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ピアノというのは不思議な楽器で、演奏者のタッチ1つで同じ曲でもまったく違って聴こえてくる。好きなアーティストのライヴで、ピアニストが代わると演奏される曲のテイストがガラッと変わって聴こえる経験は、どなたにもあるだろう。 重実徹のピアノは、軽くしなやかなタッチだが、ど
こかセクシーなのである。ジャズ、ソウル、ポップスと多岐に渡るジャンルで活躍しながら、いずれも屹立した音が構築されている。チャゲ&飛鳥「SAY YES」や福山雅治「ITS ONLY LOVE」でのキーボード・プレイでもそれは顕著だが、3月16日にリリースされた最新リー
ダー・アルバム『センシュアル・ピアノ』を聴いたとき、まさしくそのことを実感した。センシュアル=官能的、としか表現しようのないプレイなのだ。 1986年から山下達郎のツアー・バンドのキーボーディストとして活躍していた重実徹の演奏は、達郎のステージで何度も聴く機会があった。どちらかというと求道的で生真面目な楽曲が多い達郎のナンバーに、艶やかで華麗な響きを加えていたのが重実のプレイだったと思う。その頃のセット・リストに良く取り上げられていた1曲に、デルフォニックスのカヴァー「ラ・ラ・ミーンズ・アイ・ラヴ・ユー」がある。フィラデルフィア・ソウル初期の名曲は、今回、重実も取り上げている。ゲスト・ヴォーカルは重実も参加しているMISIAのツアーでコ
ーラスを担当しているLYN。スウィートな歌声に寄り添うように、洗練されたグルーヴを生み出すピアノの響きは実に官能的で、さらに1番と2番のブリッジ部分でとてつもない高揚感を生み出している。 ヴォーカル入りはこの1曲だけで、他は重実自身が作曲したオリジナルのインスト・ナンバーを収録している。アルバム制作は4曲目の「アン・アイランド」冒頭のルバート(フレーズの前後を遅め・速めにずらして演奏すること)部分をつくったことから始まったそうで、この曲に顕著だが、ジャズともソウルとも、J-POPとも異なる音作りがなされている。洗練されたイージー・リスニングの聴き心地の良さとでもいおうか。かと思うと次の「ジャズ・ディライト」では鈴木明男のサクソフォンとの
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絡みがエモーショナルだ。8曲目の叙情的なミディアム・ナンバー「パラダイス」は力強くも艶っぽく、逆にしっとりとした夜の気配を奏でる9曲目「チェイシング・ムーン」もまた軽やかにエロティックな響きで聴く者を魅了する。10曲目「イン・サザン・レイン」のギター・ソロは重実のキーボードで奏でられているが、この鮮やかな色彩も圧巻のひと言。 ジャズのアルバムか、といわれるとちょっと違う。ピアノ主体で美しいメロディー・ラインをもち、曲によってはビートも強調され
ている。もともとサンタナのキーボード、グレッグ・ローリーが好きで、少年期からカンツォーネやタンゴなどにも親しんだという重実。マイルスのバンドなら「ハービー・ハンコックよりウィントン・ケリーが好き」という彼の発言は、まさに1曲目「クロード・モネ」の間奏のプレイが証明しているかのようだ。ブルージーでとろけるように甘美なリビング・ミュージック。大人のポップス好きにおすすめしたい。 (馬飼野元宏=「映画秘宝」編集部)
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江戸川橋の下には神田川が流れていて、橋から上流へ向かって桜並木がある。丁度満開になった頃、今回のお店にいつもの飲み仲間が集まった。6時からだが、5時に来て神田川に沿ってお花見。ビール片手に川の両側の桜を眺めながらゆっくり歩いた。夕景に桜の白い花が映えて良い雰囲気。というのもここは、他の桜
の名所に比べて人が少ない。途中にある広場でもシートを敷いて酒盛りをしているグループも数えるほど。多くは川に沿って花を眺めながら散策している。このゆったりした雰囲気が、桜の艶やかな色取りとうまく合っている。良さは桜並木もさることながら、ひとえに人の数の少なさではないかと思う。お花見の隠れ家的
名所だと思う。 最初に来たのは10年ほど前で、近くの現代マンガ図書館に通い出してからの事。この図書館は内記稔夫さんが個人で立ち上げたもので、彼が亡くなってからは明治大学の所属になっている。復刻漫画をやっていたので、古い雑誌や貸本漫画などをよく見に行った。ある年の春、その帰りにこの桜並木
