1920年に作曲され、翌年作曲者のアル・ジョルソンの歌唱によってチャート2位の大ヒットを記録、以降は数多のシンガー/ミュージシャンに取り上げられたことで、現在にいたるまで「超」の付くようなスタンダード曲としてしられる「AVALON」。今回はその「AVALON」の聴き比べなんですが、アレンジ、特にビッグバンド・アレンジに着目して選んでみました。それにしてももうすぐ100年、なんですね。1世紀も歌い継がれる、という事実にも、改めて驚かされます。(2013年1月18日更新分/選・文=大久)
VIDEO Django Reinhardt / Avalon (1935)
まずはジャンゴ。35年の録音ですが、同年彼は2度この曲を録音しています。最初の版がこちらで聴けるオーケストラ・ヴァージョンで、コールマン・ホーキンス(TS)、ミッチェル・ウォーロップ・オーケストラと共に録音されたもの。現在では「ジャンゴ&アメリカン・フレンズ」というクレジットで出回っているヴァージョンです。
VIDEO Benny Goodman / House Hop - Avalon (1937)
ビッグバンド・スタイルでこの「AVALON」を世界中に知らしめた重要人物、と思われるのが、やはりベニー・グッドマンです。彼は生前常にこの曲をレパートリーとしていましたが、ビッグ・バンド編成で最も古いものを探してみたらこちらの動画が出てきました。しかし、いつもニコニコのライオネル・ハンプトン(VIBE)っていう人はサイコーですよね。
VIDEO Anita O'Day / Avalon (1963)
1963年の年末に来日したアニタ・オデイ(1919-2006)がTBSスタジオでライヴ録音(ただし無観客)した「AVALON」の映像です。バックは「宮間利之とオールスター・オーケストラ」で、ここには西条孝之介(TS)、芦田ヤスシ(TS)、沢田駿吾(G)等が参加していた模様。長らく入手困難だったソースですが、現在は15曲入りDVDがアメリカで発売されています。それにしてもクール、まさにクールな「AVALON」です。
VIDEO Ella Fitzgerald, Caterina Valente and Perry Como / Avalon (1966)
66年、「ペリー・コモ・ショウ」にゲスト出演したエラ・フィッツジェラルドとカテリーナ・ヴァレンテが織りなすスキャットに導かれて、御大ペリー・コモが「AVALON」を披露しています。そういえば野球の世界ではホーン隊を「鳴りモノ」と呼びますが、この場合はスキャットも「鳴りモノ」に入るのでしょうか?(笑)。いずれにせよ、ペリー・コモを応援するにはゴージャスすぎる組み合わせです。
VIDEO John Pizzarelli / Avalon (1996)
2012年のクリスマスにはブルーノート東京で営業、という、西洋人とは思えない程の働き蜂(笑)でもあるジョン・ピザレリ。こちらは96年ドイツのTV番組「SWING IT」に出演し、ドイツのティロ・ヴォルフ(THILO WOLF)ビッグバンドを従えて「AVALON」をカヴァーしている模様です。アレンジは、同年ピザレリのアルバムでビッグバンド・アレンジを施したドン・セベスキー。
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