欧米のノベルティー・ソング(=コミック・ソング)の特集をやってみたいと思います。曲調や歌詞も含めて「何が面白おかしいのか」はそのお国の文化事情をリニアに反映しますから、我々日本人がすぐにゲラゲラ笑うようなものは滅多にありません。ただ、どこか1部でも「あ、これ知ってる」というポイントがあるとニヤニヤしてしまうような曲が山のように存在します。今回は英国モノを中心に、有名なノベルティー・ソングの代表的なものを集めてみました。(2014年1月31日更新分/選・文=大久)
Mandy Miller / Nellie the Elephant (1956)
 チルドレン・ソングとしてイギリスで最も有名な、マンディー・ミラー嬢による「NELLIE THE ELEPHANT」。頭のいい象が登場する同名TV番組のために作曲されたものですが、当然ながら現代ではあのおバカ・パンクロック・バンド、 トイ・ドールズが83年にカヴァーしたヴァージョンで圧倒的に知られているところです。「ネリーさんだ象」という秀逸な邦題も忘れがたいところですね。オルガ、元気かなあ? Allan Sherman / Hello Muddah Hello Faddah (1963)
 オバカ・ソングの代表的な存在ともいえるアラン・シャーマン。なんと言ってもこの曲はグラミーを獲得(64年)した程に親しまれた曲で、日本でもこのメロディーラインはいまだによく耳にするところでしょう。アラン・シャーマンは歌手でも俳優でもなく、コメディーの脚本家&TVプロデューサーだった人で、ノベルティー・ソングを歌ったらヒットしてしまった、というあたりが珍しいといえるのかもしれません。
Lally Stott / Chirpy Chirpy Cheep Cheep (1970)
 チャーピーチャーピーチープチープ。明らかにゴロだけで作られたサビとタイトルですが、ラリー・ストートという歌手/コンポーザー(77年、ハーレーに乗ったまま事故で他界しています)によるこのオリジナル・ヴァージョンはフランスでのみヒットを記録しました。翌年イギリスで美女シンガーのサリー・カーをフロントに据えた ミドル・オブ・ザ・ロードというグループがカヴァーし大ヒットを記録したことで有名かと思います。 Lieutenant Pigeon / Mouldy Old Dough (1972)
 ノベルティーというくらいですから本来は面白おかしい歌詞があって当然、ではありますが、インストのノベルティー・ソングというものも存在します。元々このルーテナント・ピジェオンというグループは、別なグループで活動するミュージシャンがスピンオフ的に結成したユニットですが、この「MOULDY OLD DOUGH」がなんと全英NO.1になってしまってさあ大変。なんと今でもバンドは存続していますが、オリジナルのメンバーは誰1人残っていません(笑)。 "Take Me Back to Dear Old Blighty" on "The L Shaped Room" (1962)
いわゆる「ノベルティーソング」とは趣を異にしますが、最後にこの曲をご紹介。曲は1910年代に作られたもので、第1次世界大戦時に世界中に赴任した英国軍人が「あーロンドンに帰りてえなあ」というグチ代わりにこの曲を口ずさんだ、という言い伝えがあります。以降、イギリスでは「古き良き英国」を懐かしむ曲として親しまれる有名曲ですが、あの ザ・スミスが名曲 「THE QUEEN IS DEAD」の冒頭でこの映画挿入歌を引用したことでもなじみ深い曲です。
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