Oscar Peterson Trio / The Windmills Of Your Mind (1970)
ルグラン本人との交遊も知られる、ジャズ・ピアニスト、オスカー・ピーターソンの名作『WALKING THE LINE』(70年)収録の、「風のささやき」のカヴァー。スリリングで激しさを加味した演奏なので、本家のイメージとは離れたものかもしれませんが、『華麗なる賭け』がサスペンス映画だ、と考えると、これはアリですよね。それにしてもドイツMPS、凄く音がいいですねえ(MPSはMOST PERECT SOUNDの頭文字から来てるそうなので、当然なんですが)。
Barbara Lewis / The Windmills of your Mind (1970)
アトランティックR&Bのディーヴァとして有名なバーバラ・ルイスですが、こちらはスタックス・レーベルに移籍後に発表した、70年作『THE MANY GROOVES OF』収録の「風のささやき」のカヴァー。後にギャングスターがこのヴァージョンをサンプリングしたことで、ヒップホップ・ファンにも馴染みのあるトラック。スタックスにしては珍しい、ちょっと湿り気のあるドラムの音色が最高ですね。
Rigmor Gustafsson / The Windmills of your Mind (2006)
スウェーデンの女性ジャズ・ヴォーカリスト、リーグモル・グスタフソン(とお読みするのだそうです)。現代の北欧ジャズのスターとなった彼女ですが、2006年にミシェル・ルグラン作品集『ON MY WAY TO YOU』を発表(発売はドイツのACTというレーベル)していますが、そこに収録された「風のささやき」のカヴァー。そして正統なジャズ・アレンジなのにファンキーなのも嬉しいところ。
Sting / Windmills of Your Mind (1999)
最後は、1999年のリメイク版『華麗なる賭け』の主題歌となった、スティングのカヴァー・ヴァージョン。リメイク版のサントラは大半がビル・コンティによるインスト曲でしたが、それでもやはりこの曲は外すわけにはいかなかったようです。そりゃあそうですよね。スティングは2010年のミシェル・ルグラン音楽活動50周年記念コンサートにも出演し、「WHAT ARE YOU DOING FOR THE REST OF YOUR LIFE」を共演してもいます。
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ミシェル・ルグラン特集、今回は彼の代表曲「THE SUMMER KNOWS」の聴き比べ、です。71年の映画『おもいでの夏/THE SUMMER OF '42』主題歌だなんて事は、もはやここに書く必要も無い程に有名ですが、トニー・ベネット、フランク.シナトラ、バーブラ・ストライザンド、他多くの歌唱でも知られるルグラン・スタンダードの筆頭に挙げられるこの名曲のバリエーションを、ちょっと珍しいアレンジものを中心に選んでみました。(2012年9月14日更新分/選・文=大久)
Enoch Light & The Light Brigade / The Summer Knows (1972)
75年、「THE SUMMER KNOWS」のディスコ・カヴァーが大ヒットを記録しました。ビドゥ・オーケストラ名義の作品ですが、インド出身、英国で活躍したアレンジャーのビドゥ氏は74年に作曲・アレンジした、カール・ダグラス「KUNG FU FIGHTING」の仕事でも有名でしょう(69年のザ・タイガースのロンドン録音曲「SMILE FOR ME」をプロデュースしたのも彼でした)。ビドゥ・オーケストラの出身者にはトレヴァー・ホーンとジェフ・ダウンズがいて、その2人は後にバグルスを結成しています。