てりとりぃ放送局アーカイヴ(2016年3月4日〜2016年3月18日分)

 ギタリストのための特集です。他の方には殆ど意味を成さないかもしれません。と言いながらも、ギター弾かない人にとっても結構面白いと思うんですけどね。YOUTUBEには「有名曲のギター練習用」と称していわゆるマイナスワン(バッキング・トラックからギターだけを抜いたもの」の音源が多数あります。本来は練習用なので、MIDIでシコシコ打ち込んだ間抜けなトラックが多いのですが、昨今ではそんなこともない、ちょっと興味深い音源もあります。(2016年3月4日更新分/選・文=大久)


T.Rex / 20th Century Boy [stripped down]

 まずはこちら。本欄でももうお馴染み、というか洋楽ファンでこの曲知らない人はいませんよね。Tレックスの代表曲です。で、あのゴージャスなオリジナル・トラックからギターだけを抜いたトラックとなっています。Tレックスのこの曲の場合、既にマルチトラック音源の存在が明らかなのですが、そのオリジナル・バッキング・トラックを使用して作ったものです。スティーヴ・カーリーのベースが素晴らしい!とかそういう新しい発見もあります。

David Bowie / Golden Years Backing Track

 その流れでこちらも。ボウイ76年発表曲「GOLDEN YEARS」のオケ音源です。歌とギターが抜かれていますが、歌はこちらにあるので(笑)、ご自身でミックスしてみるのも一興かと。実はこの曲のマルチトラックは公式に発表されていて、ギター、ドラム、ベース、リードボーカル、バック・ボーカルが容易に入手できます。誰でもミックスの修行ができる、というわけですね。とはいえハリー・マスリン(オリジナルのミックス・エンジニア)のようにはなかなか行きませんけど。

Lenny Kravitz / Are You Gonna Go My Way Backing Track

 こちらも本家音源を使って、ギターだけ抜いたもの。この曲にはギターは本来2本入ったツイン・アンサンブルなんですが、家で1人でロックンロールごっこするにはまあ丁度いい(笑)音源でもあります。それにしても、発表当時(93年)には「なんて70年代っぽい音出しやがるんだこの人は」とホントに驚いたものですが、今20数年を経て聞くと、すっごく90年代っぽい音&ミックスなことに気付きます。

Green Day / Basket Case [Guitar Backing Track]

 90年代の若者たちがギターを手にするきっかけ、その最大の要因と言っても過言ではない1曲はおそらくこれでしょう。トリオ編成の青春パンク・バンド、というその成り立ちだけでもう完璧ですもんね。まだ彼らがインディーでギスギスした音を出してた頃のほうが個人的には面白かったりするのですが、メジャーになってから振り切ったように判りやすいパンク・ポップ路線をひた走ったのも、まあ納得ではあります。

how to play "Whole Lotta Love" by Led Zeppelin

 さて最後はちょっと特別な動画。ご覧のようにZEP「WHOLE LOTTA LOVE」という超ド級の大定番ギター曲の練習用教則動画ですが、実はこの動画はこれまで殆どのツェッペリン教則本にて指摘されていなかったスキルを提示しています。おそらく著名なギタリストの方でもこれを知らなかった人は多いハズです。そのスキルとは「5弦を少しだけベンドする」というスキルなのですが。今までギター雑誌の多くでは「ギター2本で弾け」とか「ショートディレイかませ」とか適当なことを書いていたんですが、それがウソだったということがわかります。余談ですが実はペイジ本人はこのフレーズをオルタネイトで弾くんですけど(笑)。



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 キース・フォーシーっていう人をご存知でしょうか? 音楽プロデューサーで、80年代に大ヒットを連発した人です。今回はそのキース・フォーシーの特集なのですが、最近彼の名前をすっかり聞かなくなりました。ネットで調べてみても最近何をなさっているのかがわかりません(2005年に復活ビリー・アイドルのプロデュースをしてますが)。それはともかく、そのキース・フォーシーのお仕事を簡単におさらい。(2016年3月11日更新分/選・文=大久)

Donna Summer/ Last Dance (1978)

 キース・フォーシーは48年イギリス生まれ。70年から音楽活動を始め、ドラマーとして活動。70年代中頃にジョルジオ・モロダーのスタッフとなり、数多くのミュンヘン・ディスコ・サウンドのリズムを担った人でもあります。動画はドナ・サマー「LAST DANCE」のTVライヴですが、ド派手なドラムを披露していますね。サルソウル関連のグループ、メトロポリス等でもドラムを担当。つまり「ディスコ・ドラマー」の第一人者だったんですね。

Keith Forsey / Take Me To The Pilot (1981)

 ジョルジオ・モロダーとはその後も長らく数多くの共作を残してますが、単独でもプロデュース活動を始めたのは70年代末。そして80年代初期にソロとしてアルバムを発表しています。なんかホモホモしいジャケが恐ろしいのですが(笑)、ビル・チャンプリンとかジェフ・バクスターとかルカサーとかが参加した西海岸AOR作。本作のプロデュースはモロダーで、フォーシー唯一のアルバム作になります。

Irene Cara / What A Feeling (1983)

