2012年12月21日(金)【クリスマス特大号】

『ムライポピンズ』クリスマス特別編
[古川タク]



古川タクの連載漫画『ムライポピンズ』 ディスクユニオン各店で好評配布中。詳細はこちらのリンクをご覧下さい。




「80歳ミシェル・ルグランの軌跡~“シェルブールの雨傘”から
“Noel! Noel!! Noel!!!”まで~」放送のお知らせ


 今秋来日公演を行なったミシェル・ルグラン。彼の生誕80年を記念した特別番組が今月25日(火)26日(水)の両日いずれも14時から16時までNHKーFMで放送される。
  番組は筆者による紹介のもと、ミシェルのおよそ半世紀に渡るキャリアのなかから選りすぐりの楽曲を時系列に沿って辿るもので、来日時に収録したミシェル

からのメッセージや世界初紹介となるアセテート盤に残された「ロシュフォールの恋人たち」スタジオ・セッションなど、ほかでは聴けない音源も複数紹介。クリスマスの午後のひとときを彩る華麗な音楽に身を委ねていただきたい。
 なお放送後には放送楽曲リストがNHKのホームページ内に掲載される予定。筆者の不慣れで早口なナビ

ゲートはともかく、紹介楽曲は素晴らしいものばかりなので、お楽しみいただければ幸いだ。
 なお番組で紹介しきれなかったが、ミシェルの最新情報としては、来春、ミシェルとジャック・ドゥミのコラボレーションをまとめた12枚組CD・BOX(未発表・新規録音多数収録予定)が発売されるほか、半世紀に渡るキャリアをまとめた20枚組CD・BOX、さらにミシェルが自身のキャリアを振り返った回想録の第一弾「ミシェル・ルグランとの対話Ⅰ」(仮)、そして晩夏には2004年に上梓した拙著「ミシェル・ルグラン 風のささやき」改訂版の発売が予定されている。いずれも続報は随時「週刊てりとりぃ」で紹介の予定だ。
(濱田高志=アンソロジスト)

・写真:田村玲央奈 ・NHK-FM番組公式ページは http://cgi2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=12f25820121225




藤子不二雄A先生がユニバーサル・モンスターを語る!

 今年で創立100年を迎えたユニバーサル・ピクチャーズは、その記念事業の一環として、ユニバーサルの代表作であるS・スピル

バーグ監督の『ジョーズ』『ET』や、A・ヒッチコック監督『裏窓』『鳥』などの名作群を新たにデジタル・リマスター化、ブルー

レイとして年間を通じて発売してきました。
 そして12月21日、この《100周年記念ブルーレイ化企画》のトリとして「ユニバーサル・モンスターズ・コレクション」ブルーレイBOXを発売します。このBOXには『魔人ドラキュラ』(31年製作)『フランケンシュタイン』(31年)『狼男』(41年)など、計8作品を収録。すべてユニバーサル・ピクチャーズの礎となった作品たちです。ちなみに、ユニバーサルは20年代末から50年代までに50本以上ものモンスタームービーを量産しています。近年の映画は続編企画ばかりで… と嘆いている諸氏を時折見かけますが、実際のところは昔も今も変わらないようです。
 この「ユニバーサル・モンスターズ・コレクション」ブルーレイBOX日本版の

目玉企画が、同梱のブックレットに掲載された藤子不二雄A先生のインタビューです。ご存知のようにA先生は『怪物くん』で日本のお茶の間にモンスターの存在を知らしめた第一人者。そんな日本モンスター界の〝レジェンド〟に、モンスタームービーの魅力、そしてご自身の創作活動に与えた影響など、熱く語っていただきました。
 今回のA先生インタビューは、「月刊てりとりい」にて〝復刻堂通信〟を連載中の小学館クリエイティブの川村さんのご紹介で実現しました。川村さんは、先月から愛蔵版で復刻が始まったA先生の作品『まんが道』の担当をされています。12月20日発売の愛蔵版『まんが道』第4巻には、主人公2人がボリス・カーロフ主演『フランケンシュタイン』を劇場で観賞するシー

