てりとりぃ放送局アーカイヴ(2013年8月23日〜2013年9月6日)

 今週もCM動画特集です。今回は、アメリカが生んだ偉大なるピーナッツバター「SKIPPY」のCM集。ピーナッツバターそれ自体は(後にコーンフレークで有名になるケロッグ社の)ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ氏が1876年に開発した食品ですが、こちらの「SKIPPY」は1933年発売開始、以来現在も全米でシェア第2位を誇るヒット食品。我が家ではこのスーパーチャンク(粒入り)の4ポンド(1.8kg)仕様が必需品となっておりますが(笑)、そんな歴史と伝統を誇るアメリカンなジャンク食品のCMをご堪能ください。(2013年8月23日更新分/選・文=大久)


Skippy Peanut Butter Commercial (1958)

 同製品にとっておそらく一番最初のTV-CFと思われる、1958年のアニメーションCF。アニメーションの作りやコンセプトは最もシンプルなものですが、きちんと商品説明のプロットに沿った作りとなっていて、基本に忠実なアニメーション、といえるかも。

Skippy Peanut Butter Commercial (1959)

 こちらも似たような画面ですが、立体になっているのがおわかりいただけると思います。おそらくクレイ(粘土)アニメ等と同様のストップモーション・アニメの手法で制作されたと思わしき、59年バージョンです。「そんじょそこらのオイリーなピーナッツバターとは違います。もしあなたがピーナッツ好きなら、間違いなくスキッピー好きでしょう」という、なかなか強気な宣伝文句ですね。

Dennis the Menace Cast for Skippy Peanut Butter (1959)

 デニス・ザ・メナス、と言えば当方個人にとってはパンクス御用達コミックス、赤黒のボーダーとDRマーチンを履いた英国版漫画を思い出しますが、世間的には「わんぱくデニス」でおなじみの米国版コミック/ドラマが有名かと思われます。同作のTVドラマ・シリーズはケロッグ社がスポンサーをしていたこともあり、TV-CFにも初代デニス君ことジェイ・ノースくんが出演。

Skippy Peanut Butter Commercial (1966)

 こちらは同製品の1966年放映のTV-CM。制作はアニメーターのフレッド・ウォルフ。彼は『TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES』を制作したことで有名かと思います。当方は詳しくありませんが、おそらく濱田編集長はその辺がメッチャ詳しいと思いますので、今度聞いてみます。ナレーションはポール・フリーズという人で、アメリカでは「1000の声を持つ男」と呼ばれる人気声優さん。

Skippy Peanut Butter Commercial (1986)

 音楽がデジタル・サウンドを交えたヘビメタ風になり、アニメーションがドラマティックになっても、SKIPPYは何も変わりません。こちらは86年、カナダで放送されたSKIPPYのTV-CM。ちなみに、今回はアニメものを主体に5つの古いSKIPPY TV-CFをご紹介しましたが、アニメのみならず、実写CFも50年代以降数多く制作されています。80年代にはアネット(60年前後にポール・アンカの彼女だった、あのアネットです。そういえば彼女は今年の春に亡くなりましたね)がSKIPPYのCMに多数出演していたことでも知られています。

*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。



 もうすぐ夏も終わりスね。それだけでちょっと感傷的になってしまうモノですが、実は当方この8月は数えるほどしか外出してない故、あまり外気を体感できておりません。何やってんだオレ。さて夏と言えばR&B。R&Bって日本では「かなりコアな黒人音楽」というイメージがありますが、そんなのはブレインウォッシングに過ぎません。海の向こうではR&Bといえばそれはもうブリブリにアイドル音楽のひとつ、という側面を持っているからです。そんなワケで今回は、20年くらい前の夏を彩った女性アイドルR&Bグループの大ヒット曲をまとめてみました。(2013年8月30日更新分/選・文=大久)


SWV / Right Here -Human Nature Mix- (1992)

 夏らしい爽やかな90s R&Bといって真っ先に思い出すのがこちら。元曲はここまでオサレじゃなかったのですが、マイケル・ジャクソン「HUMAN NATURE」をサンプリングしたらこんなにブリージーに仕上がった、という素晴らしいリミックスに脱帽です。ただ、シングル盤のジャケは、早すぎたHG、というカンジでイタイです。曲もPVも爽やかですが、ジャケ見ると辛いです(笑)。

Jade / Don't Walk Away (1992)

 90年代前半、それこそ「アイドル戦国時代」と今日本で呼ばれているのと同様に、次から次へとアイドル系R&Bグループが日替わりで誕生していました。ジェイドは92年に活動開始、150万枚を売ったこの「DON'T WALK AWAY」の大ヒットで一躍知られる存在となりました。この曲は2004年の夏、イギリスの美女シンガー、ジャヴェインがカヴァーし、UKでこれまた大ヒットを記録しています。

Eternal / Stay (1993)

 エターナルはイギリスのグループですが、このデビュー曲「STAY」で93年に世界中を席巻した4人組。特にイギリスと日本では大人気ですね。日本のラジオも、93年はこんな曲ばかりが流れていたことを思い出しますが、もう20年前の話なんですね・・・ 実はこの曲は、90年にグレン・ジョーンズという男性シンガーが歌った同名曲のカヴァー。とはいえ、オリジナルの形(グラウンドビート)は消え、コンテンポラリーR&Bになってますが。


Blackgirl / Let's Do It Again (1994)

 前年には同じく女性R&Bグループのエクスケイプが元曲をサンプリングした「JUST KICKIN' IT」をヒットさせていますが、こんな名曲のカヴァーを正面からされたのでは、コチラも買わないワケにはいきません。シドニー・ポワチエによる同名ブラック・ムーヴィー(74年)のテーマ曲で、ステイプル・シンガーズによる全米No.1の超名曲。もちろん制作者カーティス・メイフィールドの代表曲のひとつでもある「LET'S DO IT AGAIN」が94年に復活しました。

