昨年(2011年)の年末にある事件がおこりました。そのニュースは、12月21日夕方6時からのBBCニュースの中で報道されました。どんなニュースかと言いますと、「1973年にデヴィッド・ボウイがBBCで演奏した映像が、38年振りに発掘された」というニュースでした。動画はそのニュース映像で、発掘した元カメラマンのインタビューも放送されました。このニュースは夜10時からのBBCニュースでも繰り返し報道されました。そして「24日のTOP OF THE POPSで遂に解禁されます」という宣伝もバッチリ行われたわけですが。このニュースはBBC TVだけでなく、BBCのRADIO 1/2でも流れました。
David Bowie's lost 1973 TOTP Performance
12月24日のクリスマス特番の終盤で、その発掘映像がついに放送されました。イブの日に、神様が(38年振りに)降臨したわけですね。世界中のボウイ研究家が初めてこの映像を目にしたことと思います。元々は1973年1月4日にBBC TOP OF THE POPSで放送されたソースでしたが、その後一切人目に触れることなく、眠っていた映像でした。あまりにも奇麗な映像なので、その点にもビックリですが、動いているミック・ロンソンを見るチャンスはそうそうないので、そういう意味でも驚愕の映像です。このマスターテープを発見した元カメラマンは「21日だけで4本のインタビュー取材を受けた」と語っています。
TOP OF THE POPSは基本的に音が前録りで放送素材はアテフリなのですが、ここで見る事の出来る演奏は生演奏のようです。後半でベースが2小節分尺を間違えた部分がそのまま演奏されていることが確認できますし、「完全なライヴ」とナレーションでも言ってますし。当方のようなオタクは、ミック・ロンソンのアンプのツマミの位置がどうなってるか、とか、どのタイミングでファズを踏んでるか、とか、ボウイ様のジャケットの素材は一体なんなのか、なんてことまで知りたくて、この映像をそれこそ何十回も凝視するわけですが、そんなオタク心とは一切関係なく、やっぱりカッコイイというのはこういうことだな、とか一目で確信を深めたりもしました。
そして有名なようでいて、実はあんまり知られていない傑作バージョン。95年にモリッシーがシングルのB面曲としてカヴァーしたヴァージョンです。10分弱あります。最高です。本旨と離れますが、この曲の後半でうっすらと女性の鳴き声がコラージュされているのですが、一時この声はヘップバーンの声だ、という噂が流れたことがあります。実際にはヘップバーンではなくペギー・エヴァンスというイギリスの大昔の女優さんでして、1950年のイギリス映画「The BLUE LAMP」の音声をサンプリングしたものです。