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2012年9月7日(金)

Message from ROGER NICHOLS #2
ロジャー・ニコルスからのメッセージ



 ロジャーからのメッセージ第二弾はアルバム録音中のスタジオにて収録した。今回はマレイとメリンダを交えたSCOF三人揃っての登場だ。
 冒頭の歌声を聴いてお判りの通り、今回彼らはカーペンターズの歌唱でお馴染み「愛のプレリュード」をカヴァーしている。そもそも前作「フル・サークル」完成後に筆者が最初にロジャーにリクエストしたのが、次のアルバムでは是非この曲を録音して欲しい、ということだった。次いで、デモ録音のみで公式に録音されることなく終わった「サムシング・フロム・パラダイス」。この曲を収めたアセテート盤を90年代半ばに手に入れるやすぐさまロジャーにコピーを送って確認したところ、なんと歌っているのはSCOFの三人であることが判明。しかも

「すっかり忘れていたけど、ひょっとするとこれは僕らが一番最初に録音したデモかも知れない」とのことだった。「フル・サークル」制作時に録音候補曲にリストアップしていたが、結局は選から漏れ、この度ようやく録音する運びとなった。過去に「てりとりぃ」同人の宮治淳一さんが店主を務めるお店〈ブランディン〉のイベントや、筆者がパーソナリティを務める番組で紹介したことがあるが、さほど知られていない曲だと思う。
 そのほか新曲もたっぷり取り揃えた全12曲を収録の予定(当初もう1曲録音を予定していたが、歌詞の手直しが間に合わず、今回は収録を見送った)。なお動画はこの先も随時アップするので、ご期待のほど。
︵濱田高志=アンソロジスト︶



ミシェル・ルグラン来日記念特集
ミシェル・ルグランと私【1】

 今週より四週に渡って今年傘寿を迎えた映画音楽界の巨匠ミシェル・ルグランを特集する。
 「月刊てりとりぃ」同様、「週刊てりとりぃ」ではこれまで音楽ネタを中心に雑多なテーマで記事を紹介してきたが、たまには特別編成を組むのも良いだろう。毎月とはいかないが、今後も時おり特定の事柄をテーマに特集を組んでいこうと思っている。ちなみに十一

月はロジャー・ニコルス特集を組む予定だ。
 さて、今回の特集では、「てりとりぃ」同人のなかからルグラン好きを自認する方を中心に毎週三人の寄稿を紹介してゆく。一週目となる今週は、ルグランとは公私ともに付き合いのある村井邦彦さん、そして「月刊」でお馴染み森遊机さん、麻生雅人さんの随筆を掲載する。
(文=編集部)

 ミシェル・ルグランの音楽の魅力は、クラシック音楽とジャズ、そしてフランスのポピュラー音楽が渾然一体となったところにある。流麗なメロディと色彩り鮮やかなハーモニーがしばしば起こる転調によって異なった表情を表す。
 僕が一番聴き込んだルグランのレコードは「ミシェル・ルグラン シャンテ」と「ロシュフォールの恋人たち オーケストラ・ヴァージョン」の2枚のLPで、共にフランスのフィリップ

スレコードから60年代に発売になった。前者はルグランの歌のアルバムで、ナナ・ムスクーリとのデュエットが中に数曲入っている。後者は映画の中の曲を新たにオーケストラ用に編曲し直したものだ。
 歌のほうのアルバムの中に「リラのワルツ」というルグランのごく初期のヒットソングが入っている。ルグランの声は個性的で好きな人も嫌いな人もいるが、僕は大好きだ。同じメロディが転調によって表情を変

 ミシェル・ルグランといえば、ふつう『ロシュフォールの恋人たち』『おもいでの夏』といった名曲群が思い浮かぶが、それらに加えて筆者は『火の鳥』の音楽をこよなく愛している。
 1978年の日本映画。

手塚治虫の原作を、監督・市川崑、脚本・谷川俊太郎、キラ星のようなオールスターキャストで映像化したもので、製作はなんと、「てりとりぃ」同人の村井邦彦氏。ルグランがテーマ曲を書き、演奏はロンドン交響
えていく。最初短調で始まり、途中から長調に変わっていくのだが、詞の内容にぴったり添っているところがすばらしい。後になって「ワンス・アポン・ア・サマータイム」という英語の詞がついてブロッサム・ディアリーやアストラッド・ジルベルトが録音したが、僕はルグランがフランス語で歌うこのオリジナルが一番好きだ。
 ロシュフォールのオーケストラ・ヴァージョンの編

