ヒトコト劇場 #61
[桜井順×古川タク]
追悼:江藤勲 第1回
昭和の歌謡曲やニューミュージック界を支えたベーシストの江藤勲が2015年4月25日、虚血性心不全のため急逝した。享年71歳。前日の24日、ジョージ松下&コニーアイランダースのベーシストとして横浜サムズアップに出演、元気な姿を見せていたが、25日に当日行われる予定だったライヴのリハーサルに姿を見せず、自宅で倒れていた江藤を発見した。救急搬送されたが、病院で死亡が確認された。日頃から元気でおり、突然の死だった。 江藤は、1943年10月
16日生まれ。17歳のときにハワイアン・バンドのメンバーとしてプロ・ベーシストとしての活動をスタート。ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、津々美洋とオールスターズ・ワゴンなどを経て独立。スタジオ・ワークでは、国内で初めてエレクトリック・ベースを使用したベーシストといわれており(諸説あり)、筒美京平、川口真、鈴木邦彦、森岡賢一郎、村井邦彦などのヒット曲作曲家たちのファースト・コール・ミュージシャンとして活躍、トップ・スタジオ・プレイヤーと
なる。主な参加曲に、美空ひばり「むらさきの夜明け」、ザ・キング・トーンズ「グッド・ナイト・ベイビー」、ヒデとロザンナ「愛の奇跡」、いしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」、黛ジュン「乙女の祈り」、オックス「スワンの涙」、ザ・ドリフターズ「ドリフのズンドコ節」、内山田洋とクール・ファイブ「長崎は今日も雨だった」、弘田三枝子「人形の家」、和田アキ子「笑って許して」、ちあきなおみ「喝采」、堺正章「さらば恋人」、ストロベリー・パス(つのだ☆ひろ)「メリー・ジェーン」、ハニー・ナイツ「妖怪人間ベム」、宇野ゆう子「サザエさん」、藤田淑子「ねえムーミン」、岡田恭子「ひみつのアッコちゃん」、チャーリー・コーセー「ルパン三世その2」など。 69年には来日中のディジ
ー・ガレスピー・バンドに、72年には、ギル・エヴァンス・オーケストラにも参加した。また、江藤勲とザ・ブラック・パンサーズ、江藤勲とピックアップ・セブン江藤勲とケニー・ウッド楽団などの名義で国内のスタジオ・ベーシストとしては初のソロ・アルバムを8枚リリースした。 生涯レコーディング曲数は5000曲とも7000曲とも言われ、本人も把握していないほど。現在でも年間5〜60本のライヴをこなしており、近年ではウッド・ベースが中心ながら、エレクトリック・ベースでも円熟味を増したプレイを披露していた。前日までベーシストとしてステージに立っており、まさに生涯ベーシストだった。(以下「第2回」へつづく) (ガモウユウイチ=音楽ライター/ベーシスト)写真撮影:酒井秀一
居酒屋散歩13《池袋・GARA》
今回の店はインド料理屋だが気軽にお酒の飲める店。料理もいろいろあり酒の摘みにも合うものが多い。池袋の西口に出て、丸井の前を通り立教大学へ行く道に入り、最初の角を左に入ってすぐの所。テラス席が幾つかあり季節の良い頃は外で食事をする人もいるのだろう。この店に最初に行ったのは、昨年の秋のころで、道を歩きながら店を覗いていたら比較的すいていたし、店内も落ち着いた感じがしたので、つい入ってしまっ
た。食べ物が口にあったし、ゆったりお酒が飲めた。しかも料金もそこそこだったので、それ以後時々通うようになった。 2月3日は手塚治虫の命日で、「てりとりぃ」濱田編集長とアーカイヴァーの鈴木氏と墓参りに行き、その帰りに食事をしようということになり池袋に出た。濱田氏はカレー店の探訪をよくやっていて、その時もカレーの店に行こうという事になった。全くの偶然だが、お酒を飲まない二人の
思った店がなんと「GARA」だったのには本当にびっくり。ただこれまで私は酒と肴でいつも満腹になり、カレーにチャレンジしたことがなかった。この時は、同行者二人は、単品をいくつか食べた後にカレーを頼んだ。さらに何種類もあるナンの中から3種を選んで楽しんだ。意外だったのはカレーもナンも酒にとても合うことが分かった。この日は店を出て、3軒先にある古レコード屋を覗いてから、お開きにした。 池袋は家から一番近い盛り場なので、必然と池袋で人と会う事が多い。カレーが嫌いな人は少ないので、最近ではこの「GARA」を利用することが多くなっている。 この日は4月に独立して会社を起こしたI氏を激励してあげようと思い、「GARA」を選んだ。丸井の
前で待ち合わせをして、店へ向かう。暑い日だったので、まずはビールで乾杯。そのあとは、サモサとココナツ春巻き、豆のサラダなどを頼む。いかにもインド料理屋だ。お酒をワインに変えて、肉の好きなI氏はスペアリブの入った肉料理を、私は焼きトマトが1個まるまる入ったホウレンソウカレーを楽しんだ。焼きトマトはナンの窯で焼いたもので、アツアツの所をカレーにほぐしてから口に入れるのだが、赤ワインによく合う。I氏の方の肉料理はボリュームがあり少し持て余し気味だったので、私も少しつまんだが、結局お持ち帰り用に包んでもらった。最後の〆は、ビーフカレーとチーズナンにした。これは2人でシェアしながら、3本目の赤ワインをゆっくり飲み干した。ところが終わりかけているところ
に、印刷所の営業をやっているM氏が駆けつけてきたので、さらに豆のカレーと白ワインを新たに頼み、3人で改めて乾杯。さすがにそこでお開き。 M氏はまだこれからだぞ、というメッセージを送ってきたので、近くのスナックに行きウイスキーの水割りを飲みながら、この日の主役のI氏の「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などの歌を聞いた。彼は松本零士の大ファンだったのだ。それと関係があるのかどうかわからないが、松本作品をよく扱っている東映と彼の新会社がアニメで一緒に仕事をするかもしれないという話を昂揚した声でしていた。 このI氏の成功を願いつつ、私も大滝詠一の1曲しかない唄える曲をタブレットで選んでいた。 (川村寛=編集者)
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