ンが、7ページものボリュームで描かれています(そのうち4ページは今回初めて世に出る秘蔵原稿!)。これを見るだけでもA先生がいかにこの作品を愛してきたかが伝わってきます。
 最後に、A先生のインタビューよりひと言引用させていただき、締めの言葉とさせていただきます。「モンスターよ、永遠なれ!」(by 藤子不二雄A)
(百瀬潤=ジェネオン・ユニバーサルPR担当)
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●ユニバーサル・モンスターズ・コレクション(初回生産限定/ブルーレイ8枚組)ジェネオン・ユニバーサル/発売中

写真提供:ジェネオン・ユニバーサル




2013年の新年をチャールズ・ロイドのサックスと共に

 2013年の幕開けと共にチャールズ・ロイドがやって来る。チャールズ・ロイドは、38年生まれ、近年モダン・ジャズの歴史を作り上げてきた巨人たちが次々と世を去る中、50年代後半から半世紀以上に渡って、今も現役で活動を続ける数少ないジャズ・サックス奏者の一人。しかも50歳を越えてからの作品数と、その完成度の高さには驚かされ

ます。
 これまでチャールズ・ロイドと言えば、66年にリリースされ、ミリオンセラーを記録した『フォレスト・フラワー』に代表されるキース・ジャレットをメンバーに加えたカルテットによる熱い演奏のイメージが強かったが、89年からリリースしているECMレコードの作品では、ロイドのサックスの最大の魅力の一つで

ある深みのある音色を聴かせるスタイルに変化。特にバラードは素晴らしく、おそらく現役で活動している演奏家の中でもナンバー・ワンといっても過言でないでしょう。
 70年代後半から一線を退き、BIG SUR(カリフォルニア州サンタ・ルシア山脈の観光地)で隠遁生活をしていたロイドに対して、何度もレコーディングのオファーを出したECMのプロデューサー、マンフレッド・アイヒャーも、きっとその音色に魅了された一人。また近年の作品では、ビリー・ホリデイのポートレイトの前に佇むジャケットが印象的な97年の『カント』、NYの同時多発テロへの鎮魂をテーマにしたバラード集『リフト・エヴリィ・ボイス』(2002)、2011年の最新作『アテネ・コンサート』では、ギ

リシャの歌手で政治活動家としても知られるマリア・ファラントゥーリとのコラボレーションなど、「歌」や「声」が、作品作りにおける重要なテーマの一つとなっているようです。
 現在のロイドのグループは、2007年から活動をしているジェイソン・モラン(ピアノ)、ルーベン・ロジャース(ベース)、エリック・ハーランド(ドラ

ムス)によるカルテット。このメンバーでこれまでに3枚の作品をリリースしていますが、そのうちの2枚がライヴ・アルバムということからも、いかにこのカルテットの演奏が素晴らしいかが分かります。ロイドはインタビューで「彼らと一緒に演奏すると、どこまでも高く翔べるんだ」と語っているように、近年もっとも気持ちよく演奏できるメンバーのようです。
 2008年米ジャズ専門誌「Jazz Times」の批評家投票でナンバー・ワンを獲得、「キャリア史上、最高のカルテット」と称されたグループでの来日。正月の喧騒を離れて、チャールズ・ロイドのサックスの響きに身を委ねながら新しい年をスタートさせるのはいかがでしょうか。
(土屋光弘=ラジオ番組制作者)
CHARLES LLOYD NEW QUARTET at BLUE NOTE TOKYO

