てりとりぃ放送局アーカイヴ(2015年8月28日〜2015年9月11日分)

 CM特集をやります。いいですねCM。なんといっても「半永久的に」と思えるほどネタに困ることがないですから(笑)。で今回の特集のネタは「70年代のアルバム・レコード(音盤)のCM」集です。我々日本人にとっては、ウザッと思えるほど同じアルバムのTVスポットが画面上に垂れ流しされた90年代の悪夢も記憶に新しいところ(とはいえ25年も前の話ですけど)ですが、なんと70's CM特集は3度に分けてお送りします。まず最初の今回は「70年代前半編」です。(2015年8月28日更新分/選・文=大久)


T.Rex "The Slider" TVCM (1972)

 ウギャー!いきなりとんでもないモノが出てきました!歴史的名作『SLIDER』のTVCFです。ご承知のように、この中の一部映像はリンゴ・スターが撮影したもの(元は映画『BORN TO BOOGIE』用素材)ですね。後に流れてるのは同作収録の「CHARIOT CHOOGLE」。

The Rolling Stones / "It's Only Rock And Roll" TVCM (1974)

 ストーンズです。74年の名作のTVCM。すでに慣れ親しんだベロマークですが、こうやってアニメーションで動かされると違和感ありますよね(笑)。「なんて音なのぉぉ」っていうイヤラしい女性のナレーションが楽しいです。

David Bowie / "David Live" TVCM (1974)

 こちらも74年。デヴィッド・ボウイのライヴ盤のTVCM。なんと画面の中でシャカリキに踊り歌いまくるボウイ様がいますが、これこのCMの為にわざわざ撮り下ろした映像なんです。つまり他には一切使われてない映像でして。しかし元気ですねえ、178cm、41kg時代のボウイ様。

Mick Ronson / "Slaughter on Tenth Avenue" CM (1974)

 長尺ものです。なので、TVCMではなく映画館での宣伝用に作られたものとおぼしきコマーシャル。それにしてもミック・ロンソンのこんな演技する姿を拝めるとは、YOUTUBE様々です(脚本も演技もクソですが。笑)。この映像のスティール写真がそのままアルバムのジャケに使用されています。

Lou Reed / Sally Can't Dance" TVCM (1974)

 なんといっても邦題が『死の舞踏』なのに、「さあルーと一緒に歌おう!」と言われても……(笑)。こちらも驚愕のTVCM。ルー・リードが一番ギラギラとギラついていた74年『SALLY CAN'T DANCE』のコマーシャル。一瞬おチャメな表情を見せるところが素敵です。

K-TEL Record Selector TVCM (1972)

 おまけCM。K-TELという会社は廉価盤アルバム(主にコンピ)を制作しTVスポットで宣伝しまくってアルバムを売るという独特の手法で有名なレコード会社ですが、こんなグッズも作ってたんですね。1972年に発売された「レコード・セレクター」。「ニュー・スペースエイジ・デザイン!」と宣伝されていますけど、んー、これどう考えても一番手前のレコードが傷だらけ、下手すりゃすぐ割れちゃいそう、と思えてしまうのですが、実際はどうなんでしょうか。お値段は4ドル(当時で1200円くらい)。


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 70年代のアルバムCM動画特集・第2弾です。今回は70年代の「ビートルズ関連作品CM」を集めてみました。もちろんこの時期は既にビートルズがなかった時代ですから、ソロ作品、それからコンピもののアルバムの宣伝動画ばかりになります。2015年現在こうした「コマーシャル」は、地上波テレビや映画館に変わってもうほぼ100%に近い数字でYOUTUBEというメディアが担っているわけですが、果たして音楽はこの先どこへ行くのでしょうか。なんちて。(2015年9月4日更新分/選・文=大久)


The Beatles "1962-1966 / 1967-1970" TVCM (1972)

 今もお馴染み、ビートルズのコンピ決定版ともいえる赤盤と青盤。この1973年に発売されたビートルズ初のベスト・アルバムは大々的に宣伝されました。スライドショーだけで作られたCM動画で、映像的にはどうでもいいものですが、YOUTUBEに大量にアップされてる素人メイドのスライドショー動画とくらべると、やはり「重み」が違います。

John Lennon / "Walls And Bridges" TVCM (1974)

 ジョン・レノン74年作『心の壁、愛の橋』のTVスポット。ロスト・ウィークエンド期で一番メチャクチャだった頃、音も一番派手になってますよね。有名な話ですが、後半でアルバムの告知をナレーションしている声はリンゴ・スター。最後に「THANK YOU RINGO」とジョンがお礼を言ってます。

Ringo Starr / "Goodnight Vienna" TVCM (1974)