曲はどれも素晴らしく、何度聴いたか数えられないぐらい聴いた。のちにビル・エヴァンスが録音した「マクサンスの歌」 (英題「ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング」)や「シモンの歌」が好きだ。弦楽四重奏にテーマを弾かせて、うしろに大ストリングスを持ってくるところは着想もいいが、見事に書かれていて圧巻だ。
(村井邦彦=作曲家)

楽団という、当時としては異例、破格の豪華さである。海外の大物コンポーザーが邦画の音楽を手がけた例としては、ニーノ・ロータの『陽は沈み 陽は昇る』、モーリス・ジャール『首都消失』『落陽』、フランシス・レイ『ラッコ物語』などがあるが、われらがルグランにはもう一本、『ベルサイユのばら』(79年)もある。『火の鳥』では、作曲依頼にあたってスタッフが、物語の仏訳と阿蘇山の写真をフランスに送ったそうだ。
 さて、そうして出来た『火の鳥』のテーマ曲。壮麗でスケール感もあり、本当に素晴らしい。4/4拍子の主旋律をベースに、ストリングスが細かいリズムを刻み、変調に変調が重なる……という複雑な構造の曲なのだが、おおらかでスローなメロディと、緊迫し

た速いテンポの助奏が交互に掛け合い高まっていくアレンジの妙を、文字で書くのはむずかしい。
 公開当時、村井氏のお膝元のアルファから出たサントラLPでは、A面全部が一つの組曲になっており、映画では、オーニングタイトルに組曲の中盤の部分を使い、全編の要所要所にスコアを散りばめていた。市川作品のトレードマークである鍵の手状にレイアウトされた巨大明朝体のタイトルに、緑の草原の映像が細かくカットインし、ルグランの曲が高鳴ると、その流麗な美しさに恍惚とした気

分になる。
 ところが残念なことに、同作品のサントラはCD化されておらず、映画本編にいたっては、DVDはおろか、一度もビデオが出ていない。未来永劫ありえないと諦めていた『黒部の太陽』DVD化の報を聞くにつけ、ああ、これで『火の鳥』は未ソフト化超大作として、邦画最後の秘宝になってしまったなあ……とため息が出る。
 実は、同映画のソフト化は、(仕事人としての)わが永年の悲願なのである。それは、筆者が市川崑監督の研究をライフワークにしているという理由のほか、ビデオ会社在籍中に『日本万国博』『超高層のあけぼの』といった幻の超大作邦画の発掘ソフト化を行ってきたこともあり、大好きな『火の鳥』もぜひ!と、数年前から調査や交渉をコツ

 どんなジャンルの音楽にもいえることだけど、企画先行の異種混合コラボ演奏というのは、無理やり感がプンプン漂ってガッカリさせられることが多い。反面、なんでこの人たち一緒にやってんの? と思わずにいられない、突発的にノリで作られたっぽい異種混合コラボ作品の方が、出会うべくして出会ったんだなこの二人は、と心から思える「共演」を聴けることがあったりする。
 そういうアルバムに限っ

てとてもノリや雰囲気が良くて、こんなに相性がいいのならこれをきっかけにもっと共演作を作ればいいのに、と思うのだけど、そうなった試しがほとんどない。理由はわからないけど一目で惹かれあい結ばれずにはいられなくなった、だけどずっと一緒にはいられない二人が過ごした運命の一夜、みたいなものなのだろうか。
 ああ、これぞ真髄、と、うっとりさせられてしまう洒脱極まる、しかし、同時にサンバのリズムをも繰り
コツ続けてきた。2年前、出版社に移ってからも、『火の鳥』手塚原作のオリジナル復刻版(全12巻)を手がけたが、映画のほうは権利関係が複雑だったりして、なかなかはかどらない。

そちらは遠い夢だとしても、せめてルグランの絶品のスコアだけは、ぜひCD化してほしいと切に願わずにいられない。   
(森 遊机=映画研究家/書籍プロデューサー)

出す、たぶんこのレコード以外で世界中のどこでも聴けないヴォーカリーズが、ピアノの饒舌な掛け合いを繰り広げるバーデン・パウエル&ヴィニシウス・ヂ・モライスの「カント・ヂ・オサーニャ~ビリンバウ」。バロック調で始まりながら格調はそのままにスウィング・ジャズ~ラテン・タッチに転じるミシェルの「アムール・アムール」。
 ミシェル・ルグランと、ペドロ・パウロ・カストロ

