てりとりぃ放送局アーカイヴ(2014年10月17日〜10月31日分)

 ポール・マッカートニーも「お気に入り」と言う程の名曲「GOD ONLY KNOWS」。「神のみぞ知る」っていう邦題にはいまだに馴染めない当方ですが、この曲にはもちろん馴染みがあるどころかやっぱり名曲だと思います。今回はその「GOD ONLY KNOWS」の聴き比べ。しかも女性ヴォーカルに絞って選んでみました。今回選んだ以外にもクロディーヌ・ロンジェやオリヴィア・ニュートン・ジョンのような例も有名ですが、今回はなるべく「原曲から離れた」アレンジものを中心に選んでみました。(2014年10月11日更新分/選・文=大久)



P.P. Arnold / God Only Knows (1968)

 フィル・スペクターに憧れるイギリスのアウトロー・ロック仕掛人(笑)アンドリュー・ルーグ・オールダム制作によるイミディエイト音源は素晴らしいシンフォニック・サイケ・ポップが多いですよね。こちらは元アイケッツ(アイク&ティナ・ターナーのバック・コーラス隊)、その後イギリスに渡ったP.P.アーノルドのイミディエイト盤収録曲。その後半ば伝説のシンガーと化していましたが、90年代にビートマスターズとの共演で大ヒットを記録してしまったという異色のキャリアの持ち主。
Four King Cousins / God Only Knows (1969)

 キング・シスターズというファミリー・タレントのひとり、イヴォンヌ・キングさんの娘さんと、親戚の娘さんを集めて結成されたフォー・キング・カズンズ。もちろんここ日本ではサバービア関連のオシャレ・ハーモニー作品としても有名ですね。TV番組「キング・ファミリー・ショウ」には10年ほど出演されたとのことですが、なんと2009年以降は再結成して活動を続けているのだそうです。

Betty Everett / God Only Knows (1975)

 今回のラインナップの中でも最強のカヴァーのひとつ。ベティー・エヴェレット姉さんのソウル・カヴァーです。75年にジーン・ペイジのアレンジで制作されたアルバム『HAPPY ENDING』収録曲。ジーン・ペイジがストリングス・アレンジの名手となったのは、彼がバリー・ホワイトとの共同作業をするようになってからのことですが、マーヴィン・ゲイ、ミニー・リパートンその他多くの70'sソウルの名盤に欠かせないアレンジャーですよね。
Jonatha Brooke / God Only Knows (2004)

 時代がググっと若くなりますが、ジョナサ・ブルック嬢は80年代から活動を続けるベテランでもう50歳になるそうです。ソロになって4作目となる04年のアルバム『BACK IN THE CIRCUS』に収録されたこのカヴァーは、フォーク出身の彼女にはちょっと珍しい、ポスト・ロック以降のドープなオケも印象的なものとなりました。
Joss Stone / God Only Knows (2005)

 イギリスの女優さんでもあり歌も歌う超絶美人ジョス・ストーン。しかも彼女が歌う時ってガッツリとソウルなんですよね。そんな点も意外性十分ですが、このカヴァーではピアノ&ストリングスで厳かなアレンジとなりました。アルバム未収録ですが、04年のアルバム『MIND BODY & SOUL』がデラックス・エディションで発売された際にボーナス収録されています。
Shona Foster / God Only Knows (2011)

 詳しいことはまったく知らなかったのですが、YOUTUBEでこれを見つけてから必死に探しました。11年にシングルとアルバムを発表した英ブライトン在住の女性、ショーナ・フォスター嬢。自身の作品ではよりオルタナ度の高いニューウェイヴ・サウンドもありますが、BBCのラジオ・セッションで残されたこちらのカヴァーのように、まるで「1920年代かよ」と思っちゃうようなレトロ・アレンジもお得意なシンガー。要チェックすね。
MonaLisa Twins / God Only Knows (2013)