を知った。そして本日行く店も同じように覚えた。 その「バルフェザーズ」は江戸川橋のすぐそばにある。橋を講談社方面に向かって渡ってゆくと、交差点にぶつかる。交差点を渡りきった角のビルの2階に店はある。お花見で散策したので、席に着くやすぐビールで喉の渇きをいやした。前菜のセットが出てくるとともにワインをオーダー。ここはスペインバルなので魚介類の料理や肉料理などメニューが豊富にあるのだが、今回はイベルコ豚のコースを予約しておいた。そのためイベリコ豚がこれでもかというほど出てきた。焼いたもの、串焼き、から揚げ、燻製肉など各種調理されたものが出た。その度にワインをお代わりした。その間にサラダ、パスタ、パエリヤなどが出てボリューム満点だった。でもひた
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すらワインで流し込むようにしていただいた。ワインもコースに入っていて、飲み放題だったのだ。最後にロースト肉が山盛りにでて、さすがに半分以上残してしまった。 この日集まったのはイラストレイターのT氏、印刷所のY氏、生協勤務のW氏と私。いずれも還暦を過ぎた中高年で、最後のデザートの頃には、だれも少し疲れたような気分になっていた。でもよく飲み喰いしたと思う。「肉を食って疲れ
たんじゃ、しょうがない」と笑いながら店を出た。次回はもっと軽いコースを予約しよう。でも店の主人に「ワインをこんなに飲まれたグループは久しぶりです」と言われた。どうやら食べる量は衰えたが、飲む量はまだいけそうだ。酒も肴もうまい店で、入るときは客は我々だけだったが、出るときは満員だった。 来年の桜の頃に、またお花見を兼ねてこの店にこようと約束をして別れた。 (川村寛=編集者)
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赤塚不二夫による漫画のアニメ化で、『魔女っ子』シリーズの第2作目。作曲は小林亜星が担当しているが、編曲はクレジット無し。岡田恭子が歌を担当した「ひみつのアッコちゃん」は、アニメ・オープニングでは珍しい3/4拍子で、いわゆるワルツのリズム。イントロは「Daug(9)
」の分散コードによるもので、不思議な雰囲気が魔法モノにピッタリ。オーギュメントは、根音、長三度、増五度で構成されるトライアドで、長三和音の5番目の音を半音上げて、増5度にしているので、正確には不協和音扱いとなる。経過コードとして使用されることは多いが、イントロに単
独で置かれることは珍しい。魔女っ子ものらしい不安定な雰囲気を醸し出しているが、残念なことにテレビ・ヴァージョンではカットされている。ゴージャスなオーケストラによるストリングスを活かしたクラシカルでドリーミーなサウンドと、ほぼ4分音符中心のシンプルなメロディが相まった佳曲。 「すきすきソング」は水森亜土が歌を担当。全編インプロヴィゼーションによるグルーヴィなオルガンは江草啓介によるもの。時代的にエース・トーンなどの電子オルガンによるものだ。コード進行はブルース進行で、アニメ・ソングでは、『新オバケのQ太郎』主題歌「オバケのQ太郎」(71年)、『カウボーイビバップ』主題歌「TANK!」(98年)などでも同様の進行となっている。ブルース
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進行は、不安定な渡来トーンを含み、動的な機能を持つ「7th」コードが、基本的にはドミナント以外にも全てのコードに「7th」が付くのが特徴だ。ちなみに、ブルースの11小節目と12小節目の「V7ーⅣ7」というドミナントの全音平行移動は、クラシックでは禁止とされている進行だ。ところがブルースでは、ブルースを象徴する進行となっている。この進行が生まれた理由はいろいろと推測ができるが、理論云々では
なく単にカッコイイから生まれた進行というのが正直なところではないだろうか。 当時の子供たちはクラシックの影響にあるクラシカルな音楽「ひみつのアッコちゃん」と、ブルースの「すきすきソング」という相反する音楽を知らず知らずのうちに耳にして違和感無く楽しんでいたと思うと、なんとも音楽的に余裕があった時代だったと思わせてくれる。 (ガモウユウイチ=音楽ライター/ベーシスト)
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