・ネヴィスによる85年のサンパウロ録音作品は、異なる音楽同士の、とても素敵で美しく、豊かな邂逅を記録した、レコード冥利に尽きるレコードだ。プロデュースとアレンジはミシェル自ら手がけている。
 ペドロ(通称ペペー)は、合衆国に渡り活躍しているオスカー・カストロ・ネヴィスの兄弟で、本作以外にも、79年に「コラサォン・ヴーガー」というリーダー作があるが、表舞台よりも、

エギベルト・ジスモンチのバックヴォーカルなど、裏方の仕事で知られるヴォーカリストだ。ペペーはジスモンチを介してクリスチャンヌと知り合いミシェルと出会ったのかもしれない。本作の表題「カント・ヘトラト」は、収録されているジスモンチの曲名でもある。また、本作を発売したポインテールというレーベルが、ヴォーカリーズの得意なフィロー・マシャードのホームグラウンド的レーベル、というのも気になる。後にフィローも、ミシェルと共演している。
 だからミシェルとペペーは、本当は行きずりの関係などではないのだろう。その後の二人の交流に関してはしらないけれど、フェイスブックをみると、リオ生まれのペペーは、今はフランスに住んでいるようだ。
(麻生雅人=文筆業)
ミシェル・ルグラン来日記念盤
世界初CD化2タイトル 2012年9月26日発売

■ライヴ・アット・ジミーズ
(1973年録音) SICP 20424
■ミシェル・ルグラン・アンド・フレンズ
(1975年録音) SICP 20425

Blu-Spec CD(TM)
/最新DSDマスタリング
監修・解説:濱田高志 各2,000円
発売:ソニー・ミュージック



映画秘宝EX「爆裂!アナーキー日本映画史 1980~2011」待望の発売!

 ある時期、東京の中央線沿線にひときわ愛着を持っていて、そこから離れられない時期が長らくあった。「なんでそんなに愛着があるの?」と聞かれても上手く応えることは出来なかったのだけれど、質問者から「中央線沿線の街ってさあ、なんだかあの地面がヌルっとしたカンジ、床が濡れてるカンジが嫌いなんだよ」と言われたことがあり、あ、なるほど確かに、と自分でも膝を叩き強烈に納得した

ことがあった。
 世界都市・東京のイメージとはかけ離れた、もうひとつの現実。『セーラー服と機関銃』や『ハイティーン・ブギ』といったカラリとドライな空気で賑わう82年の日本映画シーンの裏で、石井聰亙が制作・公開した『爆裂都市』にはその「ヌルっとした」もうひとつの現実が、ジメジメと描かれていた。つい先日も、ある人に「『爆裂都市』は日本映画史上最低の映画だ」と

指摘され、言った彼も言われた当方もお互いニヤリ、なんてこともあった。この場合の「史上最低の」は、褒め言葉だ、とお互い判っていたからだ。
 今年の4月に発売された『鮮烈!アナーキー日本映画史1959〜1979』の姉妹編という位置づけになる、『爆裂!アナーキー日本映画史1980〜2011』が映画秘宝EX最新刊として発売された。前作の表紙を飾った加賀まりこの美しさも、もっともっと(世界的に)語られるべきだとは思うが、今回の『爆裂!』の表紙はセーラー服の満島ひかり(Folder5)が中指をおっ立てる至高のショット。オンナノコはいつも戦いを求めている、と言ったのが誰だったかすっかり忘れてしまったが、男性が口にする場合の「狂気」という言葉がいつ

も薄汚れた我欲マミレの概念だ、ということを強烈に思い知らされる。
 タイトル通り、今回は80年代から現在までの公開作品の中から、「評価はB級、でもココロザシはA級」とも思えるカルトムービーを123本厳選して紹介。日本映画の表の歴史が興行収入ばかりで語られる機会が多いのとは対照的に、本書で紹介される日本映画の「裏歴史」は、「どこまでも走る」という無謀な制作者の野心ばかりがサンプリングされた、まさにアナーキーな「日本映画の本質」の一部だ。
 アウトローとは、ルールを破るからアウトローなのではなくて、どう見られようと/どう思われようともそれしかできない、という宿命をすべて背負う覚悟がある人を指すのだ。
(大久達朗=デザイナー)
公式HPは http://www.yosensha.co.jp/book/b103316.html



てりとりぃ×宇野亜喜良
コラボレーショングッズ 第1弾
「月刊てりとりぃ」創刊2周年を記念した「てりとりぃ」オリジナルTシャツ&エコバッグを制作しました。(左写真をクリックすると別画像が表示されます)。枚数に限りがありますのでご注文はお早めに!