TLC / Diggin' On You (1994)

 このジャンルで、最も大きな成功を納めたのがTLCであったことは、疑う余地がありません。動画は同曲のPVですが、疑似ライヴ風にサウンドもリミックスされています。オリジナル・アルバム・ヴァージョンはこちらですが、正直どちらも感動的なトラックで、当方には甲乙つけられませんでした。それにしてもレフトアイ、カワユスなあ…

Cagnet feat. Anna McMurphy / Deeper and Deeper (1996)

 おまけ。TLCの名を出しておいて、彼女達の代表曲「WATERFALLS」に触れないのはさすがに片手落ち、というものです。が、ここはあえてこっちをご紹介しようと思います。96年の日本の夏を彩った女性R&B楽曲、という意味でダントツの認知を誇るこの曲は、あきらかにTLC「WATERFALLS」の影響下にあるプロダクションですね。そういえば常々TLCからの影響を公にしていた安室奈美恵さんが昨年レフトアイの代役としてTLCに参加し、世界中から「?」扱いされてしまったこともありましたが、いろんな意味で日本とTLCとの繋がりは、今もアチコチに残っているようです。

*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。




 先日、とあるお仕事で「番傘」「和太鼓」そして「10数人の女の子」に囲まれるという、当方にとっては異次元世界とも思えるような場所にお邪魔する機会があったのですが、「2013年の和モノ」とは何ぞや、なんてことをアタマに巡らせながら過ごしたひとときとなりました。そんな当方の脳内を反映し、今回の特集は「和モノ」です。まったくもって馬鹿馬鹿しい動画ばかりですが、どれも心が洗われるような爽快感を感じてしまうのは、やはり当方が日本人だから、でしょうか。(2013年9月6日更新分/選・文=大久)


杵家七三社中feat.佳館杏ノ助/和楽・千本櫻(2012)

 ニコ動で話題を呼んだ、和楽器集団「杵家七三社中」。ゴツい和モノ演奏で、アニソンとか初音ミク楽曲を真面目に演奏するそのスタイルが大人気です。杵家七三社中はボカロ・カヴァー・アルバムも発売していますが、中でもブッチギリのクオリティーを誇るこちらのPVをご紹介。杵家七三さんは長唄三味線/現代邦楽三味線の演奏家として、国内・海外にて活躍するベテラン、とのこと。

蜷川べに/千本桜(2013)

 ちょっと杵家七三社中ヴァージョンは本格的すぎて比較出来ないのかもしれませんが、「千本桜」はやはり現代を代表する「和モノ」の一曲です。というわけでこちらは津軽三味線プレイヤー、蜷川べに嬢によるカヴァー。ウヒョー! なんというパンキッシュな女性でしょうか。しかもバカウマ。こんなコトをやられてしまったのでは、数多のパンク・ミュージシャンは土下座するしかありません。カッコよすぎますよね。

Tokyo Story/外人任侠伝〜東京事変(2013)

 さて、さらに輪をかけて驚愕モノの動画を1本ご紹介。ヴァン・ヘイレンのヴォーカリスト、デヴィッド・リー・ロスは、実は昨年から今年の春にかけて実際に日本に住んでいたほどに親日家です。その主な理由は「武道への関心」のようですが、今年の5月、前触れもなくイキナリこんなショートフィルムを公開しました。出演している小錦はデイヴの個人的な友人でもあるそうですが、ちょっと「遊び」というには金かかり過ぎな気もしますね(笑)。ダイヤモンド・デイヴに関しては、また機会を改めて特集をしようかな、と思ってます。

Mike Penny / Anpan Man March on Shamisen (2009)

 こちらも青い目をした方による「和モノ」解釈。三味線奏者マイク・ペニーさんは、掲載した「アンパンマン」のカヴァー動画を筆頭に、日本のアニソンとか、ラフマニノフとか、ジプシージャズとか、独自の解釈であらゆる曲を津軽三味線でアレンジ&カヴァーしまくる人で、既にオリジナル動画を100本以上YOUTUBEにアップしまくっています。次は是非、ボカロ楽曲に挑んで欲しいものですね。

Gipsy Kings / Inspiration

 オマケ。ちょっとベタですが、やはり名作時代劇「鬼平犯科帳」のEDは、それはもう「Get Wild」を使った「シティーハンター」EDにも匹敵するような、歴史に残る演出だと思っております。日本の美しい四季模様に最もマッチしたのがジプシーキングスのインスト曲だった、という点は今でも驚きを覚えてしまいます。例えば北野武監督のように、時代劇にて意欲的な和洋折衷演出を試みる例は数多くありますが、正直この「鬼平」のEDを超えるものはまだお目にかかれていません。

白羽玲子/ラブレター(2005)

 オマケその2。着物を来ているワケでも三味線を持っているワケでもありませんが、この曲を聞くたびに「ああ和モノだあ」と当方個人が強く感じてしまう1曲です。05年テレビ朝日系ドラマ「特命係長・只野仁』のED曲として使用されたこちらはもちろんブルーハーツの89年発表曲のカヴァーですが、歌唱、歌詞、アレンジ、全てから「日本独特」なエレメンツに溢れてます。同曲でデビュー、その後雅夢のカヴァー「愛はかげろう」を発表し歌手活動を終えた彼女があの「真空飛び膝蹴り」の沢村忠の実の娘さんで、一時期「桜っ子クラブ」のメンバーであったことも有名かと思われます。

*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。