 しかし何と言っても彼の名を一躍有名にしたのは、誰もが知ってるこの曲でしょう。ミュンヘン・ディスコ時代からの旧知の仲でもあったアイリーン・キャラ、キース・フォーシーのプロデュースで映画の為に歌ったこの曲はもう何をかいわんやの大ヒットに。以降キース・フォーシーは多くの映画音楽を手がけるようになります。

Billy Idol / Rebel Yell (1983)

 また映画関連のみならず、ロック系アーティストのプロデュースでも彼の名は知られるようになります。もちろん最大の成功作はジェネレーションXのシンガーをソロとして大成功させた一連のビリー・アイドル作品群でしょう。(彼はジェネレーションXのプロデュースも一部担当しましたが)。ビリー・アイドルは前述通り最近復活して再び盛んな活動を初めていますね。

Glenn Frey / The Heat is On (1984)

 大ヒット・ドラマ「ビバリー・ヒルズ・コップ」からの大ヒット曲。先日亡くなったグレン・フライ(元イーグルス)最大のヒット曲でもあります。キース・フォーシーはその他「ゴーストバスターズ」「ブレックファスト・クラブ」「ネバー・エンディング・ストーリー」等の音楽を担当したことも御承知の通り。あとシンプル・マインズ「DON'T YOU」のプロデュース等も担当してます。

Charlie Sexton / Beat's So Lonely (1985)

 で、すっかりトップ・プロデューサーの仲間入りを果たしたキース・フォーシー。彼(と彼が手がけたビリー・アイドル)の成功にあやかって、ふたたび、という思惑が働いたと思われるのが、チャーリー・セクストンのデビュー作かと。しかし何が恐ろしいかと言えば、今回掲載した動画の大半がリズムマシンを使って録音されたことでしょうか。ドラマー出身のプロデューサーなのに。

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 己に課した禁を、今回は破ろうと思います。今回の特集は「歌うヘッドライト」特集。いすゞ自動車の一社提供で1974年〜2001年まで続いた深夜ラジオ番組です。筆者は子供時代に「ANN2部」を聴けない地域で育ったので、強制的にこれを聴くことになりました。ANNとは真逆とも言える、圧倒的な大人の世界。まあそんなことはとりあえず置いといて、今は亡き「歌うヘッドライト〜コックピットのあなたへ〜」を偲びたいと思います(2016年3月18日更新分/選・文=大久)


いすゞ歌うヘッドライト〜コックピットのあなたへ〜 OP 1979年1月26日

 テープフランジングを起してますね。ゆえにこの音源所持者は録音したテープを30年以上大事に持っていたという事実にも気付きます。同番組のオープニングを丸々収録した音声ですが、今から37年前の深夜放送の空気もさることながら、午前3時の長距離ドライバーという極めて狭いユーザーにだけ向けられた特異な音楽番組であることも判ります。

いすゞ歌うヘッドライト 街道CM 伊那街道

 番組の構成と詳細はウィキでもご覧頂ければと思いますが、番組中「特定の街道とそこにまつわる歴史を語り、いすゞのトラックの宣伝につなげて行く」という2分間のインフォマーシャルが盛り込まれていました。おそらく当事者(=ドライバー)でないとピンとこない内容のCM、というある意味マニアック過ぎるCMでもあります。

糸川蛍子/夜明けの仲間たち(1981)

 同番組のED曲として1981年に制作された「夜明けの仲間たち」。作詞は山川啓介、作曲は三木たかし、歌ったのは当時同番組金曜のDJでもあった糸川蛍子。11年間使われ続けた曲ですが、長らく音盤化されませんでした。「CD化並びにレコード化されておらず諸般の事情により一般発売はなかった」という記載がありますが、諸般の事情てなんなんでしょうね?ですが遂に2012年、モノラル音源ながら音盤化されています。

いすゞ歌うヘッドライトED(1982)

 さて今回のハイライト。82年当時の番組EDを3つ詰め込んだもの。ED曲「夜明けの〜」の後にもインフォマーシャルが入りますが、BGMはスティーヴン・シュラックス「BLUE DOLPHIN」のカヴァー音源です。もうお気づきかと思いますが、ナレーションはMr. BOOシリーズでもお馴染みの名声優・広川太一郎。ズンドコなフォーク歌謡のアレンジってやつを当方は結構ボロクソにけなすタイプなのですが、「夜明けの仲間たち」だけは例外です。

麻生詩織/夜明けの仲間たち(1992)

 麻生しおりによるカバー・バージョンが、91年から同番組のED曲に採用されました。麻生しおりは当時金曜夜のDJを務めていた人でもあります(余談ですが、同時間帯の前任者はマルシア)。うーん。時代・・・ですね。けして悪くないですよ。でもね、コレジャナイ感がハンパないです。こういうFMパッド的な音とは対極にある曲/番組なんですよね。

いすゞ歌うヘッドライト 最終回

 98年以降は1時間番組へ短縮、そして前述通り、同番組は2001年に終了となります。同時間帯の新番組は、創価学会が提供する「あなたへモーニングコール」という音楽番組へと変わりました。そうそうそういえば、当時の深夜〜早朝番組は宗教団体が提供する番組がいろいろありましたよね、なんてことも思い出されます。それはともかく、こちらがその01年9月29日OAの最終回ED部分です。



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