たまに飛び出すギター特集。今回は文字通り「技術発展・最新版」をご紹介したいと思います。えっと、もはやこれはギター用機材なのかどうなのか、その判断さえ付きにくい世界のお話ですが、いずれの製品も全てギタリスト向けに開発・販売されているのも事実です。新しいもの全てが素晴らしいとは思いませんが、新しいものを知らずして古いものを語ることはできません。(2015年10月9日更新分/選・文=大久)
TC Electronic / Ditto Looper
ルーパー(LOOPER)。一度弾いたフレーズを一端録音し延々と繰り返し再生するものです。古くからテープエコーとかの技術があったわけですが、今はこんな手のひらに隠れるほどのサイズになっています。しかもオーバーダビングは無制限で、(デジタルなので)音質劣化ナシ。これが数千円で買えてしまうのが現代というヤツです。これのチョットだけ豪華版(サイズが2倍くらい)ていうやつは、リヴァース(逆再生)が可能で、やり直し機能なんかもついてますね。
Digitech / TRIO
業界激震の人工頭脳。今も売り切れ続出で入手困難な製品です。なんとコードをジャカジャカと演奏するだけで、勝手にベースラインとドラムパターンを生成してしまうという「1人っきりのコンサートIN MY ROOM」機材。シコシコとMTRをあやつる時代はもう終わりました。今はこういうことがリアルタイムでできてしまいます。つまりこのペダルを持ってれば「なんの準備もいらなずにバンド演奏できちゃう」という恐ろしい機材です。
Electro-Harmonix / C9
ギタリストにとって「鍵盤のような音を出したい!」という欲求は常にありました。それを受けて1970年代にギターシンセという技術が開発されましたが、正直現在も使いものにはなりません。ですが、「オルガンの音色に特化」することで、完璧なオルガン・サウンドを生み出すエフェクターが登場しました。これ、某ギタリストが今年出した新作で実際に録音で使ってるのを間近で見ましましたけど、凄かったです。
Misa Kitara
上で「ギターシンセは使い物にならない」と書きましたが、弦をはじくというギターの基本をシカトしてしまえば、実は簡単に使い物になる機材が完成します。こちらは2011年に発表されたMISA GUITARという機材で、ご覧のように弦もフレットもありません。まあiPadの音楽演奏特化版と思えば簡単ですね。そりゃあダブステップやEDMを演奏するなら、ギターよりもこっちのほうがいいに決まってます。
KEMPER Profiling Amp
こちらも業界激震の最新機材です。プロファイリング・アンプといって、あらゆるアンプのサウンドを「コピー」してしまうという機材なんです。ご承知のようにギターアンプは今だに真空管を使ったり気温や環境で音がすぐ変わったりと気難しい機材ですが、これさえあれば世界中どこにいってもいつも完璧なアンプの音を出せてしまうという。デモ演奏してるのは元ジュディマリTAKUYA氏です。
Tony Levin demonstrates the Kemper Profiling Amplifier
オマケ動画。同じく上のKEMPERを、キング・クロムゾンのトニー・レヴィンが実際にデモンストレーションするという動画です。動画中、工事中みたいな音とかシュワシュワシュワーっていうノイズが発生してますが、これがKEMPERがアンプ・サウンドを「コピー」する時に発生する特殊音源。それにしてもトニー・レヴィン先生、楽しそうだなあ(笑)。佐久間正英氏も生前このKEMPERをベタボメしてたことを思い出しますが、プロの耳をしても本物と区別できない、というレベルのデジタル・シミュレート製品が登場したのは、機材史上初めてのことです。
*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。
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