[桜井順×古川タク]
Roger Nichols & The Small Circle Of Friends - New Album Trailer Video
ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ、新作のダイジェスト動画を公開!
●2012年11月28日発売/ビクターエンタテインメント CD:VICP-75089/高音質K2HD+HQCD盤/2,800円(税込)
『雲のうえ』
ミニコミやフリーペーパーって増えましたよね。就職情報やクーポン、コミック等まで、街中を歩いているとそこいら中に置いてある。そんな中で、個人的によく手に取るのは、タウン誌系のフリーペーパー。ヘタな雑誌よりよっぽど面白く、デザイン的にもクオリティの高いものも多い。東京メトロ各駅で配布している「メトロミニッツ」や、新宿~四谷界隈の「JG」、谷根千の「やねせんおしょ
くじ」(これは有料)などは、デザイン良さと連載記事の好みで毎号目を通している。グルメ情報をチェックする事も多いが、なによりもその街のタイムリーなスポット情報に素早く触れられるのが有難い。 しかし、いつも思うのだが、メトロ系を除き、これ等のタウン誌は不便な点がある。その地域に行かなければ入手出来ないという事だ。それが東京以外のタウン誌となると、さらにハー
ドルが高くなる。地方であれば簡単には行けない訳で、都内の配布店で入手するのだが、限られた場所・部数ということもあり、軒並み読めない号が出てしまう。それに不定期刊だと、パーフェクトに集めるのがもはや無理。そんな状況なので、地方から直接、取り寄せている情報誌がある。それが『雲のうえ』である。 この『雲のうえ』は北九州市が発行しているタウン誌。同誌とは、昨年、ある古書店にて出会った。スナックやバーが入居している雑居ビルのネオンサインが表紙になっている「夜のまち」特集号。この表紙が気になって手に取ったのだが、すぐさまその内容の面白さに魅かれてしまった。その号は小倉、門司、若松、折尾という北九州市の四つの地域のナイトスポットの紹介である。スナック、バー、
割烹等の店をいわゆるグルメ情報の羅列ではなく、非常に読みやすいエッセイの中で紹介している。そして、セピア風味の写真と手書き文字のデザインがノスタルジックな雰囲気を醸し出し、何故だか郷愁の念にかられるのだ。これは地方タウン誌の域を超えていると思っていたら、やはり、『ku:nel』等で制作していたスタッフが編集に参加しているとのこと。また、写真は平松洋子氏のエッセイなどでもおなじみの齋藤圭吾氏であった。これ以前の号も読みたくなり、入手可
能な号を全て取り寄せた。 この雑誌に出会ってから、実は、まだ北九州には行っていない。過去に小倉を訪れた事はあるのだが、改めてこの本をガイドに、その街と新たな出会いをしてみたい。そういえば、最近知ったのだが、北九州市は観光客誘致の取り組みを推進し、その一環として『雲のうえ』を制作しているとのこと。嗚呼、私はその術中に完全にハマッタということですね。しかし、こういう術なら、何度でも陥りたいものである。 (星 健一=会社員)『雲のうえ』最新刊第15号は「北九州市に暮らすひとの特集」。北九州市による公式HPはこちら。
ミシェル・ペトルチアーニ~情熱のピアニズム~
いつの時代も夭逝した芸術家には様々な逸話が残されるもの。「フランスが生んだ最高のジャズ・ピアニスト」と呼ばれるミシェル・ペトルチアーニも、そんな一人と言えるでしょう。1962年12月28日、ミシェルは先天性骨形成不全症という障害を持ち、全身の骨が折れた状態で生まれました。「骨は脆くすぐ折れてしまう」、「身長は1メートルたらず」、「誰かに抱えてもらわなくては歩く
こともできない」など、多くのハンデを持ちながら4歳からピアノを始め、18歳で初リーダー作「MICHEL PETRUCCIANI」(仏OWL)を発表、85年、フランス人ミュージシャンとして初めて米ブルーノートと契約、一躍「天才ピアニスト」としてその名を世界中に知らしめます。その後フランスとアメリカを拠点に活躍、94年フランス政府からレジオン・ドヌール勲章を授与されるも、
99年1月6日、真冬のニューヨークで肺感染症のため36歳で逝去。現在、そんなミシェル・ペトルチアーニの人生を追ったドキュメンタリー映画「情熱のピアニズム」が公開中です。監督は「イル・ポスティーノ」で知られるマイケル・ラドフォード。生前に撮影された映像を中心に親族、元妻、共演したミュージシャン、プロデューサー、マネージャーなどへのインタビューで構成されています。この映画によって初めて明かされるその人生は、一言で表すと「破天荒」。2度の結婚と離婚、複数の愛人、ドラッグ、下ネタトーク連発、年間200日以上のツアー、骨折しながらのライブなど、まるでTGV(フランスの超特急)のように人生を駆け抜けていきます。「重い障害を持つ若き天才ピアニスト」というと、どこか聖
| 人で探求者というイメージがありそうですが、とんでもなく裏切られます。ただ観終わって思う事は、「音楽の持つ力」です。多くの障害を持つミシェルは、ピアノを弾くことによって「人として感じることのできる自由」を思う存分体験していたのでしょう。だか ら彼のピアノの音は常に明るく力強く、生きる喜びに溢れています。映画の中のミシェルの言葉「長くは生きられない。だから時間がないんだ」。限りある人生なら1日でも多くピアノを弾き、自由を感じたいと思う気持ちが、あのサウンドを生み出していたのでしょ う。音楽の神は本当に努力した者には素敵なギフトをくれるようです。あぁ、楽器が弾けるって本当に素晴らしい! ミシェルは現在、パリ東部、ペール・ラシェーズ墓地にあるショパンの隣で眠っています。 (土屋光弘=ラジオ番組制作者) |
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