ジャンゴ・ラインハルトやグレン・グールド、ジャック・タチといった人物までが実名で登場するという2002年のアニメ映画「The Triplets of Belleville」を見て結成を思いついた、というプッピーニ・シスターズ。結成は04年で、06年デビュー、これまでアルバムを4枚発表していますが、実力がどうとか、アレンジがどうという以前の話として、(例えば昨今話題のピンク・マルティーニのように)そのスタイルが楽しくて仕方ない、という陽気な魅力に溢れたコーラス・グループです。デキシー/スウィングのジャズ・ヴォーカリーズ・スタイルがこういった形で今の時代にプレゼンされる、というのも楽しいですよね。(2012年8月17日更新分/選・文=大久)
The Puppini Sisters / Heart Of Glass (2006)
イギリスでゴールド・ディスクに輝いたデビュー・アルバム「BETCHA BOTTOM DOLLAR」収録曲。もちろん、ブロンディー「HEART OF GLASS」のカヴァーです。シスターズを名乗っていますが実際の姉妹ではなく、メンバーはマルセラ・プッピーニ、ステファニー・オブライエン、ケイト・マリンズの3人。面白いのは、3人とも「年齢非公表」だということです(笑)。
動画はドイツのTV番組に出演した際のライヴ映像です。なんていうか、イギリスっぽい「肉厚で、垢抜けない」カンジがたまりません(笑)。こちらはもちろん1954年コーデッツによって大ヒットした曲のカヴァー。女性コーラスの見本のような曲でもありますが、チョロっとでてくるバイヴが気持ちいいですね。セカンド・アルバム「THE RISE AND FALL OF RUBY WOO」収録曲ですが、同作には「スウィングしなけりゃ意味ないね」等も収録。
The Puppini Sisters / Moon River (Secret Sessions/ 2011)
最後は2011年に発表されたハリウッド・スタンダードのカヴァー集『HOLLYWOOD』から「MOON RIVER」のカヴァーです。が、こちらの動画は彼女達自身の演奏によるスペシャル・バージョン。これまでもプッピーニ・シスターズは彼女達の「元祖」といえそうなアンドリュー・シスターズ「BOOGIE WOOGIE BUGLE BOY」、グロリア・ゲイナーのディスコ・ヒット「I WILL SURVIVE」、クラシックス・フォー「SPOOKY」他に加え、ジャズ/R&B等のスタンダード・カヴァーも沢山残しています。公式HPはこちら。たくさん試聴もできます。
人生なにが起こるかわかったモノではありません。「BREAKAWAY」から16年後、そして「イージーライダー」から数える事13年後、彼女は再び歌手活動を始めます。そして82年発表の、このチアリーダー・ソング「MICKEY」はなんと200万枚を売り上げる全米NO.1ヒットとなってしまいました。今であれば、もちろん「ゴリエ」のテーマ曲として有名なこの曲ですが、2012年のマドンナ「GIVE ME ALL YOUR LOVIN'」の下敷きになった曲であることも間違いありません。
David Bowie - Time Will Crawl (1987)
最後はオマケ動画。トニー・バジルは1974年の「DIAMOND DOG TOUR」の振り付けを担当して以来デヴィッド・ボウイと親しい間柄ですが、87年のツアーでも振り付けを担当しました。動画は同年のシングル曲(ギターでピーター・フランプトンが参加)のPVですが、ここでもトニー・バジルが振り付け&出演しています。が、この時期のボウイのPVはロクなモンであったためしがなく、ボウイ本人も「ホントは別なバレエ団(=ラララ・ヒューマン・ステップス)を使いたかった」などと酷いことを言っています(笑)。