チャールズ・ロイド・ニュー・カルテット
1月3日(木)〜6日(日)@ブルーノート東京


テナー・サックスの巨星、チャールス・ロイドが自身の最新ユニットで来日。50年代にデビュー、B.B.キングらと共演を経て60年代半ばにはキース・ジャレットやジャック・ディジョネットを含む自身のグループを結成し、『フォレスト・フラワー』の大ヒットで時代の寵児に。80年代初頭にミシェル・ペトルチアーニをパートナーに迎えてジャズ界へ復帰。90年代以降はECMレーベルからコンスタントに力作を放っている。常にグループに精鋭を擁するロイドだが、今回の公演にも鬼才ピアニスト、ジェイソン・モランや現在のジャズ・シーンで目覚ましい活躍を見せるリューベン・ロジャースとエリック・ハーランドが同行。必聴必見の一夜となるだろう。
・公演の詳細はこちら http://www.bluenote.co.jp/jp/artist/charles-lloyd/

写真提供:ブルーノート東京




子どものためのクリスマス・ソングス

 ♪クリスマスが今年もやあってくる~って竹内まりやの『すてきなホリディ』がテレビCMで聴こえる時期が今年もやってきました。しかし、クリスマスは誰にでもやってくる、わけではありません。クリスマスなんてオレには関係ねえよって輩にはこない。自分で催すものですからね。
 今年はわが家にも十年以

上ぶりにクリスマスがやってきます。娘がクリスマス!って言うので仕方なく催すのです。うちは敬虔なキリスト教徒でもないのにクリスマスって……と思っています。でも、子どもがいると、世間に背をむけてばかりいるわけにもいかず……。だから泣く泣くクリスマス・ツリーを買いました。大人でしょ?

 わが家のツリーは、白い枝葉と白く光るLEDの最新式のもの。ぼくは、むかしながらの豆電球の小さツリーがいいなあと思ったのですが、娘がこれがいいと言うのです。娘に、なんでこれにしたのって訊くと、お城みたいだからって。組み立ててあげると、最初のうちは、眺めてよろこんでいたのに、すこし経つとお人形遊びの舞台の、完全なる(お城)になりました。ええいいんです、楽しんでくれればいいんです。
 せっかくツリー(お城)が来たので、なにかクリスマス・ソングをかけようと思ったのですが、あいにく、うちにはヘンリー・マンシーニのCDが1枚あるだけ。この際だから、すこし買い足すとするか。クリスマスと言えばまず、ビーチ・ボーイズでしょ。それにプリテンダーズの「2000マ

イルズ」も聴きたい。リトル・ブレンダ・リーも要るな。マライア・キャリーもどういうわけか、あのクリスマス・ソングだけは好き。ナット・キング・コールの暖炉のジャケットのアルバムも買って、シナトラはどれにしよう……あ、シナトラならうちにレコードがあるな。レコードならチップマンクスのもあったはず。
 チップマンクスは子ども向けだし娘でも楽しめるかも。で、押し入れに入れたはずのレコードを探したん

だけど、なかなか見つからない。とりあえず、彼らの1枚目のLPが見つかったから、娘に聴かせてみると……良かった。すんなり気に入っている。リスの声みたいに加工してある人間の声なのに、本物のリスが歌っていると思ってるみたい。ついでに同じようなリス声でジャズを歌っているナッティー・スクォレルズも聴かせてみたら、こっちが大当たり!娘は腰をくねらせてタップを踊ったり(踊れてないけど踊っているつも

り)、一緒に歌ったり。ナッティーはウーアーとやってるスキャットだから歌いやすかったみたい。ナッティーのなかで一番好きな曲は「ソルト・ピーナッツ」らしく、ソッピナ、ソッピナって歌ってる。それディジー・ギレスピーの曲だよってSPレコードも聴かせたけど、そっちはダメ、リスじゃないって。ちょっと待て、ナッティー・スクォレルズもソルト・ピーナッツもクリスマスじゃない!久しぶりのクリスマスが、ツリー→お城、クリスマス・ソング→ソルト・ピーナッツになってしまった。ついでにケーキもやめて塩で炒ったピーナッツにするかな。サンタが父だってのは今のところバレていない。メリー・メロディーズ、メリー・クリスマス!
(古田直=ダックスープ店主)