界の音楽シーンから「現

代最高のジャズ・オーケストラ」と称される存在になっています。
 彼女の音楽を言葉で表現すれば、色彩的で映像的。管楽器のアンサンブルがスウィングする、いわゆる一般的なジャズ・オーケストラとは違います。また様々なインスピレーションが彼女のオリジナル曲の源泉。メキシコの詩人オクタヴィオ・パズの詩から発想した「コンサート・イン・ザ・ガーデン」、趣味の一つであるバード・ウォッチングから生まれた「セルリアン・スカイ」など、まるで良質の映画音楽のスコアの様。特にグラミー賞を受賞した「セルリアン・スカイ」は楽器奏者全員で鳥の鳴き声を演奏(!)、鳥たちが大空を飛び回る幻想的な世界を表現しています。彼女はステージでは指揮者として登場するので楽器を演奏す

MARIA SCHNEIDER at BLUE NOTE TOKYO

マリア・シュナイダー・オーケストラ
12月17日(月)〜20日(木)
@ブルーノート東京


現代最高峰のジャズ・オーケストラ待望の初来日! NYタイムズやタイム誌が絶賛。現代NYジャズの最先端をゆくアンサンブルのひとつ、マリア・シュナイダー・オーケストラが遂に初来日を果たす!「マジカルで、雄大で、心臓が止まるほど美しいサウンド」と形容されるマリア・シュナイダー・オーケストラ。どんな音の魔術で魅了してくれるのか、今から待ち遠しい。

*12月19日には、マリア・シュナイダー・スペシャル・クリニック開催!詳しくは下のバナーをクリック

るわけではありません。その姿は華麗でセクシー、まさに音の魔術師。
 そんなマリア・シュナイダー・オーケストラが12月に初来日、BLUE NOTE TOKYOでコンサートを行います。それもNYで活動している最高のメンバーを連れての来日。日

本で彼女のオーケストラを観ることが出来るのは本当に奇跡です。決して2度目があるとは思っていけません。ぜひこの機会に華麗な音の魔術師マリア・シュナイダーの世界を体験してください。
(土屋光弘=ラジオ番組制作者)
写真提供:ブルーノート東京



ウチの本棚
[不定期リレー・コラム]第9回:加勢美佐緒の本棚

 長年暮らした実家から、高田馬場で一人暮らしを始めて半年あまり。人ひとりがやっと寝起きができる広さしかなく、服や本など身の回りのものは、自分が本当に気に入った最低限のものだけを置こうと決めた。……のだが、やはりモノは増えていく。特に、本は捨てられないものだ。
 自分で買った本のほか、友人・知人から頂いたものも、どんどん溜まる。
 「今度、ヒマができたら

じっくりと読もう」と思うのだが、いつかの時などなかなか来ない。夜寝る前などにパラパラとページをめくり、拾い読みをしている。
 自宅から持ってきた本のほとんどは、何度も読み返した愛着のあるものばかり。それらの一部を紹介したい。
まずはじめに、日本聖書協会が発行する『the bible』。その名のとおり聖書だが、片手で収まるキューブ型の装丁がとても洒落ている。一目惚れして、

衝動買いした。
 そのほか、私の蔵書で重要な位置を占めるのが、「夢野久作」「久生十蘭」「中井英夫」「澁澤龍彦」などの癖のある一連の作家たちの単行本や文庫だ。
 社会思想社から出版された教養文庫の「久生十蘭・夢野久作傑作選」は、30年以上も前に出版されたものだが、何度読んでも新たな発見がある。中井英夫の『虚無への供物』も、毎年、年末休暇に必ず精読する。ところで、知人が生前の中井を担当したという某編集者だが「彼は非常に人当たりがよい人で、決して気難しいほうではなかった」とのこと。しかし、晩年は食べるものにも困るような困窮ぶりで、「生活のためではなく、自分の理想に忠実な作品を書くだけだった」と振り返る。
 「アサヒグラフ」で連載

された團伊玖磨氏の「パイプのけむり」シリーズも愛蔵の本だ。カバーが本体から5ミリくらいマチをとっており、しかもカバーが薄い紙なので、本を立てるとその重みに耐えきれずカバーが痛む。なので、本を横にして積み上げ、日焼けを防ぐためにクローゼットにしまい込んでいる。
 「パイプのけむり」は、

クラシック作曲家である團氏の、芸術家らしい鋭い目線とユーモアに満ちたエッセイ集なのだが、まだ青年のころから逝去される直前まで続いた超人気シリーズ。私が所有しているのは30冊弱で、購入漏れのタイトルを、少しずつ買いそろえるのも、楽しみのひとつである。
(加勢美佐緒=新聞社勤務



まんが家漫画のバイブルといわれる記念碑作
藤子不二雄A『まんが道』愛蔵版が登場!


発行:小学館クリエイティブ 発売:小学館
定価:1,300円+税 第1巻/第2巻 11/20発売

▼1970年~72年にかけ『週刊少年チャンピオン』にあすなろ編、77年から82年にかけて『週刊少年キング』に立志編・青雲編が連載され、青雲編の未完部分が春雷編として『藤子不二雄ランド』の巻末マンガに継続されて完結した、著者の自伝的長編作。藤子不二雄Aと藤子・F・不二雄をモデルにしたふたりのマンガ少年が、デビューを果たして上京、トキワ荘というアパートで同世代の若いマンガ家たちと生活をともにしてプロへの道を歩む姿を感動的に描いた名作を、全10巻の愛蔵版で復刻。
▼問合せ:小学館クリエイティブ(担当:山田)03-3288-1354 ▼購入特典、限定特典は、公式HPをチェック 
GAMANGA BOOKS『まんが道』刊行記念 藤子不二雄A先生 トークショー&サイン会のお知らせ
【開催書店】TSUTAYA TOKYO ROPPONGI 港区六本木6-11-1 六本木ヒルズ六本木けやき坂通り(03-5775-1515)
【出演】藤子不二雄A先生、あらゐけいいち先生(代表作:角川書店「日常」)
【開催日時】2012年12月8日(土)14時~16時予定
【サイン会人数】50名(整理券50名分)
【整理券配布方法】TSUTAYA TOKYO ROPPONGIにて、GAMANGA BOOKS『まんが道』の1・2巻同時購入客に先着で配布(電話予約での取り置き可)