■Tシャツ サイズ:S、M(アメリカンサイズにつき「M」でも比較的ゆったりサイズです)/カラー:ホワイトのみ/素材:綿/価格:2,800円(税込)+送料
■エコバッグ サイズ:縦375mm×横350mm(アナログLPも入ります)/カラー:オフホワイトのみ/価格:1,200円(税込)+送料

ご購入を希望される方は、「てりとりぃ」編集部 territory.tvage@gmail.com まで、メールにて希望商品名と希望サイズ、枚数をお知らせ下さい。到着後3日以内に折り返し返信メールを送ります。なお限定品につき品切の場合はご購入出来ない場合があります。*別途送料は発送方法によって異なります。詳しくはお問い合わせ下さい。

2012年3月23日(金)

『ABCホームソング』初の作品集が登場

 なつかしいわけがない。これはぼくが生まれるずっと前。30年も前の音。それなのに、胸をしめつける。深く、音に潜る、暖かい音がした。
  「ABCホームソング」、レコードを買っていればかならずどこかでみかける名前。そうか、これはラジオ番組だったのか。そんなこ

とも知らなかった。
 2枚組のこのCD、54年から曲と共に1年、また1年、と現代に近づいてくる。それがまた嬉しい。
 三木鶏郎作詞作曲、河井坊茶のうたう「かぐや姫」はどこかで聴いたことがあった。はっきりとメロディは覚えている。どこだったか。そうか、思い出した。

あれは今から2年前、三木鶏郎追悼コンサートで聴いたのだった。歌っていた鈴木慶一さんはラジオで、リアルタイムで聴いていたのだろうか。羨ましい。
 次々と出てくる美しい歌詞、メロディ、楠トシエのうたう「高原の駅で」、あの最初の歌詞、あの声、メロディで、夏はあなたといっちまう、なんて歌うのだからもう。それに、越路吹雪の力の抜けた声はなんて美しいのだろう。今まで気づかなかった。武井義明の声の魅力。まだまだ書ききれないほど、このヴォリューム、情報量が多すぎる。
 さて、つづいて2枚目。ここには60年からおよそ10年間の音が詰まっている。1枚目から1年ずつ、ずっと続いていたはずなのに、2枚目になるとまた違った印象を受けた。四角く小さな部屋から、少し広い部屋

へ移るように。胸の中についた一本のろうそくが電球に変わるように。ただ、贅沢な時間は変わらない。
 ザ・ピーナッツに仲宗根美樹、藤田まことに北原謙二。はしだのりひことシューベルツ、由紀さおり、天地総子、キューティーQ、デューク・エイセス、上條恒彦、タイム・5。名前を見ているだけでもお腹いっぱいになってしまいそうな。ただ、ここにダンスホールで踊れるような曲は入っていない。ラジオの前で贅沢を独り占めするための音楽。
  「若いってすばらしい」だけが槇みちるではない。
「アイ・ラヴ・ビイ・ビイ」だけがファイヴ・キャンドルズでもない。ここにはそれぞれ「地図をひろげて」、「傷ついた約束」が収録されている。
 中村八大作曲、永六輔作詞、朝丘雪路のうたう「お

母さん 口紅を」のモダンな演奏、澄んだ声。越路吹雪「手紙」がラジオで流れたら。
 昭和29年から46年、ぼくには想像することしか出来ない。そこはどこも新しい発見ばかりで、楽しくてしょうがない。
(馬場正道=渉猟家/月刊てりとりぃ第25号より転載)



自主制作マンガ界の瀟酒な箱庭

 昨年末に、直枝政広さんとお話させていただく機会ありまして、流れでマンガの話になりまして。直枝さん最近よかったマンガありますか?との問いに、「西村ツチカ、いいよね」との即答をいただき、さすが我らが直枝政広!と膝を叩いたものでした。昭和モダングラフィックを現代に落とし込んだようなテクニックに、軽やかな言葉のチョイス。新進マンガ家の西村ツチカは、作品集「なかよし団の冒険」で文化庁メディ

ア芸術祭の新人賞を受賞するなど、増々注目されている傍ら、(本人は無自覚であろうと)現在の自主制作マンガの世界においてもキーパーソンのひとりである。その筋では知られたユーモリスト、ナマエミョウジとのコラボレーション「ふーこーめいび」も、何者からも自由な自主制作ならでは。物体として面白い、爽快な一冊だった。
 そんな西村ツチカも寄稿している「ジオラマ」に注目。デザイナーの森敬太が