 とはいえその「THANK YOU〜』のクダリはヤラセでして(笑)、1ヶ月遅れで発売されたリンゴのこちらのソロ作宣伝CMではジョンがナレーションを担当し、ほぼ同じやりとりがこちらのリンゴ版でも繰り広げられており、綺麗にイッテコイ状態となってます。

Wings / "Venus And Mars" TVCM (1975)

 ウイングス75年の大ヒット作『VENUS AND MARS』。CM動画に関しても、スライドショーの世界から離れ、遂に「オリジナル映像を用意する」時代となりました。しかしこういうクダラナイかんじのワチャワチャしたパーティー映像やらせたらポールは天下一品ですね。

The Beatles / "Rock And Roll Music" CM (1976)

 すでにご承知のように、歴史から封印された状態にあるビートルズ・コンピのひとつ『ROCK N' ROLL MUSIC』。事情は知りませんが、これと『LOVE SONGS』と『LIVE AT HOLLYWOOD〜』くらいはそのままCD化してもいいだろ、とは思うんですけどね。後半真っ黒になる画面部分も興味深いCMです。
Wings "Wings Over America" TVCM (1976)

 アメリカを完全制覇したウイングス。その模様を収めた3枚組ライヴ盤のTVスポット。動画の説明欄にもあるようにヒッチコック映画『裏窓』(54年)のスタイルを引用した映像となっています。ライヴ盤の宣伝なのにライヴ映像を使わないという、ある意味無駄に贅沢なCMですね。


*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。




 70年代アルバムTVCM特集・最終回は「70年代後半編」です。音楽アルバムのTVコマーシャルはそれこそ1950年代から存在しましたし、レス・ポール&メアリー・フォードの冠番組「AT HOME」(54〜55年)の中でもガッツリとアルバムの宣伝コーナーがあったりしました。以来20年の時を経て、音楽の有り様もかわり、音楽そのものと同様に、TVCMも派手ハデでインパクト溢れるものになります。編集技術がどうだとか解像度がどうだとか、そんなことばかり気になる昨今ですが、やっぱりCMに重要なのはインパクトですよね、インパクト。(2015年9月11日更新分/選・文=大久)


Parliament / "Up For The Down Stroke" TVCM (1974)

 73年設立の米カサブランカ・レコードは、新興レーベルということもあり当初から積極的にTVスポットを使った宣伝に注力してきました。こちらは同レーベルが一番最初に作ったTVCMで、なんとパーラメントのCMです。宇宙からの使者が裸に近いカッコ&黒マンドで踊りながら都会を練り歩く。いやあ、怖いですねえ。
KISS / "Rock And Roll Over" TVCM (1976)

 同じくカサブランカのTVCM。同レーベルで最も成功したアーティストのひとつ、KISSです。CMもそうですが、なんといってもこのジャケのインパクトは絶大。先日ももクロとの共演盤をリリースした際にもイラストのジャケを採用していましたが、残念ながらこの『R&R OVER』のジャケのインパクトを生み出すには至っていません。

ABBA "The Album" TVCM (1977)

 「DANCING QUEEN」の爆発的ヒットを受けて、世界中の期待を背負って登場した77年作。こちらもヨーロッパ各国で1位を記録し、全米でもこのCMを制作し売り上げも期待されたのですが、米では14位でした(とはいえABBAの全作品中米国での最高位を獲得したのは本作)。
OST "Thank God It's Friday" TVCM (1978)

 さて、時代はディスコ。名作映画「THANK GOD IT'S FRIDAY」はドナ・サマーの出演と名唱でも知られますが、こちらは映画のCMではなくそのサントラのCMです。ナレーションでも出てくるように「DISCO ALBUM OF THE YEAR」なんです(ちなみにその前年は『SATURDAY NIGHT FEVER』)。
Diana Ross / "The Boss" TVCM (1979)

 そしてボス登場。ボスと言ってもブルース・スプリングスティーンではありません。「SWEET, SMART, HEART & SEXY、彼女がボス」と呼ばれたのはダイアナ・ロス。79年の本作はまあまあのヒット作に。で、この後シックと組んだ『DIANA』(80年)で文字通りダンスフロアのボスになります。
Elvis Costello / "Get Happy" TVCM (1980)

 最後は80年のCMなのですが、ご容赦下さい。コステロ先生がパンクロッカーよろしく(一応「学校の先生」を演じているんでしょうね)荒々しい上から口調で『GET HAPPY』の宣伝をしています。60年代ソウルへのオマージュ盛り沢山(その辺は間違いなくプロデューサー/ニック・ロウの影響もあるでしょうが)の本作は、人気の高い1枚。


*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。