ラムゼイ・ルイスのバンドが枝分かれする形で66年に米国シカゴにて結成されたソウル・インスト・バンド、ヤング・ホルト・アンリミテッド。師匠筋ともいえるラムゼイ・ルイスの「THE IN CROWD」の全米No.1ヒットに続いて、彼らも68年に「SOULFUL STRUT」という大ヒット・インスト曲(作曲はCHI-LITESのユージン・レコードと、CHI-LITESのプロデューサーだったソニー・サンダース/全米3位)を残しています。今回はそのソウル・インストのスタンダード「SOULFUL STRUT」のカヴァー聴き比べ、です。(2013年4月26日更新分/選・文=大久)
Tony Hatch & The Satin Brass / Soulful Strut (1970)
英パイ・レーベルのみならず、イギリスのポップン・ソウルなアレンジャーとして知られるトニー・ハッチ。彼がサテン・ブラスというビッグバンドとの共演名義で70年に録音したジャズ・ファンク・アルバム『SOUNDS OF THE 70'S』より。「英国のバカラック」と呼ばれるトニー・ハッチですが、こういうファンキーな曲(しかもドラムが大迫力)にも挑むところがバカラックとはちょっと違うところなのかも。
Horst Jankowski / Soulful Strut (1970)
イージーリスニング/ジャズ・ピアニスト、ホルスト・ヤンコウスキー。50年代には(ドイツ時代の)カテリーナ・ヴァレンテのバンド・リーダーだった彼ですが、60年代以降はリーダー作を発表するようになります。こちらは70年ドイツMPSレーベルに残された、オーケストラとの共演盤から。ジャケもそうですが、アドリブのプレイが少しだけフリーフォームを感じさせるのはやはり時代のせいでしょうか。
Marty Gold & His Orchestra / Soulful Strut (1971)
んー、まさにイージーリスニング。しかもリズムはねまくり、というオサレ音源ですね。NY出身のマーティー・ゴールドは40年代から活躍する作曲家/アレンジャーですが、71年に彼のオーケストラ名義で発表されたアルバムから。この曲でリードをとるのはドナルド・ハルムという人が演奏するエレクトリック・アコーデオンで、この楽器はアコーデオンなのにオルガンとかシンセみたいな音が出せる、という珍しい楽器です。
George Benson / Soulful Strut (1979)
トミー・リピューマ・プロデュース、爽やかフュージョン絶頂期にあったジョージ・ベンソンの爽やかヴァージョンです。例によってこの時期はフィル・アップチャーチ、ロニー・フォスター、ラルフ・マクドナルド他豪勢極まりないメンバーに囲まれての録音ですが、なんといってもクラウス・オガーマンの指揮によるストリングスが美しいですよねえ。
Swing Out Sister / Am I The Same Girl (1992)
既にご承知のように、「SOULFUL STRUT」はオリジナル発表より先にバーバラ・アクリンによるヴォーカル・ヴァージョンが残されており、「AM I THE AME GIRL」のタイトルが付けられていました。そちらは(キース・マンスフィールド・オーケストラをバックにした)サリナ・ジョーンズ版や、ダスティー・スプリングフィールド版等も有名ですが、なんといっても92年に世界中で大ヒットしたスウィング・アウト・シスター版を忘れるわけにはいきません。え、もう20年も前?(´・ω・`)
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