2014年6月6日(金)

ヒトコト劇場 #43
[桜井順×古川タク]








同人が多数執筆に参加した『日本のフォーク完全読本』がいよいよ刊行!


 日本にフォークが根付いたのはいつ? 最初に「花はどこへ行った」を歌った日本人歌手は? 女性フォーク・デュオって海外にもいるの? 「木綿のハンカチーフ」ってフォークなの? 遠藤賢司や井上陽水はフォーク? 高田恭子やトワ・エ・モアは? ゆずは?…… フォークについて考えると様々な疑問が湧いてきます。そういった日本のフォークにまつわる事象からアーティストまでを丸

ごとパッケージしたガイドがこのたび、シンコー・ミュージックから発売されます。
 この『日本のフォーク完全読本』は、60年代前半、アメリカのフォーク・リバイバルに端を発して、カレッジ・フォーク、関西フォークの登場、反戦フォークの流行、吉田拓郎の登場、叙情派フォークからニュー・ミュージックへと変貌するまでの約15年間を中心に、各時代のエポックなムーブ

メントと、レーベルや重要アーティストの解説、名盤から激レア盤まで300枚強のアルバム紹介で構成した内容です。
 フォークの本としては故・黒沢進氏が手掛けた『日本フォーク紀』が個人的にはベストで、URC、ベルウッド、エレックの三大レーベルのアーティストと盤を徹底紹介した名著ですが、正直、何を作ろうとこれに勝るものは無い、さて作るとなったらどうしたものか…… 散々悩んだ末に出た結論は「あの頃、フォークと云われた音楽は全部載せちゃえ!」ということでした。もちろん紙面に限りがあるので〝出来る限り〟といったエクスキューズ付きではありますが、岡林信康、高石友也、拓郎、泉谷、友部正人、加川良、三上寛といったアーティストはもちろん、チェリッシュ、ビリ

ー・バンバン、シモンズ、ベッツイ&クリスなど線引きが曖昧なアーティストや、グレープ、NSPなどあまり他のフォーク本では重要視されない〝軟弱系〟アーティストまで、積極的に取り上げるようにしました。というのも、各社から出ているフォークのコンピ盤では、「これもフォークなの?」というような楽曲が収録されていることも多く、「どこまでがフォークか」の線引きは、置かれた視点によってかなり違うのです。しかも音楽評論の世界ではロックの視点でフォークを語ることが多いので、おかしな言い方ですが、長年「ロック的でないフォーク」は外される傾向にありました。ですので「URCじゃなきゃフォークじゃない!」というガチの人には「すいませーん」としか言いようがないですが、作ってみて

フォークという音楽は、非常に帯域の狭い世界だと再認識した次第です。
 もちろん今回も「てりとりぃ」同人の皆様にはいろいろとご協力をいただきました。濱田高志編集長はじめ鈴木啓之氏、高岡洋嗣氏、星健一氏、真鍋新一こと秋場新太郎氏、安田謙一氏の皆様には健筆を奮っていただき、さらには同人の本城和治氏にはインタビューという形で森山良子やマイク真木のディレクションについてのエピソードを語っていただきました。皆様には深く感謝いたします。
 僕の長年のフォークに対する疑問は「どこまでがフォークなのか」「このアーティストはフォークか?」「なぜ『バラが咲いた』がフォークの第1号なのか?」「叙情派系はどうして軟弱という理由だけでいつも取り上げられないのか?」と

いったことで、その疑問を1つ1つ解き明かしていくことが、同書を監修・編集した僕の最大の意図でした。同じようなことを感じていた音楽ファンの方にとって、この本がその1つの答えになれば監修者としてそれに勝る喜びはありません。(馬飼野元宏=「映画秘宝」編集部)
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●その始まりから現在の状況までの紆余曲折の全てを、海外からの影響やインディ・レーベル、地方のシーンやアンダーグラウンドの動きなど、周辺事情や背景なども俯瞰しつつ、日本のフォーク史を鷲掴みにする。●『日本のフォーク完全読本』監修・馬飼野元宏/表紙イラスト・いしかわじゅん(描き下ろし)/シンコーミュージック・刊/6月中旬発売/価格¥2000+税