 60年代モノが大好き!というモナちゃん&リサちゃんの双子姉妹、モナリサ・ツインズは12年にアルバム・デビューした際まだ20歳でしたが、マイク・マクギア(!)、グラハム・グールドマン(!)ピーター・ヌーン(!)等も絶賛するというトンデモない盛り上がりとなりました(笑)。こちらは彼女達が13年に新たに録音した新マテリアル。いいですね。ホッコリしますね。それにしても肌キレイですね・・・・(笑)。

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 ロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズの面々も「名曲だ」と語る「GOD ONLY KNOWS」。同じインタビューでは「我々(SCOF)にはジャズの素養がある」とも語っていますが、先日久々にその動画を見て、そういえば「GOD ONLY KNOWS」のジャズ・カヴァーってのも結構あったよなあ、と思いついたので、集めてみました。余談ですが、今YOUTUBEでこの曲タイトルを検索すると、圧倒的にアニメ「神のみぞ知るセカイ」関連動画が引っかかります。これも時代ですね(笑)。(2014年10月24日更新分/選・文=大久)


Gary McFarland / God Only Knows (1968)

 若くして亡くなったため(71年に38歳で死去)作品は多くないのですが、それでもヴァイブ奏者としてだけでなく、ジャズ・アレンジャーとしてやっぱり外せないゲイリー・マクファーランド。名作でもある68年の自身の初リーダー作冒頭にてこの曲をカヴァーしています。スカイ・レーベルのアルバムって、どれも最高ですよね。コンプリートしたくなりますね。

Yellowjackets / God Only Knows (1997)

 一気に時代が若くなりますが、スムース・ジャズでのカヴァー。97年にフュージョン系ミュージシャンによる「ブライアン・ウィルソンのトリビュート盤」が制作されていますが、そこに収録されてたイエロージャケッツによるヴァージョンです。でも偉そうなことは言えません。今このバンドでベースを弾いてるのがジャコパスの息子さんだとたった今知ったばかり(笑)。

Jonh Pizzarelli / God Only Knows (2005)

 現代ジャズ界きっての伊達男ジョン・ピザレリさんですから、当然イケイケでキメてくれています。とはいえこの曲では彼は一切ギターを弾かず、ピアノとサックスの渋々なアレンジですが。彼のスタンダード・カヴァー集『KNOWING YOU』収録曲。この翌年(06年)、ピザレリ氏はドン・セベスキー&クインシー・ジョーンズをアレンジャーに迎えてシナトラ・カヴァー作にも挑んでいます。


Brad Mehldau / God Only Knows (2011)

 更に更に時代はググッと若くなります。ここ10年ほどはパット・メセニーとの共演盤を複数リリースしたり、ニック・ドレイク、ポール・サイモン、レディオヘッド、ビートルズ、オアシスなんていう曲のカヴァーをすることでも注目されるピアニスト、ブラッド・メルドーによる2011年のピアノ・ソロでのライヴ音源。メルドー氏は01年の映画『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』の音楽を担当したことでも知られますが。このECM〜ウインダム・ヒル直系のアレンジに聴き惚れますね。

Claudio Filippini Trio / God Only Knows (2013)

 こちらもピアノ・ジャズですがトリオで。音もアレンジもシャレオツなのは、さすがイタリアCAM出身だからでしょうか。公式HPは日伊英語に対応、という嬉しいピアニスト(笑)クラウディオ・フィリッピーニさんは82年ペスカーラ生まれ。こちらは2011年のトリオ名義でのデビュー盤に収録されたカヴァー。

David Bowie / God Only Knows (1984)

 おまけの1曲です。ジャズではないのですが、ボウイが84年にこの曲のカヴァーを録音した時、おそらくアレンジや歌唱方法はフランク・シナトラのソレを念頭に置いていたハズです。84年のアルバム「TONIGHT」はササっとやっつけ仕事で作ってしまった超手抜き(でも大ヒット)作ですが(笑)、アレンジはほぼ他人任せ、ほとんど練習ナシでこの歌をこんなふうに歌えるあたりはやっぱり神様ですね。

