暑いスね。夏生まれのクセに夏の暑さが大嫌いという当方は、あらゆる手段を使って涼を得ようと努力します。そんなささやかな「生きる術」のひとつがネオアコ。ええ、ベタですが、なかなか効きます。万人にその効能を保証するものではありませんが、暑苦しい日々に暑苦しい音楽を堪能するのはやっぱり大きく体力を消耗します。それにしてもこのネオアコ特有の圧倒的なモラトリウム感覚。涼しいを通り越して薄ら寒くさえなりますね(笑)。(2014年7月25日更新分/選・文=大久)
Fantastic Something / If She Doesn't Smile (I'll Rain) (1983)
チェリーレッドから発売された唯一のシングル曲。この曲が「80年代のS&G」と評判を呼び、一躍ネオアコの期待の星となったファンタスティック・サムシングはギリシャ生まれ、アメリカ育ち、イギリスで音楽活動を行なった双子の兄弟デュオ。2年後にメジャーのBLANCO Y NEGROからアルバム1枚を発表し、そちらも「名盤」として有名ですね。いやーそれにしても「青々しい」。
Fantastic Something / The Night We Flew Out Of The Window (1985)
で、その名盤(とはいえ、そう思われているのは日本だけですが)からのシングル曲。そんなネオアコ・ファンの人気が後押しする形で今は本盤もめでたくCD化。さらにはなんと2001年に彼らは復活再結成を果たし、スペインのシエスタ・レーベルからミニ・アルバムを発表。中身が20年前とまったく変わらない、という相変わらずのモラトリアムっぷりを見せてくれました。
The Colourfield / Thinking Of You (1985)
テリー・ホールという人のポップ・センスは、彼の最も有名なキャリアでもあるスペシャルズ作品ではなく、カラーフィールドのほうで存分に発揮されています(個人的にはその後のテリー・ブレアー&アヌーシュカというユニットの方もプッシュしたいところではありますが)。
The Wallflowers / Thank You (1987)
同名でボブ・ディランの息子さんが在籍するバンドが米にありますが、こちらは英国のバンドのほう。83年結成、アルバム1枚を制作するも未発表のまま(後に2012年に発売)87年にバンドは解散、というウォールフラワーズは、ザ・スミスの前座を務めたバンドとしても知られますが、こちらの曲は2枚目のシングルで、プロデュースはXTCのアンディー・パートリッジ。ん、やっぱりそうか、っていう音になってますよね(笑)。
The Impossibles / How Do You Do It? (1990)
ネオアコ界では有名な曲ですが、グループに関してはロクなことが判っていません。女の子2人組のインポッシブルズは90年にシングル3曲のみを発表していますが、こちらは彼女達の作品としては珍しいキャンディー・ポップなネオアコ曲。本盤収録の他の曲はマイブラのケヴィン・シールズ先生のプロデュースで、ダイナソーJRのカヴァーが入ったりしてます。
The Trash Can Sinatras / Obscurity Knocks (1990)
個人的な想いを書いてしまえば、「ネオアコ」ってやつは1990年に打ち止めになった気がしています。というのも、ネオアコ究極のアルバムが発売されてしまったからです。異論の余地は重々承知しておりますが、是非本作よりも「ネオアコしてる」作品があればご教示いただきたいな、と。さて、実は今回あえてアコースティックな音のものばかりを選んでみましたが、次回はネアオコとは切っても切りはなせないジャンルでもある「ギターポップ」を特集しちゃいます。まだまだ暑いですもんね。
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