居酒屋散歩《神楽坂・九頭龍蕎麦はなれ》


 良い居酒屋とは毎日でも行きたくなるような店だろう。でも、たまに行くのが良い店というのもある。神楽坂を飯田橋から上がって行って、毘沙門天の前にある「九頭龍蕎麦はなれ」は、たまに出かけるのが合う店だ。というのも酒の値段が少し高いし(いい酒が出る!)、店の佇まいも少しかしこまっている。毎日行くのはちょっと贅沢だろう。何か良いことがあった時に行ったり、友人のお祝いな

どに招待するなど、特別な時に使う店。
 私が最初に行ったのもデザイナーの招待で、本の完成打ち上げの会だった。酒も食事もおいしくて気に入り、それ以後何かあった時にはよく出かけてゆく。
 ビルの地下1階にあり、階段を下りると木製のドア、そこを開けても内部もまた木を使った和風の落ち着いた雰囲気の場所。個室もあるし、4人掛けのテーブルも、さらに2人だったらカ

ウンター席の方が落ち着くだろう。
 店の名前が、福井県勝山市を流れる九頭竜川からとったというだけあって、福井の郷土料理と、地元の銘酒がいただける。特に、メガネで有名な鯖江市に蔵元がある「梵」という酒は何とも言えずにうまい! また、ある程度飲んで酔っ払っても二日酔いになりにくい。最近は翌日のことを考えて、日本酒はほとんど飲まないのだが、この店ではついつい飲んでしまう。実はこの日本酒の値段が少し高く、美味しいので量を多く飲んでしまうので、結果として少し贅沢な晩になる。でもいい酒で、酒好きの間では知られた銘酒と聞いているし、外国にも輸出されているそうだ。ちなみに昨年秋に福井県に行ったときに、旅館で「梵」をください、と言ったらすぐ出てき

たので、地元でも有名な酒なのだと思う。
 料理はいつもコースを選ぶ。単品でも頼めると思うが、いろいろ考えてあるので季節の物を出してもらうにはコースが便利だ。まずは、ビールで前菜や刺身をいただいて、そのあとはお酒に切り替える。酒器がすべて漆塗りの落ち着いたものがでてくるのが、また良い。特に珍味3点セット(私がそう名付けているのだが)は、酒のアテにはたまらない。上品に少量が並んでいる。へしこ(鯖の糠付け)、塩ウニ、豆腐の味噌付けの3品。これらを少しとって口に含んで、酒をぐいっとのむと、得も言われぬ味わいが口いっぱいに広がる。こんな風に味わっていると、このセットが亡くなるまでにかなりの酒が進んでしまう。
 また、焼き鯖寿司やソー

スカツもうまい。カツの肉は薄いので、酒のつまみとしても違和感なくいただける。ソースカツが福井の銘物とは知らなかったが、昨年訪ねてみたら県のパンフレットにしっかり載っていた。昼食に食堂に入って注文をしてみたら、肉は厚く(でもおいしかった)、神楽坂の店で出されるのはつまみ用にアレンジしてあることが分かった。
 「梵」のことを強調したが、これ以外にも「黒龍」「一本義」「早瀬浦」など県内の銘柄がそろっていて、どれも味わい深いので好みに合わせて選ぶとよいだろう。そして最後の閉めは、おろし蕎麦だ。辛みを伴った蕎麦が酔った心持の喉元を心地良く流れてゆき、その晩の宴席を印象深く閉じ込めてくれるだろう。
(川村寛=小学館クリエイティブ)



★てりとりぃ×宇野亜喜良 コラボレーショングッズ 第3弾★

 先日通巻50号をむかえたフリーペーパー「月刊てりとりぃ」。50号を記念して、2014年オリジナルグッズを作成しました。若干数ではありますが、ご希望の方にお分けします。数に限りがありますのでご注文はお早めに!

「てりとりぃ」オリジナルキューブ BOX入りマグカップ+ブックカバー(セット販売のみ)
■正方形型のマグカップは、3面に書き下ろしイラストをプリント(写真をクリックすると絵柄が拡大表示されます)キューブBOXには「てりとりぃ」の英字ロゴがプリントされています。そしてブックカバーは生成り素材にプリントした文庫サイズになります。■セット販売価格 5,000円(送料別)

 ご購入を希望される方は、territory.tvage@gmail.com まで「オリジナルグッズ購入希望」と件名に表記の上メールにてお知らせ下さい。到着後3日以内に折り返し返信メールを送ります。なお限定品につき品切の場合はご購入出来ない場合があります。*別途送料は発送方法によって異なります。詳しくはお問い合わせ下さい。