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 そりゃあもうロバート・フリップ先生が言う事に間違いなんてあるハズもありません。先生がそう言うのならそれが正しいに決まってます。そんな「ロック理論の権化」でもあるフリップ先生の特集です。キング・クリムゾンの再起動(とはいえリハーサルに1年を費やすとも公言されているので、また随分と気の長い再起動ですね/先生が実際に起動音を作ったWindows Vistaだって起動時間はもっと早いハズなんですが)も楽しみなところですが、今回は先生のキング・クリムゾン以外での課外活動を集めてみました。(2014年10月31日更新分/選・文=大久)



Giles, Giles and Fripp / Suite No.1 (1968)

 先生のプロ・デビュー・バンド、ジャイルズ・ジャイルズ&フリップによる録音曲。先生いわく「私がこれまで作曲し演奏をした楽曲の中で最も難しいパート」で始まるこちらのインスト曲。クラシックの小品的イメージしか湧いてこない曲ですが、こちらから後のギンギンでプログレなフリップ像を想像するのはなかなか難しいものがあります。でも、このアルバムのジャケはホント最高です。
Daryl Hall - NYCNY (1977)

 69年からクリムゾンとして活動、74年に解散、その後半引退状態にあったフリップ先生でしたが、先生を第1線に再び引っ張り出したのはブライアン・イーノとデヴィッド・ボウイの2人でした。76年にボウイ『LOW』『HEROES』で復活したフリップ先生は、その翌年、なんとダリル・ホールのソロ・アルバムをプロデュースしています。丁度この頃、NYに移り住んで夜の遊びを覚え始めたころに当たりますね(笑)。

Robert "Chuck" Fripp & Deborah Ann (1978)

 そんな先生のオチャメなオフショット映像。78年、ブロンディーのステージにゲスト出演したことがあるのですが、その楽屋での記録映像です。なんと先生が立ってギターを弾いています!あのフリップ先生が立った!それだけで驚愕の映像なんですが、デボラ・ハリーとジャレ合っているなんて、とても信じがたいものでもあります。
Andy Summers & Robert Fripp / I Advance Masked (1982)

 81年からクリムゾンを再始動した先生でしたが、同時にアンディー・サマーズ(ポリス)とのコラボ作品も手がけました。いろんな意味で面倒くさい(笑)クリムゾン関連作品とは対象的に、ただ好きなこと(=バカなこと)を楽しんでやってみた、というカンジの微笑ましい作風に癒されます。こちらは82年発表曲ですが、84年にも同じ2人でアルバムを発表、こんなPVも残されました。
Travis & Fripp / When The Rains Fall (2012)

 こちらは「21世紀のフリップ&イーノ」なんていう形容詞でも語られる、最新のフリップ先生の実験活動。デヴィッド・シルヴィアン関連作品でのゲスト参加でも知られるフルート奏者、テオ・トラヴィスとフリップ先生のコラボ活動は、アルバム(08年)とライヴ盤(10年)という形で発表されていますが、こちらは即興演奏によるアルバム未収録曲(オマケDVDに収録されてますが)。実は、こういう真面目な先生もやっぱり好き。
Robert Fripp & Toyah Willcox ~ All Star Mr & Mrs (2013)

 最後はオマケ動画。2011年以来完全に引退宣言をした先生。2013年に「やっぱ復活するわ」なんて言い出すわけですけど、その直前、フリップ先生は奥様トーヤ・ウィルコックスとバラエティー・クイズ番組に出演しています。ようは英国版「オモロイ夫婦」な番組でして、フリップ先生を信奉する世界中のガチ恋系信者を驚嘆させてしまった衝撃動画。それにしてもトーヤ嬢、もう50半ばですが可愛らしいですねえ素敵ですねえ。


*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。