主宰する、まだ生まれて間もないマンガ雑誌。マンガを描く側ではなく、装丁する側の主宰というところが面白い。というのも、才能に溢れる市井の作家や音楽家が、その魅力を最適なかたちで提示できるパッケージの創り手と出会えていない例を見ることが、少なくなかったからだ。プロの仕事らしく、かっちりと、少々の心憎いスパイスが加えられたデザインには、下品さや貧しさが微塵もない。北野武映画の飄々としたテイストを彷彿とさせる青春マンガの佳品「森山中教習所」の作者・真造圭伍の参加も嬉しいが、カネコアサイチやerror403といった(不勉強ながら)未知の作家のきらめきを発見させてくれるのも嬉しい。その他、マンガ愛好者ならそれよそれそれそれなのよと歓喜するであろうライン

ナップは、手にしたときのお楽しみということで。義務教育じゃありませんから。のほほんと風通しの良い印象だが、その風力には勢いを感じる、そんな雑誌だ。
 個人的なことを言えば、「ジオラマ」の誌面にはミュージシャンが関わる要素もあり、なかではバンド活動なども発生しているとの噂もありますので、マンガ家音源の蒐集家としては、きっちりパッケージ化していただきたい次第です。
(足立守正=マンガ愛好家)     *
『ジオラマ』第二号/価格:税込¥950/詳細はツイッターアカウント(コチラをクリック)を参照。


てりとりぃアーカイヴ(初出:月刊てりとりぃ#11 平成23年1月22日号)
アラン・ドロンのことだけを[8]いつの日か銀幕で観たい、幻の佳品『ジェフ』

 世間の評価が高くなくても、好きで好きでたまらない佳品……というのがある。アラン・ドロンの映画でいえば、筆者の場合、『ジェフ』(Jeff、1969年)がそれだ。
 5億フランの宝石をめぐるギャングの内輪揉めというストーリーの地味さからか、それとも、一度もソフト化されていないせいか(残念ながら筆者もTV吹替版での鑑賞)、この映画のことを語る人に出会ったことがないのが、とても寂

しい。
 盗んだ宝石を持ち逃げしたボス(ジェフ)を追って、手下のドロンと、ボスに捨てられた情婦のミレーユ・ダルクが、車で旅をする。フランスから国境を越え、ベルギーへ。跳ね橋、運河、石造りの家並み……しっとりした冬景色をとらえた軟調のキャメラが、圧倒的にすばらしい。朝もやの中、河沿いの並木道を車が行くロングショットなど、まさに“泰西名画”そのもの。撮影JーJ・タルベス、監

督ジャン・エルマンは『さらば友よ』のコンビだが、演出にケレン味の強かった前作とちがって、滋味深い、自然体のタッチで進んでゆく。
 田舎町のひなびたカフェに入った二人が、お互いの孤独をにじませながらコーヒーを飲むシーンなど、静かな、何とも言えないムードがある。
 カフェの出口にある大きな鏡に、ぐにゃりと歪んだ彼らの姿が映る。「似合いの二人だ」とつぶやくドロン。私生活でも深い仲になったミレーユとは、これが最初の共演。ドロンの黒皮のロングコート、ミレーユの白いタートルネックというファッションもいい感じだが、何より、さりげないしぐさの中に二人の波長が合っているのが観ていてよくわかり、それが映画の出来に貢献しているのだ。

 ギターとストリングスが奏でるフランソワ・ド・ルーベの音楽も良い。当初、大御所のジョルジュ・ドゥルリューにオファーがいったが、「ギャングを悲劇的に描いていないのが気に入らない」という理由で断られたとか。
 ラストシーンは、ブランケンベルグの、海に面した展望台での、ドロンとギャング仲間の対決。ここでの映像の美しさは、とても筆では表しきれない。
 そんなわけでこれは、好きなドロン映画3指に入る、わがご贔屓作。日本公開日の1969年12月20日(土)朝にタイムワープし、東銀座の東劇(旧)の初回に飛びこみたい! と、何度妄想したことか。
 いつの日か銀幕で観たい映画NO・1である。
(森 遊机=映画研究家/プロデューサー)




Monthly Territory 2nd Anniversary - Original Bookmark

「月刊てりとりぃ」創刊2周年記念 オリジナルしおり 配布中です


2010年春に創刊されたフリーペーパー「月刊てりとりぃ」も現在配布中の第25
号で3年目に突入。日頃のご愛顧に感謝する意味も込めて、創刊2周年記念とし
て「オリジナルしおり」を作成しました。本紙でもお馴染み、宇野亜喜良氏によ
るオリジナル・ロゴ・デザインをカラーであしらったデザインとなっています。

数量限定とはなりますが、ディスクユニオンJazzTOKYO、神保町店、新宿ジャ
ズ館、BIBLIOPHILICにて現在無料配布中。ご希望の方はおややめに。